第24話 ドゥーラの町の三大勢力
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マックス LV40
種族 :人間
加護 :地の精霊
クラス:盗賊(熟練度6)
ステータス
筋力 :G
生命力:G
知力 :H
精神力:H
敏捷性:E(+E)
器用さ:F(+E)
成長力:F
存在力:G
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(こいつがボスのマックスか。
【はい、転移や転生されて来た方々は、『
「なぜ私が
ミズトは息を整えながらマックスに聞いた。
「この大陸に
マックスは石から立ち上がり、ミズトへ向かって歩き出した。
それに合わせるように、ミズトもマックスに向かって歩き出す。
【ミズトさん。ポーションは使用しないのでしょうか?】
(今さら取り出すのはなんかな……)
このタイミングで立ち止まってポーションを飲む気になれない。
「ん? その疲労のままやる気か? 俺様を舐めてんのか、
マックスが立ち止まった。
ミズトも立ち止まる。
二人の距離は三メートルほど。
「このまま通していただけるなら、見逃してあげても構いませんが」
ミズトは自分よりだいぶ大きなマックスに言った。
「はっはっは、言うじゃねえか。ガキのくせに肝がすわってるな。どうだ、うちに入らねえか? 土下座するなら俺様の家来にしてやってもいいぜ?」
「有り難いお誘いですが丁重にお断りします。もちろんあなたが土下座しても私の家来にはしません」
「ガキが、減らず口たたきやがって!」
マックスは指をポキポキと鳴らした。
【ミズトさんは極度の疲労状態です。ポーションの使用を推奨します】
エデンの声がいつもより大きい気がする。
(うるさい、やるしかないんだよ)
引き下がれなくなったミズトは、今日のダンジョンは諦める必要がありそうだと考えながら拳を構えた。
「そこまでだ!!」
マックスが一歩踏み出そうとした瞬間、誰かの声が割り込んできた。
「てめえ、ヴィクター……」
マックスはそれ以上動かず、現れた男を睨みつけた。
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ヴィクター LV41
種族 :人間
加護 :火の精霊
クラス:戦士(熟練度6)
ステータス
筋力 :E(+E)
生命力:F(+E)
知力 :G
精神力:H
敏捷性:F
器用さ:H
成長力:F
存在力:F
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ヴィクターと呼ばれた男は、年季の入った鎧を着た30歳前後の戦士で、ミズトには冒険者に見えた。
一人ではなく後ろに何人か連れている。冒険者仲間だろうか。
「マックス、お前んとこの奴らは随分やられちまったみたいだな」
「てめえ、何しに来やがった」
「なあに、お前たちが地下洞窟の入り口で入場料を巻き上げてるってセコい話を聞いてな。ちょっと邪魔しに来てみたら、まさかのこのザマだったわけよ」
ヴィクターは倒れているマックス一家の盗賊たちを見渡した。
「何言ってやがる。これから俺様がこいつをぶっ潰す予定だ。黙って見てるんだな!」
「そうはいかないんだよ、マックス。例えそこの彼が噂の暴れん坊だとしても、俺たち『荒野の牙』がお前らマックス一家の悪行を見逃したりしないのさ!」
「チッ、この自警団気取りがよ!」
【彼らは町の三大勢力の一つ『荒野の牙』のようです。ヴィクターはそこのリーダーで、マックス一家とは敵対関係です。ここは上手く切り抜ける事が出来そうです】
(みたいだな。このままやっても良かったが、こいつらと戦うために来たわけじゃないしな)
ミズトは拳を降ろした。
「そこの彼も分かってくれたようだな」
「はい。私はダンジョンに用があって来ましたので、通してもらえればそれで構いません」
ミズトはヴィクターに答えた。
「で、マックス、お前はどうするんだ? 彼の代わりに、俺たち六人と一戦交えるか?」
「ケッ。なんか冷めちまったぜ。ほらてめえら、ノびてねえで帰るぞ!」
マックスは倒れている仲間を蹴り起こしてから、ミズトに指を向けて言った。
「いいか、ガキ! これで済むと思うなよ! 必ず決着はつけるからな!」
「申し訳ございませんが最近は繁忙期でして、その申し出はお断りします」
「あ? 何だって? 分かりやすく言いやがれ!」
「あはははははっ! てめえの相手してる暇なんてねえよ、だってさ、マックス!」
ヴィクターが間に入って訳した。
「くそガキが! その言葉、覚えておけよ!」
マックスは仲間を引き連れて去っていった。
(おいおい、そこの兄ちゃん、なに
ミズトは、せっかく丁寧に言ったのに、台無しになった気分でいた。
「君が噂のミズトだな。俺は『荒野の牙』のヴィクターだ。君はダンジョンなんかに何の用事で来たんだ?」
ヴィクターが無遠慮にミズトへ近づいてきた。
(なんだこいつ。行かせてくれるのかと思ったら、話しかけてきやがった)
【何か探りをいれているように見受けられます】
エデンがいつもの抑揚のない調子で言った。
「初めまして、ヴィクターさん。ダンジョンへは初級魔力ポーションを調合するための『青の魔石』を取りに来ました」
相手の意図は読めなかったが、ミズトは隠すことはないと正直に答えた。
「青の魔石が欲しくてこの地下洞窟に? 普通だな……」
「普通じゃねえか」
「普通ですねえ」
ヴィクターの言葉に、彼の仲間の二人が続いた。
(普通? こいつら何を言ってるんだ?)
「何か問題でもあるのでしょうか?」
「いやなに、噂の君が何をやらかしに来たのかと思ってな。いたって普通なんで驚いたところだ」
(はあ? なんだこいつ……。ったく、相手してらんねえな)
「とんでもない誤解のようです。調合に必要な材料を取りに来ただけですので。それでは私はこれで」
「あっ、もう一つ聞かせてくれ。その腰に下げてるのは剣だよな? クラスは戦士なのか?」
「はい。まだまだ若輩者ですが、戦士をやらせてもらってます。では」
ミズトは
「なあヴィクター、どう思う?」
ミズトの背中が見えなくなると、ヴィクターの横にいた弓使いが聞いた。
「そうだなあ。あんな大人しくてひ弱そうなくせに、マックス以外全員倒す程の力があり、年齢のわりに落ち着いた態度で商人みたいな言葉を使ってくる。俺には分からんよ」
「だよな……。だが何にしても、第四の勢力にでもなったら面倒だぞ」
「ああ、そうだな……」
ヴィクターがそう言うと、『荒野の牙』たちはミズトの消えたエンディルヴァンド地下洞窟の入り口を静かに見続けていた。
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