第10話 初ダンジョン防衛!!

 ついにダンジョンに探索者が入ってきた、相手は自衛隊と探索者あわせて10人の規模だ、初の侵入者にしては多い気が今はダンジョン防衛に集中することにした。

 ダンジョンのなかは一本道の洞窟になっている、通路は横に人が3人並べるくらいの幅しかない、侵入者は先頭に自衛隊員を3人まんなかに高校生探索者を5人後ろに残りの自衛隊員2人の列を作って進んでいる。


 「先頭にいる自衛隊員と剣を持っている男の子探索者と女の子探索者が前衛で中衛が槍と弓と杖を持った女の子探索者、後ろの剣を持った自衛隊員が後衛で後ろを警戒してるみたいだね」


 『ええ、弓と杖の探索者は後衛でもいいと思いますが、おそらくいくら探索者になったと言ってもまだ未成年の子供を出来る限り守ろうとしているのでしょう』


 侵入者達は警戒しながらどんどん進んでいきそして通路の真ん中あたりに差し掛かったところでようやく魔物と遭遇した。

 侵入者達は遭遇した魔物であるスライムに警戒しながら武器を構えた。

 スライムは見た目は可愛い雫の形をしていてクリッとした目が特徴のぬいぐるみにでもなってもおかしくない見た目をしているが攻撃手段が体当たりと酸を水鉄砲のように撃ってくるので油断はできないのだ。


 「侵入者達はどうやって戦うのかな、自衛隊はともかく探索者の方はどれくらい強いんだろう」


 自衛隊はダンジョンがこの世界に現れてから調査のために何度も入っているのである程度魔物と戦うのも慣れているだろう、だが探索者の方はどれくらいの戦闘力か未知数だ今のダンジョンでどれくらい戦えるのか不安が残る。


 『マスター、どうやら戦闘が始まるようですよ』


 先行はスライムの酸を飛ばす攻撃から始まった。

 スライムは先頭にいるロングソードを持った自衛隊員に向けて酸を吐いた、酸のスピードは時速120kmほどの速さだった、自衛隊員は避けようとするが通路の横幅がそこまで無く両隣に仲間がいたこともあり避けることができなかった。

 すると後ろにいた盾を持った女探索者が何か言うと自衛隊員がしゃがみ込んだ、しゃがんだ自衛隊員の上を飛び越える形で女探索者が前に躍り出て盾で酸を防いだ。

 そして酸を吐いて隙ができたスライムに右にいた剣をを持った自衛隊員が駆け寄り剣を振り上げてそのまま斬りつけた。

 斬られたスライムはそのまま消滅していきその場には魔物を倒すとドロップする紫色の小さい魔石が落ちていた。


 「まぁ、スライム1匹に苦戦するわけないよね、それにしても急造のパーティーにしては連携がしっかりしてるね」


 『そうですね、それにあの女探索者の状況判断も素晴らしかったです、やはり探索者の実力もそれ相応にあると言うことでしょう』


 スライムを倒した自衛隊員は落ちている魔石を回収して仲間と少し話したあと先に進み出した。

 先ほどのスライムを倒してからは魔物に遭遇することもなく洞窟の奥へと進んだが侵入者達は警戒を解いていない、それはそうだダンジョンに入って魔物がスライム1匹だけのはずがないのだから。

 先へ進み続けようやく開けた場所に出た侵入者達が見たのは何もない開けた空間だった。

 初めての開けた空間に警戒していた侵入者達はすぐにはなかに入ろうとせず通路の入り口からなかの様子を見て魔物がいないか確認をしていた。


 「まだスライム1匹に会っただけなのにすごい警戒してるね」


 『ここにくるまでにスライム1匹しか会っていないのですから警戒するのは当然でしょう、ましてやこんな障害物の少ない開けた場所、奇襲を警戒するのは仕方ないことですよ』


 侵入者達がたどり着いた最初の広場は人が隠れられるくらいの少し大きい岩が3つ程あるだけの空間だ、もしスライム以外の危険な魔物が現れた時隠れる場所が少ないのは致命的になる。

 

 侵入者達はゆっくりと広場に入っていく、ひとりふたりと入っていき全員広場に入った瞬間、今まで岩場に張り付いて擬態していた大量のスライムたちが姿を現した。

 突然現れたスライムたちに驚きそのあまりの多さに一時撤退しようとした時スライムたちが上に向かって大量の酸を打ち上げたのだ。

 撤退しようとした侵入者たちは上空に飛ばされた大量の酸の雨に顔を青ざめ全力で通路に避難した。

 侵入者のいなくなった広場に酸の雨が降り注ぐ。

 大量の酸の雨が降り終わった後には地面が酸で溶かされながら煙を上げて水溜りができている。

 その様子を見た侵入者たちはこれ以上先に進むのは不可能だと判断したらしく帰って行った。


 「なんか初ダンジョン防衛にしては呆気なかったね、まさか第1階層の第一広場も攻略できずに変えるなんて、正直見た感じ強そうだったからスライムたちに命令して初手奇襲からの酸の雨で攻撃するように言ったんだけど、まさか反撃もせずに帰るなんて」


 『そうですね、なかなかいい装備を身につけていたのでそれなりに実力があると思ったのですが、そうやら見掛け倒しだったようですねパーティーを組んでいながら倒したのがスライム1匹だけとは』


 「まぁ初ダンジョン防衛は成功ってことでいいけどこんなにすぐに変えられるとDPも少ししか貯まらないしダンジョン危険すぎると探索者も来なくなっちゃうからこれは各階層の魔物たちにしていた指示を変更して一斉攻撃とかはしないようにしておこう」


 今回は少しやり過ぎてしまったけどこれからダンジョンに探索者を呼び込むための作戦も考えないといけないし、ダンジョンも階層を増やしたり魔物や環境をもっと考えないといけないなぁ、やっぱりダンジョン運営は調整が難しいもっとバランスよく考えないと。

 


 

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