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 XAI(説明可能なeXplainableAI)ツールを駆使して俺は「カレイド」の学習内容を解析していく。特徴量、論理フロー、重みのネットワーク……


 そして、その中に一つ、気になる単語を見つけた。


 ノーヴェル・ライト教団。


 いわゆる「UFOカルト」と呼ばれる宗教団体の一つだ。神は宇宙人であり、人類に対し宇宙から救済の手を差し伸べる、というのが主な教義ドグマ。しかし、これまでは特に過激な思想や行動を示しているわけでもない。だから危険性は低いと考えられていてノーマークだった。

 なぜ「カレイド」がこの教団に注目しているのかは、わからない。しかし、かつて日本でカルト教団が地下鉄内で毒ガスを撒き散らすテロを起こしている。この教団がいきなり過激化してテロをやらかすことも、考えられないわけではない。そして、「カレイド」はその兆候を見抜いた、ということなのか。


 とりあえずCIAにこの教団について着目するよう注意喚起して、俺はさらに「カレイド」の解析に取り組むことにした。


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 もう一つ、カレイドが注目しているらしいのは、ガンマ線バーストだった。宇宙で突発的にガンマ線の大量放出が起こる現象だ。原因はよく分かっていないが、超新星爆発によるもの、という説が有力とされている。


 ガンマ線は極端に波長の短い電磁波で、電磁波のエネルギーは波長の長さに反比例する。だからガンマ線は超高エネルギーの電磁波であり、人体に有害な放射線の一種でもある。というわけで、ガンマ線バーストも直撃すれば人類、いや地球の全ての生命に対して大きな脅威となりうる。かつてベテルギウスが超新星爆発の兆候を見せたとき、それによるガンマ線バーストの発生で地球の生命が絶滅するのではないか、という話が取り沙汰された。しかし……


 つい最近もガンマ線バーストが起こったのだが、地球から数千光年も離れていたため、それは大気に阻まれてしまうほどに弱々しいものだった。辛うじてガンマ線観測衛星が発見できたくらいだ。このように、ガンマ線バーストはいつ起きるかは予測困難で、しかもそのほとんどは無害なものと言える。「カレイド」がこれに注目する理由は、やはりよくわからない。そもそもベテルギウスの自転軸では、仮にそれが超新星爆発を起こしたとしてもガンマ線バーストが地球を直撃する可能性は低いらしいのだ。


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 これらに加え、「カレイド」はなぜか、バシャール・エアクラフトというカリフォルニアの航空機メーカーについても注目しているようだ。航空機メーカーとはいえ、ハンドメイドに毛が生えた程度の零細ガレージファクトリーだ。最近大口の注文が入ったようで、材料をしきりに発注している。だからといって、何か脅威になりそうな存在なのかどうかは……わからない。


 とにかく、わからないことばかりだ。これらの要素にいったいどういう繋がりがあるのか。いや、そもそも繋がりがあるのかどうか、さえわかっていない。いつもなら、ここまで解析すればあとは「カレイド」の方でどのような繋がりがあるのかをある程度示唆してくれる。しかし、今回はそれすらできないようだ。だとしたら、これらの間には全く繋がりなどないのかもしれない。


 しょうがない。自分で調べるとしよう。過去のデータも使って、これらに本当に繋がりがないのかどうか、徹底的に洗い出してみるか。


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