第5話 新世界

 新世界は、3年で3万人になった。人口が増えるにつれて、政治機構を完備した。最高機関は4人で編成し、直轄に農林水産経済省があった。4人の合議制で日本国は動いた。内閣の首相や大臣は、この時代の人種から選出した。内閣総理大臣と副総理は4人で選出した。財務大臣と副大臣は陽斗が弟子を任命した。文部大臣と副大臣は伊織が弟子を任命した。建設大臣と副大臣は颯太が弟子を任命した。そして防衛大臣と副大臣は祐樹が弟子を任命した。全組織は、男女が同数程度だった。大臣と副大臣はどちらかが女性だった。

 東北から南下し都市を10数箇所も建造した。関東の首都には1万人が住み、政治都市として機能していた。そのほかの都市には2万人が住んでいる。農業都市や林業都市、水産都市、工業都市、資源都市、学術都市、観光都市、田園都市、防衛都市に別れて住んでいた。地方都市は、市長と副市長が任命され、1年ごとに替えられた。権力の集中を防ぐためだった。


 都市の移動は、電動バスであった。都市内の電動バスは全て無料だった。都市は、大型動物からまだ守らなければならない時代が続いていていた。

 住居は鉄筋コンクリート造りのマンション群だった。いずれのマンション群付近には、デパートや公園、競技施設が揃っていた。首都では、芸術文化も生まれてきた。これまで、武力で支配した種族はない。同一民族なので、より近くの種族の使者を送って、容易く組み入れる事が出来た。しかし、文字を持たない人種に、最初からお互いが分かり合えるというのは難しいので、圧倒的な優位を見せることもあった。それは、狩りの仕方で、数々の驚異の武器などであった。

 国民は、好きな仕事を選び、報酬の給料を得た。生活に必要なものは配給された。余暇では、施設などでの娯楽のほか、川や海で魚釣りをする者や山で山菜採りをして遊びを楽しんでいる。

 余暇の中で、食べ物を家に持ち帰り蓄える者もいた。少量は問題にはならない。それは、誰にでも許された事だからだ。しかし、鉄や金、銀などの鉱物は、みんなの物だった。



 狩猟採集民の移動生活からの脱出のため、集団で暮らし、道路を繋ぎ、電動バスを走らせた。国民にはマウンテンバイクや電動自転車が与えられていた。電気は電線ではなく、都市ごとのクリーンエネルギーの発電施設があった。また、蓄電池も用意されていた。放送や通信は、人工衛星が担っていた。腐食の問題がある水道は作らず、井戸や貯水施設を活用し水道のように衛生的な水を供給した。そのためにも、化学薬品などによる土壌汚染対策は厳しく行われ、工業地域が決められていて、住宅地域とは分けられていた。土地の利用は厳しく管理されていた。そのため下水道は、地域ごとの狭い範囲で処理されていた。また、人口爆発にも、未来に対する意識を高めていた。経済至上主義の社会にしないためにも、生活必需品はみんなに支給された。つまり、余暇以外はお金を使う必要がないぐらいだった。

 前の時代で、この地球に住む人類は、地表の1パーセント足らずの厚さに住み、噴火や地震の危険にさらされて来た。また、台風や洪水、土砂災害、竜巻、高潮、雪崩、吹雪、落雷、干ばつ、熱波、冷害など自然災害に見舞われていた。この災害に立ち向かうためには、災害から守る建物の構造や場所の必要性と守れるだけの人口の適正数が大事になる。人口爆発が起こっている地球では、守れる命も見捨てられ、経済成長だけが重宝されていた。


 教育により互酬の精神が徹底でき、富の集中が人間を狂わすことを説いた。また、人類の人口爆発が世界を滅ぼすことを説いた。

 このまま、技術革新が進めば、前の世界と同じ経済が発生する恐れがあった。しかし、平等を謳った互酬世界は、格差をなくすための最大級の累進課税制度になっていた。また、ベーシックインカムで生活保障(食事と住居、仕事)と社会保障(医療と出産、失業、老化、死亡など)が完備されていた。

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