衝動愛
急いで家に帰ったけど、今日になるなんて思ってもいなかったわ。最初のデートの服っと…。あれ、私、な~んかまた忘れてるような気がするわ…。なんだっけなぁ???んん~、やっぱり思い出せない。たぶんたいしたことではないわ。それよりも約束の時間っと。12時なんて昼間のシンデレラみたい。きっと私は、ガラスの靴を落っことして去っていくのよ。これにしようっと。仁樹に内緒で買った勝負服。シャワーも浴びて下着も…。
「よし。」これで完璧ね。いいわ。この立ち姿。誰が見ても、イケ女。「ただいまー!」えっ、なに?だれ?うそ?その声仁樹????「あーーーーーーーっ、今日は彼の会社の創立記念日ー、朝、朝礼で挨拶したら、家に帰るって言ってた―――っ。社長がいると社員が気を使ってしまうからって――――――っ!」
この状況どうしたらいいのぅー―――――――!
「出かけるの?その洋服見たことないね。あっ。でも行ってらっしゃい。俺もこの後出かけるから。」仁樹はそそくさと着替えを始めた。なんかつれない態度に思えたけど・・・。もしかして浮気?って私も。気を取り直して、お出掛けOK!「じゃぁ、行ってくるね…。」って言おうとしたら「それじゃぁ、お先に!」って仁樹が先にお出掛けしちゃった。何をそんなに急いでるんだろう?もしかして、あらかじめ約束してて時間に間に合わないってこと?もう、誰と逢うの?また、ロボットソープの女の子?
「メイさん、お待ちしていました。」忍足さんの旦那様は、少し顔を上気させながら私に頭を下げてきた。そこら辺がやっぱり妻帯者の違うところ。変に手を降ったりすると周囲が変に思っちゃう、あっ、でも私達、これからへんなこと?いえ、変態ごっ…、嫌だぁー私ったら疚しいことはしたくないのにぃ…。「それじゃぁ、行きましょうか、私の店。此処から歩いて10分くらいですから。社員には、メイさんにお似合いなら私のほうが払うからと言ってあります。」嫌だぁー、お金持ちがよく言うセリフ。愛が醒めちゃいそうよ。そうだ、忍足の旦那様って私、名前も知らなかったわ。「忍足さん、ごめんなさい、なんて呼べばいい?名前存じ上げなくて。」「…、そ、そうでしたね。私のことは源五郎と呼んでください。」「げ、…。」いいの名前なんて、キラキラネーム以外はどうせ魅力なんてないし。「す、す、素敵なお名前ですね。」心にもないことを言うことってこんなにも苦しいことだと初めて知ったわ。だって、私がしてきた恋愛はいつも輝きに満ちていて、キラキラッってなってたもの。源五郎だと死んだお爺ちゃん思い出して泣いちゃいそうよ。きっと私が心配になったお爺ちゃんが忍足さんに乗り移って私を護ろうとしてくれてるんだわ。あれ~、何か浮かれた気分が冷めてきちゃった。しょうがないかな?お爺ちゃん大好きだったし、そういえば、子供の頃、私がねだるとお爺ちゃん何でも買ってくれたなぁ。そうよね。私には仁樹が居るもん。愛はやっぱり旦那様に預けるべきよ。でも、お爺ちゃんに甘えてあげなきゃ寂しいだろうから、一杯お洋服買ってもらおうっと。「おじい…、じゃなかった。忍足さん。早く行こうよぉ、私いっぱい甘えたいのぅ…」「えっ、いや、そんな、可愛い、参ったなぁ。じゃぁ、ハイヤーで行きましょうか。店まで2分ってとこかなぁ?」
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