閑話 とある男子高校生の日常? 2

 輝はひとりいつもの帰り道を歩いている時だった。

 突然地震が起こったのだ、突然の地震に輝は立っていられず道の真ん中でしゃがんでしまった。

 輝は地震で周囲のものが落ちてこないか注意しながら収まるのを待っていた、だが周りを見渡したとき違和感を輝は感じたのだ。 

 確かに地震は起きている、自分以外にも周りに買い物帰りの主婦や学生犬の散歩中の老人など様々な人達がいるその人達も確かに突然の地震で騒ぎながらもしゃがんでいる。

 だがなぜか周りの人や動物は騒いでいるのに周囲の建物などは全く揺れたり壊れたりしていないのだ、まるでこの地震が生物にしか感じることができないかのように。

 数分後、ようやく地震が収まり周りの人達も恐る恐る立ち上がり自分が自分が無事だと分かると足早に自分の家に帰っていった。


 「いっ今のは一体なんだったんだ、あんなやばい地震初めてだったな……、楓たちは無事なのか?」


 さっきの地震に違和感を感じながらも輝はまだ学校に残っている4人を心配して学校に戻ることにした。

 学校に戻る途中、携帯に連絡しようかと思い4人に無事かどうかのメッセージをライン送ったが既読がつかず輝は4人の身に何かあったのかと焦燥に駆られ全力で走って向かった。

 ようやく学校に着いた頃、輝は肩で息をし汗をかきながらも急いでそれぞれがいるであろう場所へと向かう。

 輝はまず剣道部がいつも居る体育館に向かったが体育館には誰もいなかった体育館には楓と静華がいつも部活でいるはずだ。

 体育館に誰もいないことを確認した輝は次に弓道部のいる弓道場に向かったがそこにも誰もいなかった、ここまで誰もいないことに不安を駆られた輝は最後の望みを賭けて雪音のいる図書室に向かった。

 だが最後の望みも虚しくそこに雪音は居なかった、輝は荒い呼吸を落ち着かせながら4人がどこにいるのか考えながら学校中を探し回ろうとしたときだった。

 突然後ろから男に声を変えられたのだ。


 「おい、そこの生徒こんなところで何をしているんだ! さっきの地震で危ないから避難してすぐに中庭に集まるように指示が出ただろう!」


 輝の後ろから声を掛けてきたのは知らない先生だったおそらく一年の担当教師じゃない別の学年担当の教師だろう。


 「そっその、さっきの地震で友達が心配で携帯に連絡しても出ないので無事か確認しに戻ってきたんです」

 「あぁ、先に帰った生徒かい? 学校に残っていた生徒なら安心しなさい誰も怪我はしていないよ、ただ念のために部活は中断して中庭に避難させているけどね、友達もそこにいるだろうから中庭に行ってみなさい」

 「わっわかりました、ありがとうございます!」


 輝は教師に言われるままに中庭に向かった。

 中庭に向かうと大勢の生徒達が集まっていた、おそらく部活などで残っていた生徒達だろうこの中に楓たちがいるはずなのだ。

 輝は早速楓たちを探そうとしたがその前に声を掛けられた、その声がいつも聞く聞き慣れた声なので輝はすぐに反応して声のする方に顔を向けた。

 するとそこには楓、静華、葵、雪音が集まっていて楓が輝に手を振って呼んでいた。

 様子を見る限り4人とも無事のようだ楓たち運動部はそれぞれの部活の服を着ている、やはり部活中に地震が起きた為だろう。

 輝は楓たちのいる場所に行き無事か確認しに行った。


 「みんな! 無事か!!」

 「輝! うん、大丈夫! 私たちみんな怪我はしてないし、無事だよ!」


 楓が輝に無事だというと他の3人も自分は無事だと言うかの様に頷き返してくる。


 「そうか、よかった、帰りにいきなりすごい地震があったから4人のことが心配で戻ってきたんだ、なんで携帯にもメッセージ送ったのに返事くれないんだよ!」

 「だって私たち部活中だもん携帯なんて持ってるわけないでしょ? それに部活中に地震が収まってすぐに避難したから携帯なんて今も持ってないし」


 楓の話を聞いて輝は確かにと思った。

 確かに楓たちは部活をしてるのだから携帯を肌に離さず持っているわけがない輝は帰宅部なのでそのことに気づかなかったのだ。


 「輝は大丈夫だったのかしら? 帰り道で何か危険なことはなかった?」


 楓の正論を聞いて唖然としている輝に静華が輝に何か危険はなかったかを聞いてきた。


 「いっいや、地震はすごかったけど見た感じ建物なんかは壊れたりはなかった」

 

 「そうなの? おかしいわね、あれだけのすごい地震なら建物だって壊れててもおかしくないのに」


 そう、それは輝も違和感を感じたのだ何故あれほどの地震で建物が壊れないのかと。

 2人が不思議に感じていることを他の3人にも共有して話し合っていると教師達からの話が始まった。

 教師達はどうやら生徒たちを中庭に避難させたあと安全確認をして問題ないと判断したらしい。

 だが今日はこれ以上の部活動は中止となり各自すぐに帰宅するようにとのことであった、楓たちは部活が中止になったので教室に荷物を取りに行き更衣室でそれぞれ着替えに行った。

 帰る準備ができた楓たち4人は校門前で待っていた輝と合流して途中まで一緒に帰ることにした。

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