第2話卵

僕は小学生の頃、ニワトリに興味があった。

親類がニワトリを飼っており、たまに取れたての卵をもらう時があった。

僕もニワトリを飼いたい……。

僕は冷蔵庫にある卵1個を自室に運び、その卵をハンカチにくるみ、夜は、電気ストーブの近くに置いて、寝ていた。

1ヶ月はその卵を温めた。

だが、ヒヨコは生まれない。

ある日、僕は待ち切れずに、卵をそっと持ち、タオルの上で卵を割ってみた。

その時僕は、せめてヒヨコの段階であろうと、期待していた。


パカッ!


つ〜ん、もわ〜ん。


中から出て来たのは腐った卵であった。

僕は有精卵と無精卵の違いを知らなかったのだ。

僕は肩を落としながら、タオルを水洗いして、洗濯機に放り込んだ。

冷蔵庫の卵がニワトリになると、信じていた時代の悲しい思い出である。

臭かったなぁ〜。

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