第6話三話小百合視点。
私には付き合って半年の彼氏がいる。名前は修二。
どこにでもいるごくごく普通のサラリーマンだ。
私は彼氏と1LDKマンションの一室で生活している。
そして、同棲してから一か月にさしかかったある日事件は起きた。
「今日は俺が夕ご飯作るよ。こう見えても美味しいんだぜ」
「ほんとに! 楽しみにしてる!」
私は普段料理担当で疲れていたので、嬉しくて羽目を外せると思い、喜んだ。
彼氏は楽しそうに台所でご飯を作って、私はリビングで椅子に座って机の前で待っていた。
そして、料理が出来上がり、机に彼氏が出来立ての料理を笑顔で持ってくる。
その料理はチンジャオロースだった。
(え……ピーマンだ……どうしよう)
私は、内心困惑する。
私は、ピーマンが苦手だ。
彼氏がつくってくれたし、とりあえず食べないといけないよな。でも私ピーマン嫌いだし、まあとりあえず肉だけでも食べておこう。困ったな。
内心そう思い、とりあえずお肉だけ食べる。
すると彼氏がいきなり私に聞いてきた。
「そういえばさ、さっきからなんでピーマン残してるの?」
私は内心ドキッとしながらも、正直に言う。
「え、とね。私……ピーマン嫌いなの」
「マジか! ちゃんと食べたほうがいいぞ!」
すると、彼氏は私の気も知らないで説教してきた。
余計なお世話だ!
食べれない人の気持ちを考えろと少し思った。
「好き嫌い良くないぞ」
「そうなんだけどさぁ。苦いから苦手なの」と私。
彼氏がくどくど言ってくるのに対して、イライラして、言い返す。
「わかってるけどさぁ、でもさ、そういう修二こそ茶碗にご飯粒いっぱい残して子供みたいな食べ方だね。」
前々から思っていたこともあり、いい機会だと思った。
すると、彼氏も言い返してきた。
「なんだと。ピーマン食べれない奴に子供とか言われたくないわ。美味しいからとりあえず食べてみ」
「嫌だよ。嫌いだし。」
私は全否定した。そもそも小学生の時に食べて苦かったのが、トラウマだ。
「お前の悪い所はそう言う所だぞ。子供みたいだ」
また、文句を言ってくるので、私はたまりにたまっていたことを吐き出し始めた。
「じゃあもう一度言うけどね。そんなこと言ったら修二だってお茶碗にご飯粒いっぱい残して子供みたいだよ」
「これは取りにくいからあえて食べないだけで、俺は好き嫌いないぞ」
「それが一番たち悪いじゃん。」
私は、食べれるものを粗末にする彼氏に、怒りを感じた。
「そうかな」
私はとぼけたのを見てさらにイラついてとうとう行ってしまう。
「そうだよ。洗い物するのは私だよ。ちゃんと綺麗に食べてよ」
「え、とそれは……」
私は彼氏が、不満そうな顔をしたのが分かった。
私は攻めた。
「どうしたの? 食べないの?」
諦めたのか彼氏は茶碗にべたついたご飯を食べた。
食べ終わると当たり前のことなのに、ドヤ顔をしてきた。
私が褒めると、彼氏が喜んでいたのもつかの間。
今度は私が攻められる。
え、どうしよう……消えたい
私が必死に悩んでいるのに彼氏は煽ってくる。
私はそれに嫌悪感を抱く。
なんで私……こんな攻められているの?
そんな事を思っていると、さらに煽ってくる。
正直しんどい。
仕方なく一回だけと決めて目をつぶってピーマンを食べると、私の中の嫌いが解消されていく。
「どうだろ。美味いだろ。」
食べる前彼氏はそんな事を言ってた気がする。
「嘘。美味しい。こんなにおいしかったんだ」
私は感動すら覚えた。
そんな時、彼氏は自慢げな顔で言ってくる。
「まあ、俺の料理スキルが高いからだよ」
私はそれを聞いて内心やっぱり子供だなと思った。
「またそうやって調子乗るでしょ」と私。
「でも、俺の料理で食べれるようになったから、そういう事だろ」
「そういう事にしといてあげるよ」
私は軽くあしらった。
こうして、私達は嫌いな物を克服して、彼氏は綺麗にご飯を食べるようになった。
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