第25話 ダンジョン通い
エンディルヴァンド地下洞窟は想像していた洞窟とは違い、日本の観光地で見かける鉱山跡のような狭苦しさはなく、地下に巨大な空洞が広がっているイメージだった。
地面は舗装されているわけではないのにそれなりに平らで、自動車に乗ったまま入れるのではと思えるぐらいだ。
(なあエデンさん。地下なのにちょっと明るくないか?)
ミズトは
【岩石に含まれる魔石の光が、地下でも薄っすらと周囲を照らしています。これはダンジョンの持つ特徴の一つです】
(ふうん。この明るさなら戦闘になっても、なんとか
ミズトは光が届いていない先をジッと見つめた。
それから少し歩くと大きく開けた場所になり、察知したとおりモンスターが待ち構えていた。
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バトルベア LV28
属性:地
ステータス
筋力 :G
生命力:G
知力 :I
精神力:H
敏捷性:I
器用さ:J
成長力:H
存在力:I
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グール LV20
属性:闇
ステータス
筋力 :H
生命力:H
知力 :J
精神力:J
敏捷性:H
器用さ:H
成長力:H
存在力:I
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(熊が一匹に――――グールが三匹か。一瞬、人間がいるのかと思った)
バトルベアは日本にいる熊なんかより断然大きく、四つん這いの状態で高さが二メートルは優にある。
その横にはミズトと同じぐらいの体格のグールが三体見える。バトルベアに比べて小さくレベルも低いが、初めて見るアンデッドの方がミズトには不気味に感じた。
どちらもエンディルヴァンド地下洞窟の外では見たことがない。
さすがダンジョンと呼ばれるだけあって、地下一階からそれなりに強いモンスターが現れるのだろう。
とは言え今のミズトには相手にならなかった。バトルベアすら一太刀もあれば十分。つい先ほど戦ったマックス一家の方が強く感じるぐらいだ。
結局その日は地下二階で『青の魔石』を適当に集め撤収すると、外はすでに日が落ちかかっていた。
地下一階と二階に現れるモンスターはほとんど同じで、ミズトにとって危険を感じさせるものではないのだが、その広さとモンスターとの遭遇率の高さから、地下二階に到達するだけでも半日を要してしまった。
『ダンジョン』なんてゲームにありがちな名称のために、数時間もあれば最深部に到達できる感覚でいた。しかし、どうやら何日もかける必要がある場所なのだと、思い知らされたのだった。
*
翌日から、ミズトは活動の中心をダンジョンにすることにした。
初級ポーションや解毒薬の材料も自分用に少しは集めるが、何と言っても初級魔力ポーションは300Gと高額で売れる。金を稼ぐには圧倒的に効率がいいのだ。
今は生活に何の目的もないので、お金を稼ぐことだけ考えることにしていた。
また、町ではミズトと争う者はほとんどいなくなった。
料理屋でミズトがいると皆声を抑えるようになり、道を歩いていても遠巻きに視線を送ってくる者すらいない。
その代わりマックス一家とのいざこざは後を絶たなくなった。
毎日とまでは言わないまでも、二日に一度くらいは大勢で襲ってくる。更に、たちの悪いことに武器を使うようになっていた。
仕方ないのでミズトも人間相手に剣を抜いて応戦するのだが、万能冒険者の熟練度が2に上がったためか、致命傷を与えることなく手加減することが可能になっていた。
武器を使ったということは相手に殺意があるのだろうが、さすがに人間を殺す気にはなれない。
本当に危なくなれば腕の一本でも斬り落としてやろうとは思っていたが、そう心配をする必要がないほど実力差がついていたのだ。
そんな生活を十日ほど続けると、ミズトは能力も町での知名度も上がっていた。
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ミズト・アマノ LV5
種族 :人間
所属 :なし
加護 :創造神
クラス:万能冒険者(熟練度3)
万能生産者(熟練度4)
転生者(熟練度1)
超越者(熟練度10)
ステータス
筋力 :S(+S)
生命力:S(+S)
知力 :S(+S)
精神力:S(+S)
敏捷性:S(+S)
器用さ:S(+S)
成長力:S(+S)
存在力:S(+S)
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【レベルが5、万能冒険者の熟練度が3に上がり、『ロック』の魔法を習得できるようになりましたのでお知らせします。なお、魔法の習得は魔法書を入手する事で可能となりますが、この町では冒険者ギルドのみ魔法書を販売しているようです】
(扉を戸締りする魔法だったな。これでやっと部屋が荒らされなくなるのか。冒険者ギルドは好きじゃないが、明日寄ってみるよ)
夜、ミズトはエデンと話しながら、部屋でいつも通りテーブルや椅子の片付けと『調合』を終わらせた。
それから少し経った頃、部屋の扉がノックされた。
誰かが近づいていたのは察知していたが、敵意を感じないこともあり他の部屋の者だろうと気を抜いていたので、ミズトは少し驚いた。
「はい、どちらさまでしょうか……?」
「ミズト君いるか? 俺は『荒野の牙』のヴィクターだ。少し話がしたいんだが」
ミズトはかなり面倒に思ったが、敵意は感じないし、今さら居留守は使えないので、仕方なく扉を開けた。
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