第66話 死人

「さて、いつ出るかな?」


まぁ今すぐに出ても良いんだけど…まぁいっか。


取り敢えずとっとと殲滅してから考えよう。


『マスターに報告です。「スキル無効化」と「魔力使用不可」を解除しました。』


お、タイミング良いね。

なら終わらせようか。色々あの鎧野郎に聞きたいことがあるし。





◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️

「カリアさん!起きたんですね。」


「あぁ、ごめんね気絶させられたわ…」


「いえいえ、別に良いですって。あんな化け物に勝てる訳無いんですから。」


確かに副担任先生も中々に強いが鎧から感じる気配は別格だ。


メリー先生が居てくれれば…

いまだにあの人がなんの抵抗もなく殺されるなんて信じられない。


「っ!誰だ!」


鎧騎士が上を見上げる。

それに釣られて皆が上を見る。


バリーン!っと天井のガラスが割れ何者かが中に入ってきた。


「貴様は…」


「貴方は…!?」


「「「メリー先生!?!?」」」


生徒や教師の声が重なる。



「先生…なんですよね?」


「カリア、良く耐えてくれた。後は任せなさい。」



俺は全員の魔力と体力を回復させる「リザレクションエリア」という最上級魔法を使用する。

俺の魔力は無限なのでいくらでもかけ続ける事が出来るし範囲も無制限だ。通常なら一人にかけるのが精一杯だが。


「あれ?魔力と体力が…」


「やっぱりホントに貴方って人は。良かったです。無事で…」


カリアは涙を漏らす。



「最上級魔法をこんな広範囲で使えるなんて!?」



「やはり貴様だけは危険分子の様だ。」


どこか低く歓喜を帯びた声。


「いい?同時にかかるわよ。」


「あぁ良いだろう。」


鎧騎士と副担任先生が剣を抜く。

対する俺は無手だ。体術だけで何とかなるらしい。


カリア達を「瞬間転移」によって講堂の端っこの方に集める。それを魔力の結界で保護する。

これで大丈夫だろう。


「っ死ねぇ!」


背後から斬りかかってきた配下を拳で撃ち抜く。


「ごほぁっ!!」


大丈夫殺しはしない。

後で宮廷騎士団に突き出そう。


次から次へと襲いかかってくる奴らを一発で沈める。

気付けばもうあと鎧と副担任さんの二人だけになっていた。


「ホントに冗談でしょ…」


「見事だ、メリーだったか?」


「そうだけど?そうだ、騎士団に突き出す前に話は聞いといてやるよ。」


「ごめんなさい、メリー先生。私は死ぬ覚悟で

この計画に参加したの。」


「副担任さん。教えてくれる気は…無いんですか?」


「えぇ、ごめんなさい。」


どこか悲壮的で諦めた様な笑みだった。


「魔力はかなり溜まったな。この量があれば

あの方の復活に近づくだろう…」


あの方ねぇ。


「まぁかかってこいよ。」


「フッ、大した自信だなぁ!」


急に背後から現れた鎧に体が斬られる。

何度も…何度も。俺の体には決して浅くない切り傷が増え続けた。


「どうして?なぜメリー先生は抵抗しないの?」


カリアが疑問の声をあげる。


「やはりか。」



「何故だ…!?何故死なない!?」


鎧が驚愕の声を出す。


「お前の攻撃が貧弱すぎる。そんだけだ。」


鎧の顔面辺りをぶん殴る。


「ぐっぅはぁ!」


講堂の壁にぶち当たる。


「まさかこれ…ほどとはな。」


鎧が仮面の奥で…嗤った。

その瞬間奴が光の粒子となって消えた。


「逃げた!?」


「……」


「副担任さん。後は貴女だけですよ。」


「私は…見捨てられたのね…フフッ」


「あーー!もう!なんか悲しそうな雰囲気出さないで下さい!俺で良ければ話聞きますから!」


悲しそうな雰囲気に俺の我慢が限界を迎えた。


「……え?」


「俺が全部助けるって言ってんの!だから原因を話せ!」


「何を言っているの…?」


「あーもう良いです!」


俺は副担任さんに一瞬で近づき頭に手を置き脳波を読めとる。


俺の脳に副担任さんの思考が映る。

あーそう言う事かぁ。


「副担任さん。貴女を縛り付けている鎖は俺が解きますから。信じて下さい。」


頭を撫でる。


「な、なにをっ!?」


「良く…耐えましたね。」


「あ、なたは…」


崩れ落ちる副担任さんを俺は受け止め優しく寝かせる。


「カリアっ!後の事は任せたぞ!」


「はい!」


俺は「瞬間転移」で鎧の元へと向かう。


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