第6話
レーヴェンは伝令から封書を受け取り、中の書類を取り出した。
文面を読み進めて頷き、書類の一枚を小さく巻いて紐で巻き締め、懐ろに仕舞う。残りは執務机の抽斗しの中へ。
「承知した。これより準備ができ次第、出立する。」
伝令は辞去し、執務室には彼がひとり。机に肘をついて両手を組むと額を乗せて瞑目する。まるで祈るように。
目を開けて立ち上がった彼は外套を羽織りながら執務室を出て行った。向かう先は厩舎、そこに数人の騎士たちが各々の馬と共に彼を待っていた。その背後で部隊の隊員たちも綺麗に整列、待機している。
彼は部隊全体を見渡し、一つ頷くと、自分の馬に隣り立つ。
「…公私混同と言われても、あながち否定できないな。」
事情を知る部下たちは苦笑を浮かべ、愛馬が急かすように身震いした。
「さあ行こう。―――物語では、悪役は懲らしめられるのが定石だ。」
頷く部下たちに背を向け、騎士たる彼は兜を被る。
愛馬に騎乗し、馬首を翻す。
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