第一章 ダンジョン生成

第1話 ダンジョン攻略

 「え? なんで私洞窟の中にいるの?」


 今私は何故か薄暗い洞窟の中にいた。

 数分前の事だ、その日私は学校が終わり部活もやっていないのでそのまま家に帰宅している途中だった。

 何も変わらない日常の風景だ、いつも通り家に帰るだけそれだけのはずだった。

 突然ものすごい地震が起きたのは、私はあまりにすごい地震に立っていられずにしゃがみ込んで頭を抱え目を瞑り地震が収まるのをじっと待った。

 数分か数十分か体感時間でどれくらい経ったのかわからないくらい地震が続いたと思ったら突然ピタッとまるではじめから地震なんてなかったかの様に消えてなくなった。

 私は地震が収まったのかと思い目を開けるとそこにはさっきまでいたいつも見ている帰り道ではなく薄暗い場所にいた。

 明かりがないのに何故か薄らと見えるくらいに明るい、私がいる場所から見える範囲は壁も天井も洞窟のようにゴツゴツした石で出来ている文字通り洞窟と言える様な場所だった、私が携帯のライトで照らしている訳でもないのに月明かりに照らされているかのように洞窟内が明るかった。

 私は何故こんな洞窟にいるのかさっきの地震はなんだったのかわからない事知りたいことが幾つかあったがそれよりもまずはここから出て家に帰って家族が無事か確認するのが優先だと思い何とかこの洞窟から出られないか確認する事にした。


「私がいる場所は洞窟の行き止まりみたいね、どこかに隠し扉的なのがないか期待したんだけどしょうがないわね、やっぱりこの道を進んでいくしかないか」


 私の前には唯一の道がある、つまりここから出るためにはこの一本道を進まなければいけないのだ。


 「なんか誘われてるみたいですごい怪しいけど仕方ないか」


 私は何が起きてもいい様に警戒しながら一本道を進んでいく。


 〜〜数分後〜〜


 「何かあるかもと思って警戒してたけどここまで何もないしただの洞窟なの?」


 洞窟を進み続けて何も起きないことに安堵して警戒を緩めてしまった時それは聞こえた。


 ザッザッザッザッザ


 何かの足音の様なものが聞こえ私はビクッと足を止めて頭の中が混乱してしまった。

 近くに隠れられる場所はない、もしこの洞窟に住んでいる獣それも熊のような大型の獣がいた場合私はほとんど抵抗できずに殺されて食べられしまうだろう、でも逃げ場なんてものはない後ろに走って行っても結局は初めの行き止まりに行き着くだけだ、それなら覚悟を決めて戦うしかない。

 私は今持っている持ち物を確認した、カバンの中に入っているのは教科書とペンケースとノートに財布とお茶が入ったペットボトルだ。

 この中で何とか戦うのに使えるのはペンケースに入れていた学校の授業で使ってそのまま入れっぱなしのカッターと小型のハサミだけだ、ペンも突き刺すに使えるかもしれないがそれよりもカッターやハサミの様な明確に刃物とわかる物の方が精神的に安心もする。


 「何とか使えるのはカッターとハサミか、でもハサミは小型のハサミだから刃の部分が小さいしカッターみたいに斬りつけるのは難しそう、そうなるとやっぱりカッターしか武器になりそうなものはないか」


 私は覚悟を決めてカッターを持ち刃を出しながら何かが来るのを息を殺してまった。

 そしてとうとうその何かが姿を現した、目の前にいるのは全身が緑色で腰に布を巻いて片手に棍棒を持ったファンタジーに出てくる魔物のゴブリンだ。

 身長はそこまで高くない私は結構身長が高く180㎝もあるその私の腰の辺りだからおそらく110㎝くらいだと思う、そのゴブリンが私を見つけて棍棒を振り上げぎゃあぎゃあ言いながら走って近づいてくる。


 「ちょ!? いきなり走って近づいて来ないでよ!!」


 いきなりゴブリンが走ってきたことに驚き私は一歩後ずさってしまった。


 「くっ! ここで倒さないと私が死ぬ!」


 私は逃げたい気持ちを押し込めて勇気をもってゴブリンに挑んだ。

 こっちの武器はカッターともしものための小型ハサミあとペンだけ、とりあえずあの棍棒に当たらないようにしないと多分あれに当たると骨が折れるんじゃないかしら。

 私はゴブリンの動きをギリギリまで観察してゴブリンが私の頭を殴るために飛びかかってきたタイミングで横に飛んで躱した。


 「ぐぎゃあ!?」

 

 「はぁ!」


 ゴブリンは私に攻撃を躱されたことに驚き動きを止めて私と見つめている、私はまた攻撃される前に反撃しようとゴブリン向かっていきゴブリンの急所である首をカッターで斬りつけた。


 「ぎゃぁぁぁぁ」


 ゴブリンは首から紫色の血を噴き出しながら倒れ少ししてゴブリンの死体が消えてしまった、後には小さい小指の先程の紫色の石が落ちていた。


 「はぁはぁ、なっ何とか勝てた何か落ちてるわね何これ石? 宝石にも見えるけど色的にアメジストかな?」


 何とかゴブリンを倒せたことで私は全身の力が抜けてその場にへたり込んでゴブリンが落とした石を眺めていた。


 「はぁ、まさかゴブリンなんていうファンタジーの生き物が出てくるなんてどういうこと? まさかこの洞窟がダンジョンだなんて言うんじゃないよね」


 私は座り込みながらまた洞窟の壁や天井を見ていた。

 その場にへたり込んでから1分か2分か短い時間茫然としていたけどまたゴブリンがいつくるかもわからない事を思い出した私は急いで立ち上がりカッターを持って最大限警戒しながら洞窟の奥へと少しずつ進んで行くのだった。

 


 

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