エリートとの恋愛
仁樹と莓瑠が、家を後にして、私の気持ちは最高潮に達してる。
どこに連れて行ってくれるんだろう?翔海先生は。
東大出身でピアノ講師、期待しないなんてないよね。
きっと素敵なレストランで食事して、オーシャンビューのホテルで休憩なんて感じかな?
いえ、私が考えられないほどのサプライズに決まってる。
だって東大法学部だからね。
待ち合わせ場所はピアノ教室。
行ってみると先生は何故かピアノを弾いてた。
「・・・。」
言葉を掛け辛い雰囲気で音符の世界にのめり込んでるって感じだった。
「もう、先生。私来てるんだけど…。」
先生は、目を閉じたまま、ちょっと切ない曲の旋律を響かさせてる。
確か、この曲、先生が前に私と莓瑠に自己紹介として弾いてくれた…、なんだっけ・・・。
あっ、思い出した。
ノクターン、ショパンのノクターン第2番だ。
クラッシックが分からない私でも、ショパンは知ってる。
先生によるとノクターンって日本語訳は夜想曲で先生は瞑想の為に弾くんですよって言ってた。
先生、これから、性を始めるのに瞑想は要らないって思う…。
先生は、目を閉じて旋律を響かせてる。
すごく優しい朗らかな顔。
そして、細くしなやかな指先。
その一本一本の指使いが、人の心を操るようにまるで魔法をかけるように人を惹きつける何かを発してる。
オーラのような其れも神々しく無いっていうか、虹色に輝いてでも先生の存在はちゃんとあって…。
「先生、素敵」って言葉が喉の奥から湧いてきて、私、耐えきれずこう言ったわ。
「翔海先生、なにしてんの?行こうよ、サプライズデート・・・」
翔海先生は、世界にどっぷり浸かっていて、私の言葉が入らないみたい。頭の良い人ってやっぱり私には理解できないので先生をそのままにしてピアノ教室を後にしたわ。
出るときに翔海先生が私に、弾き語りデート如何でしたか?って言ったけど「良いの、私のことは。楽しかった?先生は。」って顔を見ないで言ったら、「貴女が満足なら私は今日という日を愛おしく思います。」だって。
シチュエーションが違ってたらその後元カレの処へなんか行かなかったのに!
そんなことがあって翔海先生とは、なんとなく自然消滅。
しょうがないよね。
先生にはピアノって恋人がいるんだもん。
今日も宅配の男が私に取り入ろうとしてサービスして来るけど、好みじゃないし、便利だから適当にあしらって重い荷物も、運んでもらってる。
えっ、家に入れたら危ないんじゃないかって?
大丈夫、仁樹に宅配業者専用通路を家の周りに作ってもらったから。
必要な場所に必要な扉もあって私には襲い掛かれないようになってるの。お金持ちって幸せしかないよね。
皆も同じことしてると思うけど…。
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