第5話3話の修二視点 一人称

 俺と彼女が付き合ってから半年が経った。彼女の名前は小百合。

 背は一般的な女性より高くて、可愛いというよりかっこいいという感じ。

 そんな彼女と俺は1LDKマンションの一室で生活している。

 そして、同棲一か月にさしかかったある日、事件は起きた。


「今日は俺が作るよ。こう見えても俺の料理美味いんだぜ 」

「ほんとに!」

 俺は彼女が手料理を食べて、美味しそうに食べてもらえるのを楽しみに作り始める。

 作るのは、一番の得意なチンジャオロース。

 俺は、これだけは誰にも負けない自信があったのだが。


「出来上がったよ。これが俺の得意料理チンジャオロースだ。」

 料理を机に持って行った時、彼女は無言で料理を見る。

 俺が作った料理が、美味そうに見えて感動してるみたいだった。


「それじゃあ食べよっか」

「そ、そうだね。美味しそう。冷めないうちに食べないとね」


 そして彼女は、美味しそうに食べていたのだが。


「そう言えば、さっきからピーマンなんで残してるの?」

「え、とね。私ピーマンが苦手なの。」

 それを聞いて俺は衝撃を受ける。

 こんなかっこいい女性が、ピーマンが嫌いだなんて。

 俺は、好き嫌いは彼女の体に良くないと思い、とっさにこう伝えた。


「マジか! ちゃんと食べたほうがいいぞ」

「そうなんだけどさぁ。苦いから苦手なの」

 彼女のその言葉に、お前は子供か!と心の中で思わずつっこんだ。


「好き嫌いは良くないぞ」

 もう一度俺が注意すると、彼女が話を変えてきた。

「わかってるけどさ。でもさ、修二こそ、ご飯粒を茶碗にいっぱい残して子供みたいだね」


 俺は痛い所を注意されたと思い、すぐさま言い返した。


「なんだと。ピーマン食べれない奴に子供とか言われたくないわ。とりあえず食べてみ」

 彼女は一貫してピーマンを否定する。

 それに対して、俺は彼女の体を心配して叱る。


「お前の悪い所はそう言う苦手意識が強い所だぞ。そういう所子供みたいだ。」

 すると今度は彼女が俺にダメ出しを本気でしてきた。

「じゃあ、もう一度言うけどね。そんなこと言ったら、修二だってお茶碗にご飯粒いっぱい残して子供みたいだよ」

 俺は反論しても負けると思ったが、言い返す。


「これは、取りにくいからあえて食べないだけで、俺は好き嫌いないぞ」

 すると彼女は俺の悪い所を指摘するようにつっこんできた。

「それ一番たち悪いじゃん」


 俺はとぼけた。

「そうかな?」

 俺がとぼけた後、彼女は不満ぽい事を言ってきた。

「洗い物するのは私だよ。ちゃんと綺麗に食べてよ」


 俺は不満がある中、言葉を失う。

 そして、彼女に威圧的に一言言われる。

「どうしたの? 食べないの?」

 俺は仕方なく、へばりついたご飯を必死に食べる。

「どうだ! 食べたぞ」

 たぶん、かなり威圧的な顔をしたと思う。


「やればできるじゃん」と彼女は俺に言う。

 俺はその言葉を聞いて、喜んだ。


 そして俺の反撃が始まる。


「今度はお前の番だぞ。さあ、ピーマンを食べましょう」

 彼女は戸惑っている様子だ。

「早くしろよ」

 俺は彼女を焦らせる。ちゃんと言われた通り俺は食べたんだ。このくらい言えて当たり前だ。


「早く、早く、早く」

 俺は煽りをかけまくる。


 すると、目をつぶって彼女はピーマンを食べた。


「どうだ? 美味いだろ」

 俺は自信を持って言った。

「嘘。美味しい。こんなにおいしかったんだ」

 どう思ったのかはわからないが、感動していたのは確かだ。


 俺は調子に乗って彼女に言った。

「まあ、俺の料理スキルが高いからだよ」

 俺は彼女がピーマンを食べれた事を自分の事のように思い、テンションが上がり嬉しかった。


 そして、俺のお陰で食べれただろという感じでドヤ顔もした。


「またそうやって調子乗る。悪い癖だよ。」

 彼女はそのドヤ顔に指摘してきた。

 

 でも俺のお陰には違いない。俺も悪いところがあったが、彼女も悪い所があってお互い克服した時の話だった。



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