第64話 襲撃

今日から学園が再開する。

学生は皆講堂に集められて今頃トコロさんの話を聞いている頃合いだろう。


俺はまぁサボっている。職員室でコーヒーを淹れているのだ。

ボケーっとしていた。


その時だった。


ザシュッ!


「ゴホッ。ガハッ。」


「すみません、メリー先生。」


俺は力なく倒れる。背中を刺されたのだ。その副担任先生による一撃は俺の心臓を確実に潰した。

辺りには血が一面に広がっていた。



◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️

随分呆気なかった。

いや仕方が無い事なのだ。メリーという人間は

この計画の大きな危険分子なのだから。

実力が未知数である彼を放置していれば支障を来たす恐れがあった。

後悔が止まらない。あの日から決めていた覚悟が揺らぐ。

誓ったんだ。母を失ったあの日から。

生き返らせる為に何でもするのだと。


「メリーを殺した。今からそちらに合流する。」



「随分早いな?やはり竜種二体を倒したのは眉唾だった様だな。今から5分後に占拠を開始する。」




いつもの様に演じる。


そして誰もいなくなった職員室で。

死んだはずの人間が動いた。






◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️

ふぅ。いやー死ぬかと思ったぜ。まぁ「即時治癒」がある時点で死なないし俺は心臓を破壊された程度では死なない。我ながら強いというか化け物染みてるというか。


「占拠ね。」


副担任さんが裏切っていた様だが彼女には何か事情がありそうだった。


「どうせだし親玉っぽい奴も一網打尽にしよう。」


そんな事を考えていたのだが


『マスターに報告です。「スキル無効化」のアーティファクトと「魔力使用不可」のアーティファクトが同時に使用されました。範囲は学園全体です。』


あれ、ホントだ。魔力が使えない。でもナータさんは普通に話せてるけど?


『私はマスターの魂に存在しておりますので。

ですがその他のスキルはマスターに後付けで

獲得されたスキルですので「スキル無効化」の影響を受けてしまいます。マスターがお望みであれば「スキル無効化」と「魔力使用不可」を

無視することも可能です。ですがその場合は少し時間が掛かります。』


ふーん。なら無視の方を頼むよ。俺は今のステータスだけでも十分だと思うし。

ちょっと面倒かな。


そんな事を考えつつ俺は講堂へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る