どうも、スクール Hです。
『異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜』は連載を始めて一年経ちました!これまでご愛読していただきありがとうございます!
一年前に連載を始めた時は別作品の箸休め的に書いていたのですが、ここまでご愛読していただけるとは思ってもいなかったです。現在カクヨムとなろうにて連載しており、総フォロワーは2700超え、総評価は1600超え、そして総PVはなんと170万近く!
本当に本当にありがとうございます!
最初は緩くやるつもりでした。なのに気付いたら232話、40万字も書いていました。これもそれも皆さんの応援のお陰です。読者の皆さまには感謝してもしきれません。
ところで、今後の予定について書きたいと思います。
現在僕は大学受験を1年後に控えていることもあり、連載がなかなかできない状態です(親にも色々と言われています)。それでも書き続けたい気持ちもあるので、一つの計画を立てました。
内容ですが、まず帰国編を来年の2月頃までに終わらせる。そして大学受験が終わったらその年、又は再来年までに作品を完結させる、というものです。
現在この作品は半分以上が終わり、残りはあと200話ほど(あくまで見通しです)。今年は書く時間はあまり取れそうになく、まずは帰国編を書き上げることを目標にしています。ただ、帰国編は少し長めに書こうと思っております。
これからはなるべく週一回投稿以上を目標にしています(たまに後々の予定を考えて書き溜めるため、投稿できないときがあるかもしれません)。ですので、これからも連載は止めません。
色々とご迷惑をおかけするかもしれませんが、今年一年も、どうぞよろしくお願いいたします。
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実は1年ほど前から書き溜めていた作品を、今年4月頃から連載することを決めました!あくまで書き溜めていた分であり、現在はほとんど書けていません。
現在は90話近くあるため、毎日投稿ができると思います。
内容は戦国転生もので、タイトル(仮)は『二度目の転生は同姓同名の戦国カマセ犬大名のようです 〜異世界帰りの転生者だけど敵が多すぎる!〜』
あらすじは、
異世界へ転生させられた主人公は魔王を倒してやっとの思いで二度目の転生のチャンスを掴む。だが、”日本”のことを知らない女神によって間違って同姓同名の戦国時代の弱小でカマセ犬のような大名に転生させられる。周りは敵国だらけで、内部もゴタゴタ。更に神や陰陽術師、未来からの転移者などが次々と現れる。果たして主人公はこの世界を生き残り、もう一度転生のチャンスを掴めるのか⁈
という物語です。普通の歴史転生物語のように内政や戦争、外交だけでなく、魔法を使った戦闘や純粋な剣と剣の戦いなども描いております。
戦国時代に詳しくない人のためにも説明などを書いておりますので、もし良ければ読んでいただけると幸いです。
それでは、第1話を載せたのでぜひ読んでみてください!連載開始日時はまた後で近況ノートに書きます!
↓ (連載時はルビは振ってあります)
弘治三年 一五五七年 越前国足羽群一乗谷(現福井県福井市城戸ノ内町)
俺は正面の下座に正座をする男を見る。
年齢は二十九ほど。彫りの深い引き締まった顔立ち。細いキリッとした目で凛々しさを感じる。
全体的にがっしりとした体格で、着ている小袖袴の上からも鍛えられているのだと分かる。
「拙者のような落ちぶれた武士に、何のようでございましょうか」
格上である俺に臆せず、こちらを探るように問いかけてくる。
俺はもう一度正面の男をマジマジと見る。
俺の思い描いていた人物よりも武闘派な印象。用心深く、相手を見極める目線。
こいつが後に歴史の教科書に載るような謀反を起こしたとは到底思えない。
相手はこちらの返答が遅いのを不思議がるようにする。
「孫犬丸様」
「分かっておる、重政」
俺と相手との間に座る家臣が目で促してくる。
内藤内蔵助重政。二十と元服し四年目となる一門且つ後の四老に数えられる男。
だが、今はまだ戦経験の殆どない若造に過ぎない。
そして目の前にいる男の名は明智十兵衛光秀。
織田信長の下で活躍しながら本能寺の変という日本史最大の謀反を企て、有名になった男、明智光秀その人だ。
本来出会うことのない教科書や本にしか載っていない存在。
それを今俺は前にしている。
明智光秀の後ろに一人控えている者が目に入る。
歳の頃は二十代前半と若い。
光秀が弥平次と呼んでいるところからするに、おそらく明智秀満か。
明智秀満は後に光秀の娘を娶り、一門衆として最後まで戦った重臣だ。
そしてそんな歴史的瞬間にいることになる青年に、今もの凄く警戒されている。
「孫犬丸様。いかがされましたか?」
光秀は沈黙に耐えられず、話を促そうとする。
それにしても孫犬丸か。この名前にもずいぶんと慣れたものだ。
そして後十年もしたら、元の名前に変わる。
忌々しくも俺をこんな状況にした名前。
だが、大事な前前世の両親につけてもらった名前。
武田元明という名前に。
突然だが戦国時代で武田家と聞いて何を思い浮かべる?
歴史を少しかじったことのある者なら甲斐の武田を真っ先に思い浮かべるだろう。
甲斐源氏の宗家である甲斐武田氏は、甲斐国(現山梨県)を本拠地とする、源氏の血筋を引く名家。
鎌倉時代より甲斐の国を治め、多くの名当主、分家を輩出。
なかでも武田信玄は、戦国をかじっている者なら知らぬものはいないという、戦国時代を代表する大名だ。
今川家と北条家との三国同盟、信濃(現長野県)侵攻、上杉謙信との川中島の戦い。
多くの軍記物の主人公として語られている。
そして武田家が登場する次に有名な出来事と言えば、長篠の戦い。
武田信玄死後、後を継いだ武田勝頼と天下を狙う織田信長&後の天下人の徳川家康連合軍の戦い。
三段構えの鉄砲で、当時最強と謳われた武田騎馬軍を打ち倒したのは有名な話だ。
その後1580年に滅びるが、それでも500年の時を越えてもなおその勇ましさは受け継がれている。
戦国好きなら知らぬ者はいない、馬場、高坂、内藤、山県、小山田・・・
家臣たちも歴史に名を残すほどの有名ぶりだ。
さて、更に戦国時代の武田家は三つ有名だ。
有名と言っても知る人ぞ知る大名家だ。
別に大戦に勝利しただの、有名武将に仕えたなどではなく、どちらかと言うと噛ませ大名と言った感じ。
安芸(現広島県)武田家は大内氏と争うも、成り上がり大名毛利元就に滅ぼされる。
上総(現千葉県)武田家は分家の真里谷家が活躍するも、里見氏や北条氏に屈服することになる。
そして若狭(現福井県西部)武田氏は親子での争いや国衆の反乱などで没落、朝倉氏や織田氏によって領地を取られることになる。
そして俺こそが若狭武田家八代目武田義統の嫡子、後の九代目当主になる武田元明だ。
まあ、俺のことは後ででいい。
それよりも、だ。
俺は小さい体ながらも改めて背筋を伸ばし、目の前の相手を真正面から見る。
「朝倉義景様の直臣である十兵衛殿を呼んだのは他でもない。ぜひ我が家臣になっていただきたいのです」
「・・・・・・」
しばらくの沈黙が流れる。そして、光秀が口を開いた。
「理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。私のような国を追われた武士を何故若狭守護を継がれるお方がお誘いになられるので」
「おのれ!孫犬丸様にご無礼であるぞ!」
「よい、重政。尤もな質問だ」
俺は刀に手をかける家臣をいさめる。
「何故か知りたいのだな」
「はい」
「簡単な話だ。俺には武神様が見守ってくださるからだ」
俺の発言に首を傾げる光秀。
「武神様ですか。それはまあ、なんと言いますか」
「理由になっていないと申したいのだな」
「ええ、まあ」
俺は脇に控えてある小刀を撫でる。
「嘘だと思うかもしれないが、本当のことだ。武神様が俺を常に見守ってくださり、導いていただける。そして武神様が申されますには、人のために戦えと。人の平穏を願って戦えと」
俺は話を続ける。
「今の若狭を見てどう思う。我が家内では一族同士の争いが絶えず、国衆等も反乱を起こしてばかり。いつまで経っても争いは無くならない。だからこそ、俺は争いを終わらせたいのだ。自らの手で、平穏のために戦をする」
全て建前なのは黙っておこう。
俺は光秀の目を見る。
「そのためにも優秀な家臣が欲しいのだ。そなたはまだ朝倉の家臣になって一年足らず。未練もなかろうし、何より武神様が優秀であると言っておられる」
まあ、武神と言ってもただの子供の戯言だと思うだろう。
相手には六歳児にしては口が立つとしか思われていないのであろう。
「・・・誠にございますか。評価していただけるのは有り難いのですが、私はあまり迷信などには―――な、何ですか!それは!」
立ち上がろうとした光秀は俺の背後を慌てふためきながら指差す。傍に控えていた明智秀満も自分の頬をつねる。
「見えたであろう?俺の背後に佇む武神様を」
彼らには俺の背中に白いモヤでできた、ガタイのいい大男が見えている。その姿は誰が見ても武神と言い表す他ない姿で、迷信を信じやすいこの時代の人が一度見ただけで十分効果がある。
俺は腰を抜かす二人を面白がりながらも、話が進まないと思い小刀を撫でる。
すると背後に出ていた白いモヤの大男は消え、それを見た二人はまた驚く。
しばらくして落ち着いた光秀が、咳払いをする。
「ん”ん”っ、取り乱してしまい申し訳ありません。まさかこの目で武神様を見る日が来るとは思いもしませんでした。あれは一体?」
「それはお教えすることはできません。もし俺の家臣になるのでしたらお教えできますが」
光秀は顎に手を当て、思案する。
にしても流石は麒麟児。あれを見た後も冷静でいられるとは。
「武神様のことといい、貴方様の事といい。興味がありますし、ぜひお言葉に甘えたいのですが・・・私も拾われた身。今の身分に満足しています」
光秀は目を閉じてニコリとする。
拒絶かもしれない。だが、俺は諦めない。
「義景様、黒坂殿には俺からすでに伝えてある。後はお前の同意だけだ」
「孫犬丸様は領地を持たれていない身ですよね。もし私が自分自身を評価するとすれば一千石は欲しいですな」
恐らく拒否するための口実なのだろうが、その大胆な発言に内蔵助がまたも刀に手を掛ける。
「知行も持たぬ分際で!」
「落ち着け、重政」
俺は落ち着かせ、ニヤリと笑って吹っ掛けてきた光秀の方を見る。
「それだけでいいのか?」
「それだけとはどういうことですか」
当たり前だろ。光秀は織田信長の家臣の頃、丹波一国(現京都府中部)推定二五万石以上の領主となったのだ。
それの二五〇分の一で手に入るのなら激安だ。
「五年だ。五年で若狭を統一し、丹後をも手中に治める」
「た、丹後ですと!!!」
丹後国は隣の国であり、別の領主がいる。
「五年で二カ国を手に入れることになる。その時、そなたには希望の十倍の知行をくれてやる。よく考えるといい」
俺の発言に言葉を失う光秀。
俺は絶対こいつを引き込まなければならないのだ。
この乱世を生き抜くために。
それは、この世に生を受けてから決めたこと。
そして必ずもう一度転生する!
だから、前世と前前世の知識を持って必ず生き抜く!
―――
ぜひ続きを期待してください!