第5話 ダンジョン改装

 「よし! ダンジョンの入り口はこんな感じでいいでしょう、あとはダンジョンのなかを作らないと」


 美羅はダンジョンの入り口の見た目に満足して次にダンジョンのなかを作るために転移門を潜った。


 「へ〜ダンジョンのなかって作られたばかりだとこんな感じなんだ」


 美羅の目の前に広がる光景は何もない白い空間だった。


 「あれ? なんかこの空間ってどこかで見た気がするんだけど何処だったけ?」


 『マスター、おそらくそれはマスターが前に攻略したダンジョンのダンジョンコアがあったマスタールームでしょう』


 「あぁそっか、そういえばあそこに似てるんだ」


 『はい、あのマスタールームはほとんど手を入れていなかったのでダンジョンが作られた時のほぼそのままの状態になったいました』


 「そうなんだ、そういえばあのダンジョンってダンジョンマスターがいなかったけどなんでなの? まさか私が途中で倒したゴブリンがダンジョンマスターだったの?!」


 『いえマスター、あのゴブリンはただのゴブリンですあのダンジョンにはまだダンジョンマスターがいませんでした』


 「ダンジョンマスターがいなかった? どういうことなのコア?」


 『マスターが入ったあのダンジョンは生まれたばかりのダンジョンです、本来は時間をかけてダンジョンマスターや魔物などの様々なものを生み出すはずだったのですがマスターがたまたまダンジョンが生まれる場所にいたため一緒に飲み込まれてしまったのです』


 「なるほどね、つまり私はまだダンジョンがダンジョンマスターや魔物を準備する前にダンジョンに入っちゃったわけね」


 『そのとおりですマスター、本来ならありえないことなのですが一種のバグの様なことが起きてしまったのです』


 本来ならばダンジョンは生命体がいる場所には生み出されないようになっていただが美羅はたまたまダンジョンのバグによって取り込まれてしまったのだ。


 「まぁそのバグのお陰で私は無事にダンジョンを攻略して出ることができたんだから運が良かったってことね」


 『運がいいのか悪いのかはマスターのこれからにかかっていると思いますが……』


 「それよりダンジョンのなかをどうするかだけど私はダンジョンを初心者探索者からプロ探索者まで来れるダンジョンにしたいんだよね、だからまず1階層は地形を定番の洞窟にして魔物はスライムを召喚しよう!」


 美羅は真っ白い空間を【ダンジョン運営】を使い地形の欄から【洞窟10DP】を選び洞窟へと地形を変えたそして続け様に魔物の欄から【スライム1DP】を選びスライムを20匹召喚した。


 「よし! とりあえず第1階層は洞窟に決定ね、それと魔物はスライムにしたけど流石に探索者にやられるたびに召喚するのもめんどくさいしなんかいい方法はないかなコア?」


 『それなら階層ごとに自動召喚する魔物を選べますのでそれでスライムを選んではどうでしょう』


 【ダンジョン運営Lv1】


 【魔物欄】


 【スライムLv1】 1DP ・【スライム自動召喚Lv1New】 10DP・10匹召喚毎 5DP


 コアからのアドバイスを受け美羅は【ダンジョン運営】の魔物欄のスライムの名前の横を確認すると先ほどまではなかった【スライム自動召喚Lv1New】という表示が現れていた。


 『魔物は一定の数を召喚すると魔物の名前の隣に【自動召喚Lv1】が表示されます、これは召喚する対象の階層に登録した魔物を自動で召喚し続けることができます、自動召喚で魔物を召喚した場合はDPの消費はスライムの場合10匹召喚毎に5DPと半分の消費となり自動召喚は通常召喚よりもお得になります、また自動召喚はスライム1匹召喚するのにLv1の場合10分かかります、それと階層ごとの魔物の上限を設定しておけば数が減るまで上限を超えて召喚はされません』


「なるほどね、これならわざわざ数が減るたびに召喚しなくてすむし探索者が来なくて魔物で溢れかえるなんてことにもならなさそうで良かった、じゃあその設定も全部やっちゃおうか」


 美羅は【ダンジョン運営】スキルでスライムを1階層に自動召喚の登録を行い上限をとりあえずは100匹としたこれにより1階層はスライムを上限の100匹になるまで常に召喚し続けることができる。


 「これでスライムはいいけど今後スライムの数が増えることを考えたら洞窟ももう少し大きくしたほうがいいかな」


 美羅はまたスキルを使い今度は洞窟の拡張を行った。


 【ダンジョン運営Lv1】


 【1階層】・地形【洞窟】・拡張 50DP


 美羅が洞窟を200DP消費して拡張すると元々の洞窟の大きさが10×10の正方形の形だったのが50×50に大きくなった。


 「おおぉ、かなり大きくなったんじゃない? でも正方形の大きい洞窟ってダンジョンとしては微妙だよねこれ形も変えないと」


 美羅はスキルを使い洞窟の形を変え始めた、ちなみに階層の拡張にはDPが消費されるが形を変えるだけならDPの消費はないのだ。

 美羅はコアにアドバイスをもらいながら洞窟の形を正方形から作り変えていく。


 「できた! なかなかいいんじゃない? これでダンジョンの第1階層はひとまず完成かな」


 美羅が作り終えた洞窟は元々の正方形から洞窟らしい形になっていた。

 ダンジョンの入り口から長い道が続き足元は洞窟らしく多少の凹凸のある道になっている、また5分ほど歩くとバスケコート一面分の広さの空間にでるそこはスライム達の溜まり場になっていてこれから少しづつスライムが増えていくはずだ、そしてそこを抜けるとまた道なっていてまた5分歩くと同じ大きさの空間があるという1階層の洞窟は2つのスライムの溜まり場がある階層になった。

 この2つの空間を抜けた先にある道を進むと次の階層に進めるのだ。


 「1階層目を作るだけでかなり時間が掛かっちゃった早くしないと商店街に人が来ちゃいそう人に見つかる前に帰りたいんだけど」


 『マスター、それなら家に帰って続きをすればいいのでは?』


 「えっどういう事? ダンジョンを作るのはダンジョンにいる時じゃないとできないでしょ?」


 『たしかにダンジョンを作るのは実際にマスターの決めたこの店舗に来なければ行けませんがその後の作業はマスターがダンジョンにいる必要はありませんよ、それにマスターの家はすでにわたしが座標を登録していますのでわざわざ歩いて帰らずともを使いすぐに戻ることができます』


 美羅はコアの話に唖然とした、ダンジョンを改装するにはダンジョンにいなければいけないと思っていたし、帰る時も人に見つからないように注意しないとと思っていたのだそれが全て無駄なことだとは思わなかった。


 「はぁ…、それじゃあ変える時はコアに転移をお願いするとして、ダンジョンの改装とかはできるだけダンジョンでやりたいかな、やっぱり【ダンジョン運営】のスキルボードでダンジョンの確認はできるけど実際に見ながらやったほうが違いとかもわかるしね」


 『その辺りはマスターの好きになさってくださいマスターのダンジョンですからマスターのこだわりなどもあるのでしょう』


 「…うんありがとうコア、それじゃあこのまま2階層も作りに行こうか!」


 美羅はコアに自分のわがままを許してもらったことを感謝しながら次の改装作りに向けてダンジョンの奥に進んでいく。



 

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