全て見せちゃう!?

東京の街並みは、昔と変わらない。

私が学生の頃、よく渋谷に行った。

自分の目的が何なのかもわかってないくせに、そこにあるものが宝物に見えた。

結局それは、幻想でしかなかったけど。

友達や彼氏たちと過ごした充実した時間は今でも私にとってかけがえのない思い出。

そういえば高校の時、私を好きになった男の子が同時に二人いて、喧嘩でどちらが私を彼女にするか決めようとしたことがあったなぁ。

でも結局、私は二人とは違う人と付き合ってて言い出しにくくて、二人が喧嘩してるうちに逃げちゃったっけ?

そのあと二人は警察に呼ばれて、確か高校退学になったって・・・私が悪くなっちゃうじゃない。

勝手にあの二人が勘違いしただけなのに。

男の子って、ちょっと優しくすると自分に気があると勘違いするのよね。

優しい性格の私が悪いのかしら。

あっ、そうそう、こんな人もいたわ。

社会人になって、会社の新卒歓迎会でやたらと私に声かけてきて、そのあと、山ほどプレゼントを送ってくれた人。

当時住んでたマンションの部屋が、巨大なぬいぐるみで埋め尽くされて、足の踏み場もなくなって。

とうとうその人、マンションも高いからってローンの分まで払ってくれて。

会社で何かと私の顔をじろじろ見てきたっけ。

気持ち悪かったけど、マンション売る事が出来てお金に困らなくなったから良いってことにしとこう。




「メイさん、ここどうですか、貴方みたいに綺麗でしょう?」


「素敵!」


そこにある景色は、仁樹がプロポーズしてくれた場所。

仁樹はやっぱり最高の人だわ。

源五郎さんの満面の笑顔に心苦しく思いながら、車は高級ホテルへの道のりを辿っていったの・・・


高級ホテルのレストランで夕食を食べて…という予感は外れちゃった。

結構遠くまで車を走らせるなって思ってたら、着いた先は老舗旅館。


ここインスタで見た――、客室露天風呂が巨大なところーーー・・・?。

私って感がいいの。

源五郎さんが期待していることが手に取るように分かったの。


どうしようかなーー、私の全てを見せちゃう?


旅館の名前は「愛弾」。

あいぜんって読むんだって。

でもどう見てもあいびきよね。

古代の不倫用語だったっけ?


旅館の入り口に沢山の仲居さんがお出迎え。

私、雰囲気的にお泊まり?って思ったんだけど源五郎さん違うよね・・・


「メイさん、2泊3日で予約しました。ここも私の会社の系列で…」


「あのう・・・・」


私、主人に内緒の不倫てこと、源五郎さんにはっきり言った方がいいのかしらって思って


「源五郎さん、お泊りは困ります。」


ってはっきり言ったの。

そしたら彼


「メイさん、僕は本気でデートしています。メイさんは遊びですか?」


って意味深な言葉で私を困らせるの。

本気だなんて困るわ、だって、仁樹も莓瑠も大事なんだもん。

結局、女将が、源五郎さんを丸く収めて、休憩のみで、事なきに終わったわ。


お部屋は、この旅館で一番高いお部屋。

スイートね。

午後8時までここは私たち二人のラブスイート。


旅館だしー、温泉に入るから―、浴衣に―って思って。

でも源五郎さん、私の身体から目線を一度も離さないの。

もうエッチ―っ。

しょうがないわよね。

スイートとはいえ、狭いお部屋に男女が二人、しかもお互い目的は一つだもん。

源五郎さんの洋服店で着替えてた、ブランド品のお洋服のジッパーをゆっくり下げると、源五郎さんは完全に身を固くして、その姿をがん見。

そんなに見られたら恥ずかしくて…私どうしたらいいかわからないわ…。


しっかりと下着姿を見られた私は、恥ずかしいから大浴場へと行こうとしたの。

そしたら源五郎さん、


「先ずはこの旅館のメーンである客室露天風呂から始めてください。ここの温泉は順に、客室、家族、大浴場と順を追って入ることで美肌や疲労、生理痛などが改善されます。さあ、私もすぐに用意しますので先に客室露天の方へ。」


そっかー、美肌に、生理痛に効くんだー。

ってそれってホント?

受付の女性も女将もそんなこと一言も言ってなかったような…。

促されるままに、私、客室露天風呂へ。


そして私が下着まで取って、お風呂に浸かろうとかけ湯をしてると、スーッと、背後のドアが開いた気がして振り向くと、そこには源五郎さんが前も隠さず、裸のまま棒立ちになってて・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る