第3話 初任務

統一歴4057年1月16日


現在の銀河では多数の種族や国家が存在し、宇宙航行をはたしている。そして現在の「人間」の定義は「一定の文明があり、思考力、コミュニケーションがとれる存在」としている。異星種族同士がコミュニティを作るのも当たり前の時代となった。


宇宙進出によって惑星間の移動が当たり前になっている昨今重要度を増しているモノがある・・・「検疫」である。

惑星内でも厳正な管理をしていたが、他の惑星から得体の知れない動植物やウィルス・細菌類を持ち込まれた際の悪影響は火を見るよりも明らかだろう。

検疫されていない生物を持ち込むのは大抵の国では厳罰に処される場合が多が、自分が住んでる惑星外の動植物を「飼いたい」人間は多く、「検疫専門の民間企業」が存在する程需要が高い。


〜惑星アヴァラント 中規模都市バーミントへ移動中の装甲車〜


スミスが運転席、ギャレスは助手席、リコとアーセルスが後部座席でドローンと銃器の動作確認をしている。


スミスが尋ねる

「リーダー行き先は?」


「EFBI(ユーリシア連邦捜査局)アヴァラント・バーミント支部に行き、"アポロ"の情報収集を行う」


「了解」


後部座席からドローンの調整をしているリコが疑問をぶつける。


「何で地元の警察は手を出さないの?」


その疑問にスミスが答える。


「どうやらアポロの生産者達は地元警察に賄賂を渡しているらしく、捜査妨害や証拠隠滅を手伝わせているようだ」


ギャレスが続いて答える


「その妨害にEFBIも参っているみたいだから"部外者である俺達"が歓迎されているのさ」


「色々言ってるが要は"敵をぶっ殺してドラッグ撲滅"すれば良いだけなんだろ?」

ガチャンとアーセルスがアサルトライフルのマガジンを装填しながら笑う。


〜EFBIアヴァラント・バーミント支部〜


ロビーにギャレスとスミスが現れた。アーセルスとリコは車で待機している。そこにEFBI捜査官のジャケットを羽織ったリタニアン話しかけてきた。


???「あなたがISIA捜査官のギャレス・ヴァガリアンですね?」


「そうですが、あなたがISIAに捜査要請を行った"ユージーン・ラヴェンツェ"ですね?」


「えぇここでは話せないので場所を移しましょう」


〜EFBI内 会議室〜


ブラインダーで中が見え無い上、遮音性の高い会議室に通された2人。事務作業用人型二脚ロボットが飲み物を用意しており、ユージーンがアポロに関する情報を提供している。


「アポロはここアヴァラントだけでなく連邦全域、そしてシタデルにも密輸されてるのはご存知ですね。アポロ生産に必要不可欠な原材料となる植物"ロシェン"はここアヴァラントで採れますが惑星外に持ち出すのはアヴァラント検疫局から"禁止"されており、惑星外に持ち出してアポロを生産するのはリスクリターンが見合わない為アヴァラント内で生産する事がほとんどです。ですが一度外に出してしまえば追跡が非常に難しいので何らかの方法で惑星外に持ち出す、あるいはアヴァラント内のドラッグラボで生産しているのでしょうが、未だ正確な原因は特定できていません。そこで」


そう言ってユージーンはタブレットで"地図"と"ある人物"を2人に見せた。


「ここはバーミント内にある"ドラッグストア"ですが、裏では合法非合法問わず"薬を売買"しています。そこにアポロを流通させたバイヤーであるドラゴニュート族の女"ミャソーネ・ヴェネリコフ"が卸し売りを行うと情報が入りました。コイツならアポロの製造業者とも何らかの繋がりがあるでしょう」


ユージーンが一通り説明し終えるとスミスが尋ねた。


「護衛の有無やドラッグストアの従業員が"抵抗"する可能性は?」


ユージーンが答える。


「ミャソーネはゴロツキを5人程雇い武装させていますし、従業員も"抵抗"する可能性は大いにあり得ます」


「分かりました。いつその取引が始まりますか?」

今度はギャレスが尋ねる。


「明後日の18日16時ごろです」


〜2日後 15時 ドラッグストア"ヒール"から少し離れた場所に止めている装甲車内〜


車内はカチャカチャ音が鳴り響き、武器やアーマー・装備品の最終チェックを行なっている。

 ギャレスは実弾アサルトライフ"DCS65"や実弾ハンドガン"ウェリントン"、アーマー、グレネードのチェック。

 スミスは実弾コンパクトアサルトライフル"M9カービン"や8連式グレネードランチャー"JACK-8"、そして大量の爆薬を用意している。

 アーセルスはエネルギーウェポン(実弾を使わないビーム兵器等の総称)のサブマシンガン"ライザー"やエネルギーハンドガン"スウィリテント"、他にも"ナイフ"や"アーマーのチェックをしている。


突然装甲車のドアが開きリコが入ってきた。


「やーっと仕込みが終わったよ」


そう言っておもむろに腕に装着しているデバイスであるモノを確認し始めた。

 画面にはドラッグストア"ヒール"とその周辺を取り囲むように設置された4機の「タレット」と"ヒール"の上空を旋回している、高性能カメラやサーモグラフィーを搭載した偵察用ドローン、「ピジョンドローン」・銃器を搭載した戦闘用ドローン、「ホークドローン」からのカメラ映像が映されていた。


「ドローン・タレット共に動作良好、いつでも行けるよ」


「リコお前の銃もセッティングしておいた。後はセーフティを解除するだけだ」


そういって実弾カービンピストルKE6をリコに渡し、改めてチームに目的を伝える。


「今回の標的は"ヒール"に卸売を行っているドラッグバイヤー"ミャソーネ・ヴェネリコフ"というドラゴニュート族の女だ!コイツはアポロを各地へ流通させた第一人者であるため製造業者とも何らかの繋がりがある可能性がる。そのため"ミャソーネ"は生きたまま捕えるが、武装させたゴロツキを5人程をはべらせているため戦闘になる可能性は非常に高い。リコ"ヒール"の情報は?」


「ピジョンドローンのサーマルカメラで6人検知、武器の有無は不明」


「そのまま監視を続けろ」


「了解」


〜1時間後〜


「"ヒール"の駐車場に大型トラック1台と黒のSUV到着!出てきたのは・・・"ミャソーネ"本人とその護衛5人!!武装はサブマシンガン3、ショットガン2!」


リコが声をあげて報告する。


「よし行くぞ!」


ギャレスの掛け声を合図にチームは作戦を開始した。


〜ヒール 駐車場〜


ミャソーネが商談を始めていた。


「コレがお求めの"アポロ20キロ"と他に・・・」


商談を進めていると・・・パン!!


乾いた銃声が聞こえたと同時に護衛の頭に風穴が空きそのまま倒れてしまった。慌てて銃声の聞こえた方向を確認すると、武装した4人組が武器を構えて近づいてきた。


「サツだ!逃げるぞ!」

「援護するから運転しろ!!」


ゴロツキ4人は闇雲に撃ちながらミャソーネを連れて逃げようとし、"ヒール"の従業員達は脱兎の如く逃げ出したが、キーパーズは冷静に応戦し、スミスが車で逃げれないようにグレネードランチャーに特殊な弾頭を込めている。


「逃しはしない"フルメタルボール弾"を撃つから援護してくれ」


この言葉を合図にギャレス・リコ・アーセルスの3人はゴロツキ達に制圧射撃を行い撃たせないよう牽制している。そして間髪入れずスミスの放った"フルメタルボール弾"が車の前輪に当たり、エンジンまで到達した為、車は使い物にならなくなってしまった。


 フルメタルボール弾はEFBIが主導となり開発したグレネードランチャー弾である。現在はテクノロジーの進歩のお陰で"空飛ぶ車"が走っている事も当たり前となったが、これは従来の車両無力化用の装備である「スパイクベルト」等が効かなくなった事を意味しており、新たに開発した車両無力化用装備である。

フルメタルボール弾は「爆発しない」のが特徴で「殺傷力」より「貫徹」と「物体破壊」に特化している「鉄球そのもの」を発射するため、エンジン等を破壊するのが容易となっている。


 車が使えなくなったミャソーネ達が徒歩で逃げようとするが、リコの「ホークドローン」がゴロツキ達の側面から射撃を行う。この攻撃によってゴロツキがまた1人倒された。

3人となったゴロツキ達はホークドローンを撃ち落とそうと試みるが、リコの巧みな操縦によって回避され、不用意に身体を遮蔽物から出してしまい、ギャレスの"DCS65"からの正確な3発の弾丸がゴロツキの1人に命中した。


完全に身動きが取れなくなったミャソーネとゴロツキ2人にスミスがフラッシュバングレード投げ込み、強烈な光と爆音が彼女達を包んだ。


ゴロツキ達が怯んでいる隙にアーセルスが一気に距離を詰める。未だ目と耳が機能していないゴロツキの1人に向けて"ライザー"のエネルギー弾を撃ち込みんで倒した後、流れる様にハンドガンへ持ち替え、"スウィリテント"の光線を残ったゴロツキの頭に2発撃ち込んだ。


ミャソーネが慌てて逃げようとしているが、ギャレスが先回りしており、取り押さえられ手錠を掛けられている。取り押さえている間リコがピジョンドローンで周囲を確認している。


「クソがアイツら金だけ取って何も出なかったのかよ!」


ミャソーネが喚いているがキーパーズはお構い無しに警戒と拘束作業を続ける


「ドローンに映る人影無し!」


「こっちもミャソーネを捕らえた!撤収するぞ!」


キーパーズは無事ミャソーネを回収したのだった。


〜EFBIアヴァラント・バーミント支部 取調室〜


ギャレスがミャソーネを問い詰めている。


「アポロの製造場所を教えてもらおうか」


「アタシは何も知らないわよ」


「何だと?」


ギャレスが睨みを効かせるがミャソーネはどこ吹く風と言う様子だ。


「いい?アタシの仕事は生産者と小売業者の"仲介役"ッてだけなのドコでダレがナニを作ろうがアタシには関係無いの。それにこの業界は"知らなくて良い事を知ろうとする"のは御法度なのよ」


取り調べ室にユージーンが入ってきた


「後は私に任せてください」


とギャレスに優しく一言告げた後、ミャソーネに向き合う。


「ミャソーネお前には薬物売買や賄賂を含めた8件の罪に問えるんだが、この罪を軽減できるかも知れない・・・どうする?」


「司法取引ってことね・・・なにを聞きたいの?」


「アポロについての全てだ」


「良いわ、アタシが知ってるのは保管所兼受け渡し場所として使われてる廃墟があるの、その場所を教えるわ。それ以外本当に何も知らないから」


こうしてミャソーネから新たな手がかりを聞き出せたキーパーズは装備を補充して急いで向かうのだった。


〜バーミント 繁華街から離れた廃ビル〜


目的の廃墟から少し離れた場所に装甲車を止めているキーパーズはリコが操作しているピジョンドローンからの映像を見ている。

 4階建てであまり大きくは無いがサーモカメラで10人以上の人間が中に居るのを確認している。


「多くは無いが油断できそうも無い人数だな、今のところ武器を持っている様には見えないが・・・商品を守るためだ、ドラッグストアの連中みたいに腑抜けじゃ無いはずだ」


「裏口を確認したからこっちも何とかした方がいいね」


リコとアーセルスの報告を聞き、ギャレスが作戦を練っている。


「スミス、裏口を封鎖してくれドアストッパーと・・・念の為トラップも仕掛けて欲しい。リコ、ここからドローンでの情報支援とジャミングで通信妨害をしていてくれ。アーセルスは俺と一緒に制圧を行う。"サイレンサー"を準備しておけ」


〜廃ビル 裏口〜


スミスがトラップを仕掛けに来たが見張りが1人立っている。


「リコ、アイツ1人だけか?」


無線越しにリコが答える。


「ソイツ1人だけだね」


パシュ


サイレンサーを付けたM9カービンから静かに発射された弾丸は見張りの脳天に命中した。


「じゃサクッと仕掛けますか・・・」


そう言ってスミスは裏口に近づき、バックパックの中から爆薬を取り出し、慣れた手つきであっという間にトラップをセットした。


「さて正面玄関に行きますか」


〜同時刻 正面玄関〜


ギャレスとアーセルスが3人の見張りを倒して建物に侵入していた。


「リコ後何人くらい居る?」


「ドローンの熱探知では後9人程だね。1階に2人、2階に3人、3階に1人、4階に2人」


「了解まずは1階から制圧していくか」


2人は一階を進んでいくと、倉庫の様な場所に2人の人間を発見した。


「なんでこんなにアポロを集める必要があるんだ?」

「最近はシタデルにも流してるだろ?それで連邦内のアポロが品薄だから流通を増やしたいんだと」


雑談している2人の背後にギャレスとアーセルスが静かに近寄り、襲いかかる。2人の見張りはギャレスとアーセルスによって首を締め上げられ苦しそうなうめき声をあげた後力尽きた。


ギャレスが周囲を見回してみると白い粉の入った袋が高く積み上がっていた。


「コレ全部アポロなのか?一体何百キロあるんだ?」


「俺も麻薬には疎いが80人くらいはオーバードーズ(過剰摂取)でぶっ倒れる事が出来るくらいはあるな。よくもまぁこんなに作ったものだ」


ギャレスが驚き、アーセルスは感心していると、リコが無線で「スミスが2階に行く階段で待機中」と伝えてくる。


「わかった、俺達も移動する」


階段でスミスと合流した2人


「階段を見ていたが敵が移動した様子はない」


スミスからの報告を受け、3人は2階へ移動した。


2階の廊下を進んでいるとリコから報告がくる


「その先左から1人来る」


それを聞いたアーセルスは素早くナイフに持ち替え、こちらに歩いて来る見張りを曲がり角から引きずり込み、口元を手で押さえつけ声を封じた後、喉元をナイフで切付け無力化した。


「また左から来る、今度は2人!」


リコからの報告を聞き、ギャレスとスミスが素早く射撃準備を行う。


「3カウントで撃つ・・・3.2.1撃て!」


パシュ パシュ

静かに発射された弾丸は一発ずつ2人の見張りに命中した。


「2階はソイツらで最後だよ」


それを聞いた3人は2階の探索を行ったがめぼしいモノは無かった。その間にリコから無線で「3階にいた1人が4階に移動した」と報告が入ったため、4階に行き敵全員の無力化を優先することにした。


4階に移動している3人にリコから更に報告がくる


「4階にいる敵3人に動きがある、流石に怪しまれたようだね。映像と音声を共有するね」


リコのドローンから共有された映像と音声から敵が焦っているのがわかる。


「おい携帯通じたか?」

「イヤまだだな」

「見張りも戻ってきてないしな・・・イヤな予感がする」

「証拠を消す準備と・・・おい一応アレ用意しとけ」


コレを聞いた3人は急いで建物の制圧を進める事にした


4階の少し広い空間で、敵2人がPCや書類を処分しようとしてるところに出会したが、素早く無力化した。最後の1人を見つけようとした時・・・


ダン!!


と大きな音を響かせながら扉を蹴り上げて入ってきた敵だが、まるで爆弾処理班を思わせるような服装だった。


「てめーら!よくも俺達のシマで好き勝手しやがったな!どこの誰か知らねーがぶっ殺してやる!!」


ガチャンとショットガンを3人に向け、ダン!と発砲した。


3人は急いで遮蔽物に隠れたが、発射された弾丸はアーセルスが隠れた場所の近くの壁を吹っ飛ばした。


コレを見たスミスは急いで無線を繋げて、2人に知らせる。


「"ヘビースラグ弾"だ!アーマーや遮蔽物も簡単に破壊されるからな!」


敵はショットガンを3人に向けて撃っていたが、ギャレスが隙をついて敵に銃を撃ち見事に6発命中した・・・かに思われたが


ガキン! ガキン!


と鈍い音をたてるが敵は倒れるどころか怯む事もせずギャレスに銃口を向け、ダン!!と発砲した。だがギャレスは間一髪避けてみせた。


(危なかった・・・何だあのアーマー)


するとリコから無線が繋がった。


「あのアーマーは"エルカノファウンドリー"が製造したレベル6フルアーマー・・・通称"アルト"。あの装甲は対戦車火器も防ぐほどの硬さがある、弱点は顔部分の防弾プレートだけど皆んなが持ってる武器だと貫通どころか傷つけるのも難しいよ!!敵が持ってるショットガンと弾ならまだチャンスはあるけど・・・それでもかなり厳しいと思うよ。」


3人は敵に射撃を続けるが敵は怯む様子さえ見せない。


「オイ!どうしたそんなものか!ショットガンの弾はまだまだあるぞ!」


ダン!!ダン!!


と敵は被弾をお構い無しにショットガンを撃ち続けている。


アーセルスが「これ以上はこっちの弾が持たん」と苦悶の声をあげるがスミスが何か思いついたようで、リコに無線を繋げる。


「リコ!ドローンを1機こっちに持って来い!」


「えぇ?!ホークドローンの武器は大きめのピストル口径だから貫通しないよ!」


「そうじゃなくて!俺の持ってるありったけの爆弾とお前のドローンを組み合わせる!!後はわかるな?」


「了解すぐに機動力の高いドローンを送るよー」


スミスとリコは打開方法をひらめいた。それを聞いたアーセルスとギャレスは囮と時間稼ぎに徹する。


ドローンを受け取ったスミスは作業を開始した。ギャレスとアーセルスが苦しい状況の中敵と撃ち合い時間を稼いでいる。


「どうした?そろそろ限界じゃないか?コッチはまだまだ遊び足りねーぞ!!」


敵は容赦も躊躇いもなくショットガンを撃ち続けているが、コチラのアーマーは敵の弾を防いでくれない為、被弾は許されない状況だった。メインウェポンの弾が尽きかけた時にスミスから「準備完了」と無線が入った。ギャレスとアーセルスが"ある事"が"切れた"のを確認して、急いで退避した。


「即席だが行けるはずだ!爆弾を大量にくくり付けた"自爆ドローン"発進!!」


スミスの手からドローンが離陸し、敵に一直線に向かう。


「ドローン?そんなもんが俺に敵うわけ・・・爆弾?!」


敵が急いで銃口を向け引き金を引くが・・・


カチ


と小さく金属音が鳴るだけで弾丸が発射されることは無かった。


「嘘だろ!こんな時に・・・」


既に退避していたアーセルスが(残弾数を確認しないから・・・)と心の中で呟いた。


敵は急いでリロードを行うが、悲しいかな重装アーマーでは機敏な動きは出来ないためリロードが間に合わず、ドローンが彼の懐に入ったのを確認して、スミスが起爆スイッチを押した。


「点火」カチ


ドカーン!!




「ゲホッゲホ・・・どうなった?」

「ゲホッ、リコ!ドローン!」

「りょうかーい」


大量の瓦礫や粉塵が発生しているため、リコのピジョンドローンが確認する。重装アーマー"アルト"をまとっていた敵は僅かに右腕らしき部分は確認できるが、それ以外は天井からの瓦礫で完全に埋まっているため生きていてもタダでは済んでいないのは明らだった。


「アイツはピクリとも動いてないね」


「了解・・・ゲホッ証拠なんかの回収と裏口のトラップ解除するぞ」


その後キーパーズは証拠や情報の収集をEFBIや地元警察の協力の甲斐もあり何とか1日で終わったが、上からどんなお叱りをされるのか恐怖するのはまた別の話しである。


〜その後〜


〜惑星アヴァラント 某所〜


「突入!EFBIだ!」

「情報通りハードドラッグアポロの違法製造所を確認!」


廃ビルにあった証拠や情報をもとにアポロ製造拠点の摘発や賄賂を受け取っていた公務員の逮捕、ロシェンの防疫を許可し、惑星アヴァラントの外部へ横流ししていた民間企業の摘発などをEFBIが行っている。


〜惑星アヴァラント ISIA捜査官セーフハウス〜


「何とか初任務を終わらせたな・・・」


「廃墟の一室ほとんど吹っ飛ばした件についてちょっと小言言われたけどね」


スミスとリコが一息ついて安心している。


「EFBIのユージーン捜査官からはアポロ壊滅は順調に推移しているらしい」


アーセルスがPCに届いたユージーンからのメールを簡潔に伝えた。


「初任務を達成した記念に飲みに行くか?」


ギャレスがみんなに問いかける。


「良いねー」

「俺は賛成だ」

「リーダー奢ってくれよ」


キーパーズが盛り上がっていると 


ピピッ


PCにメールが届いた。「何だ?」とアーセルスが見てみると、差出人は「ISIA本部」と書かれていた。


「キーパーズに任務を課す。次はシタデル領域の惑星ホォセリアに向かえ」


アーセルスが落胆する。

「打ち上げは次回に持ち越しらしい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る