第5話 サイス(マリアの姉)side
「あの子は大丈夫かな…」
数時間前私の妹が何処かに出かけた。
もし危険な目にあっていたらどうしよう。
そう考える度に不安が増していく。
私達の親は病気で私が14歳のときにこの世を去った。
母は今際の際に
「何もできない母を許してくれ…
マリアを任せるよ…ごめんね。こんな母親で。…」
そう言い母は目を閉じた。
「お母さん?お母さん!お母さん!」
私は何度も呼びかける。
だが母は目を開けることはなかった…
私達はひとしきり泣いた。
母が亡くなって2年が経った。
私は母の代わりに働きつつげている。
私の勤め先は冒険者ギルドだ。そこそこ収入はもらえるし、何より職場の先輩たちはとても優しい。こんな私にとても優しく接してくれる。
だが働き始めてから2年。私は謎の病にかかった。先輩たちが、可能な限り調べてくれたようだが、私の症例に該当する病気は見当たらなかったらしい。
この謎の病気は体の中から魔力が抜け落ちていくらしい。魔力はこの世界の人間の生命線だ。それが抜けていくということは段々と寿命が短くなっているようなものだ。
恐らくあと1年もしない内に私は死ぬだろう。
心残りは妹だけだ。ギルドの人たちにはもし私が死んだら妹を頼むよう言ってある。
ごめん、マリア。
「不甲斐ないお姉ちゃんでごめんね。」
そう独り言をつぶやく。
私達は母が遺してくれた家に住んでいる。
ギルドの人たちには住み込みで働かないか?
と言われたが母が唯一遺してくれた家に住んでいたかった。
だが私が死んだらギルドに妹を住まわせ、この家を売るつもりだ。
出来れば売りたくはないが、妹の生活費のためだ。仕方ない。
「ごめんね、マリア。こんなお姉ちゃんで。」
涙がでてくる。
そんな時だった。
バタン!
ドアが音を立てて乱暴に開かれる。
「マリア!?」
そこには最愛の妹マリアと謎の美しい青年が立っていた。
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