コロニーを空想する

 スペース・コロニーというとガンダムを一番に思い浮かべる。

そういう人も多いのかもしれない。

あの、巨大な円筒型に三枚の羽が付いた付いたような奴だ。


しかし、調べるとあれは1974年にジェラルド・オニールにより

提案されたシリンダー型というデザインだと言う。


ファーストガンダムの放映が1979年のことなので、

当時としては最先端に近いデザインだったのだろう。


でも、未来の技術がどうであれ、あの円筒型の空間全てに、

空気を満たすのは無駄がが多すぎると以前から疑問に思っていた。


円筒の回転で遠心力が約1Gとなる…

つまり適切な疑似重力が発生できるのは、円筒の外周近くだけだ。


円筒の中心部付近は人々の生活には使えない空間である。

その空間全てに、空気を充填する意味はあるのだろうか。


しかも、その巨大な円筒の一部に破損を生じたら、

内部の空気が外に一度に流出してしまうリスクも有るじゃないか。


確かガンダムの世界では、モビルスーツが鳥餅のようなものを発射して

コロニーに開いた穴を塞ぐシーンが有った。

でもそれは、いくら私がガンダムファンとしても非現実的に

感じてしまう部分だ。


ではどんなコロニーなら良いのか。

もやもやする。


一番先に思いついたのは、映画か何かで見た良くあるリング状の

宇宙ステーションだ。あれなら理にかなっている。


実際に1975年にスタンフォード大学にて設計された

トーラス型というコロニー案がそういう形状らしいと後でわかった。


でも、リング状の宇宙ステーションでは、ひとつのステーションに

いったい何人が住めるのか、千人ぐらいだろうか?

それとも一万人?


地球から数十億人が宇宙移住するという物語を考える時、

それではあまりにも少ない。もっと大勢が住めるコロニーが必要だ。


頭の中のコロニーに関する「物語の卵」はなかなか進化しなかった。


何かの案を考えても、

頭の逆側では『それも非現実的だよね』と言っている。


結局は、ものすごく斬新なものというのは難しかった。


そこで、

ジェラルド・オニールのシリンダー型の欠点をどうするかという

所から考え直す。


回転中心に近い所に空気を詰める必要は無い。

人が住むのは円筒外周部の内面だけだ。


なら、生活に必要な空間だけ確保して天井を設ければいいじゃないか。


これだ。空想の卵が産まれた。


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二重の円筒、その外筒と内筒の間にだけ、空気を入れてその中で人々が生活する。

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外筒と内筒の間隔をどのぐらいにするのかは、人々が居住するのに

圧迫感を感じない程度の距離でいいはずだ。

数キロの直径に対し、ダブルハルの厚みは数百メートルで十分だ。


シングルハルの円筒の全体に空気を入れるのに比べて、

とても少ない空気の量だけでいいはずだ。


また、そのようなダブルハルの所々に隔壁を作れば、万が一

穴が開いたときにも、コロニー全体の空気が流出してしまうことは無い。


こうして、私の頭の中にはダブルハル円筒型コロニーが建設されていく。


ああ、何と楽しい空想の世界だ。




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