第2話 歴史と情勢
統一歴4057年1月16日
現在の銀河では多数の種族や国家が存在し、宇宙航行をはたしている。そして現在の「人間」の定義は「一定の文明があり、思考力、コミュニケーションがとれる存在」としている。異星種族同士がコミュニティを作るのも当たり前の時代となった。
この銀河の情勢は主に「三大勢力による不安定な秩序」によって構築されている。
最も古くから存在する連合「コヴナント連合」
最も大きな領域と強力な経済基盤を持つ「シタデル評議会」
近年台頭してきた新しい国だが高いテクノロジーと優秀な人材によって躍進をしている「ユーリシア連邦」
〜コヴナント連合〜
コヴナント連合は統一歴が設立する40年前から存在している。統一歴を設立したのもコヴナント連合が種族間の日付をわかりやすくする為であり、コヴナント連合以外の事を考えて作られたものではなかった。
またコヴナントは種族間で「支配種族、兵士種族、労働者族」等、「真社会性生物」のように種族によって役割が明確に分けられている。
コヴナント連合加盟種族「"プロフェッサー"頭部が発達しており長寿で700年以上生き続け高い知能を持つが、身体的には華奢な支配種族。
"サンヘリオス"暗い青色の肌と人類の映画"プレデター"を思い出すような特徴的な口を持つ。体格が恵まれ、コヴナント軍を任されており戦闘技術、戦術が優れている兵士種族。
"オーシュ族"サンヘリオスと同じ様に体格や戦闘技術が優れているが野蛮で後先を考えない為"下級兵士"として使い捨てられる猿にも似た見た目の種族である。
'グラーギュ"小柄で繁殖しやすくひ弱な存在としてサンヘリオスやオーシュ族から見下される傾向にある労働種族」この階層社会を何千年も続けてきたのだ。
〜シタデル評議会〜
シタデル評議会の設立は「シタデル」という機械型惑星を「アサリ、ゲルコニアン、トゥーリアン」の3種族が見つけたのが始まりである。シタデルは当時の彼らでは考えられないほどのテクノロジーの進んだ生産施設が大量に、そして素晴らしい保存状態だったのが幸いし、統一歴260年シタデル評議会は発足した。保存状態の良かった生産施設は彼らに強い力を与えた。
現在のシタデル評議会は「調和と安全による経済成長」のスローガンを掲げているため、首都惑星シタデルに存在する生産施設の改良が進められており、建造技術の復元にも成功している。これらの生産施設からもたらされる強力な経済力と生産施設建造を餌とし、様々な国家にシタデル評議会に加盟することを促し、影響力を強めている。
シタデル評議会は3つの評議長種族「アサリ、ゲルコニアン、トゥーリアン」と複数の評議会加盟種族が存在する。
評議長種族は一種族でも反対すればその提案は無効となる「否決権」等の強力な権限を有しているため評議会加盟種族は評議長になろうと躍起になっている。
シタデル評議長加盟種族「"アサリ"明るい青の肌とくらげを思わせる質感が特徴的な見た目である。1000年という長寿な種族で雌雄同体で雌しか居ないその独特な生体からシタデル評議会以外の種族からは不気味に思われるが、優れた交渉力や数千年先を見通す計画性は侮れないものであり"シタデル評議会の顔"とも称されている。
"ゲルコニア"はトカゲの様な爬虫類系の種族だ。頭の回転が早く、影に隠れたり、情報収集の能力も高いため評議会では"科学"と"諜報・防諜"も担当している。
"トゥーリアン"は金属の肌を持っているが立派な有機生命体であり、体内に臓物があり出血もする。専制的軍事国家かつ1国では銀河最大級の軍隊を持っているため暴君だと思われがちだが、軍も国家運営に関わる存在として必要とされている。例えば、工兵は陣地以外にも学校などの公共施設の建設をしたり、憲兵は警察機関も兼任するなどトゥーリアンにとっては必要不可欠な存在なのである。」
〜ユーリシア連邦〜
ユーリシア連邦の発足は統一歴3723年に起きたコヴナントとの軍事衝突が始まりである。当時「ユーリシア同盟」として"ドラゴニュート族"、"人類"、"ルタニアン"、"バルドクニアン"、"アルゴニアン"が同盟関係にあり、コヴナントやシタデル評議会という"強力な仮想敵国"が明らかとなった際「ユーリシア連邦」という連合国家樹立の気運が高まっていたが、そこに突然コヴナントが攻撃をしてきたのだ。この攻撃によりコヴナント支配領域に最も近かった惑星サーティスが被害に遭い、軍・民間のべ30万人が死傷する事件が発生。この攻撃にユーリシア同盟は報復を決定、コヴナントが入植している惑星に生化学兵器を投入するなど手段をいとわなくなった。双方の死傷者数が130万人まで膨れ上がった時シタデル評議会が仲介し平和条約を結ぶこととなった。この戦争は統一歴3725年までの2年間続いた大戦争であり、その後すぐにユーリシア連邦が設立された。
現在のユーリシア連邦は諸外国には秘匿している、先駆文明の遺産を複数見つけており、現在急ピッチで解析を進めている。また優秀な人材育成・買収を進めており「種族を問わず優秀であれば」多額の報酬を与える方針をとっていて、自らの未来のために特筆した能力を持っている者はユーリシア連邦に移住する事が多い。
ユーリシア連邦の構成種族「"ドラゴニュート族"荒い鱗と大きな角と尻尾が特徴的、野心とリーダーシップがあり、リーダーを務める事が多いが、体格も良く戦闘の適正も高いため兵士になる者も多い。
"人類"特に特筆すべきはその"適応力の高さ"であり"人類にとって不可能な事は存在しない"と言わしめるほどである。
"リタニアン"はサメやシャチを思わせる様な魚類系であり、こちらも体格に恵まれているが近接戦闘は得意では無い、だが優れた艦船操縦技術や艦隊戦闘の知見の深さを見込まれており、ユーリシア連邦軍の艦隊を率いている。
"バルドクニアン"極寒惑星が母星な為、毛深く地球の"狼"や"犬"近い造形を持つ。体格は人類より一回り小さいが彼らは工学やテック関係に明るく、軍、民間、官僚等のユーリシア連邦のソフトウェア・工業製品のシェアの60%程をバルドクニアンが提供している。軍では直接戦闘する兵は殆どおらず、ドローンオペレーター、テックソルジャー、戦車へ搭乗する戦車兵、エンジニア等の道具や乗り物の力を借りて戦う方法を好む。
"アルゴニアン"はトカゲやカメレオンに近い爬虫類種族である、彼らはゲルコニアンの例に漏れず影に隠れ、情報収集等の"諜報・防諜"だけで無く暗殺なども請け負っている。軍ではその身のこなしから単独潜入する斥候兵や狙撃手に適正がある。」
これが現在の3大勢力の概要である。
〜指令が下る6時間前 惑星アヴァラントISIA捜査官セーフハウス〜
暇を持て余したキーパーズの面々はお互いの故郷についての話しをしていた。
スミスがギャレスに問いかける。
「産まれてからずっとシタデルに居たのか?」
「いや、故郷は"ソヴェール"という軍事惑星だ」
アーセルスが何か知っている様だ。
「ソヴェールには行ったことあるが、トゥーリアン軍とシタデル評議会の軍人達が常駐する軍事基地以外何も無い所だったな」
ギャレスが付け加える
「ソヴェールはコヴナント支配領域に凄く近い入植惑星だからな、軍が大勢詰めかけてるのが当たり前だし駐留してる軍人以外に金払いの良さそうな観光客も来ないへんぴなところなんだ。だがそこである軍人に出会ったんだ。アルゴニアンって事以外分からなかった、名前も聞けてないしヘルメットを被っていたから顔もよく見えなかったが、あの言葉は今でも覚えてる、あの人が居なければ俺は違う道に進んでいたかもしれないな」
〜19年前 惑星ソヴォール〜
当時6歳の少年だったギャレスは、親の教育や軍人が居るのが当たり前の環境も相まって大人になったら"軍人になりたい"とは願っていたが"他の道もあるのでは?"と言う思いもあったところ、ある傭兵と出会った。
「おじさんは何で兵士になろうと思ったの?」
???「おじっ?!おにーさんって言ってくれるか?まだ28歳だから。ゴホン、兵士になった理由か・・・まぁありきたりなモノさ、"自分の守りたいものを守るため"これに尽きるな」
「その"まもりたいモノ"って何なの?」
???「それは人それぞれさ、だが一つだけ言っておく。夢はデカく見ておけ、そうすればいつか守りたいモノも見えてくるだろうからな」
「夢は大きくか・・・ありがとうおじさん。僕も夢を考えてみるよ!」
???「だからおじさんじゃなくて"おにーさん"!!」
〜現在〜
ギャレスは感慨深く思いを馳せているとリコが話しかけてくる。
「んで話しにあった"デカい夢"と"守りたいもの"はもう見つけてるの?」
「"多くの人を守り、平和をもたらしたい"ただそれだけだよ。ISIAになったのだって"シタデル"だけでなく"銀河全体"という広く、大勢の人を守れると思ったからさ。」
「フッそれは良い事だが所詮は"キレイ事"だな」
アーセルスが冷笑する。
「そういうお前はどうなんだ?」
ギャレスがアーセルスに聞き返す。
「俺の生まれは"惑星オメガ"だ」
「オメガ!!あの治安最悪なスラム惑星の?!」
スミスが驚き、声を荒げるがアーセルスは何とも無しに話しを続ける。
「オメガは危険で助け合いなんてモノも存在しない場所だから"己以外信じない"それが生き残る最善な方法でな、戦いが強いとギャングやマフィアが雇ってくれるから食いっぱぐれる事も無いからな。まぁそこでチョットヘマしてな、イキって喧嘩を売った相手が"何故かオメガに来ていたコヴナント軍の隊員"でな、ボコボコにされた後"教育してやる"と言われそのままの勢いでコヴナント軍に入隊、しばらくしたら"ISIA捜査官の補佐官訓練"の誘いを受けてなしばらく軍から離れられると思って受けたわけだが・・・いつの間にかリコに誘われていたんだよ」
「結構ヘビーな人生してるんだね・・・」
リコが気まずそうに呟いた
「お前ら二人はどこ出身なんだ?」
今度はアーセルスが質問を投げかけた。
「俺達の出身は"地球"でな、まぁ俺は新兵として軍のアカデミーに入ったがリコは"少し特殊"でな」
スミスがリコに話しを振る
「僕はもともと軍とは関係無い民間のソフトウェア開発企業で働こうとしてたんだけど、政府が主催のドローン大会で優勝した事があってね、その時にユーリシア連邦軍の人事担当がヘッドハントしてきたんだ。その時の提示した給料が良かったから軍のアカデミーに途中入学したんだよ。」
「俺とリコが出会ったのも途中入学してすぐくらいだったから7年もつるんでることになるな」
「ほんと長いねー・・・そういえばみんなは"実戦"の経験はどれくらいあるの?」
リコが興味ありげに聞いてくる。
「僕とスミスは"哨戒任務や護衛任務での海賊・犯罪者撃退"や"犯罪組織の拠点襲撃"くらいかな"本当の戦場"は経験ないよね」
スミスがその通りと言わんばかりに頷いてる。
次はアーセルスが答える。
「俺は軍に入る前に"犯罪者相手にやりあった"が軍に入った後は訓練ばかりで実戦はあまり経験が無いな」
「俺も"C-SEBで犯罪者"を相手にしたが戦場は経験して無いな」
「まぁこれからイヤでも"実戦"を経験する事になるんだどうせ悩むなら未来について悩もうぜ」
スミスが皆んなを鼓舞するとPCにメッセージが届いた
"6時間後に指令を通達するそれまでに準備をしておけ"
「とのことだ、昔話はもうおしまい。装備の点検と休憩済ませておくぞ!」
「「「了解」」」
各々装備のチェックや休憩をとるため散会した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます