33. 頭痛
しばらくさえちゃんと暮らす楽しい日々。
正直、普通の家庭の子と仲良くなってお小遣い欲しさに援助交際してるなどと聞いたら殴ってでも止めたい気持ちになるが、さえちゃんの場合は綺麗事では済まされない。
どうもしてあげられない。止めたところで代替え案も、助けてあげられるお金もないし稼ぎにも行けない。
(生活保護だとバイトした分が保護費から引かれるのでバイトはするなとキツく言われていた。)
お母さんもこの頃は放任のような感じで好きにしたらって感じだった。
そんなある日、酔って転けたお母さんが頭が痛いと寝込む。
2日経っても治らないから病院に行くと言い、急性クモ膜下出血で即入院となった。
入院だと聞かされたあと、お母さんと連絡は取れなくなる。
夜になり、ご飯どうしようなどとかおりと2人で考えていたら電気とガスが一気に止まる。
福島県の真冬に。
極寒の中服を着こみ、仏壇からロウソクを持ち出してかおりとこれからどうすると会議を続けていると間もなくしてさえちゃんが帰宅。
事情を説明すると
「あんたたち2人の分くらい、私が稼いでくる。」
こんなことがあろうか。
私はもう泣きそうだった。嘘でもその気持ちだけで。
なんの見返りもなく私たちをここまで身を削って助けようとした人が居たかと。
「いやいや!!!!さえちゃんにそんなんしてもらって自分はのうのうとしてる訳には行かないから!私もやる。」
そう言ってどんな風にしたらいいのかを聞き、自分で客を取った。
初めてはとにかく痛かったし出血も酷かった。
初めて以降はマシにはなったが痛いし出血も少しはしていた。
それでも1回2万。
1回で光熱費、携帯代。
2回で給食費、学費。
3回で食費、生活費。
少しづつ生きていける気がした。
退院してきた後のお母さんも「あら、光熱費払ったの。」等と平然と言っていた。
考えたら腹が煮えくりそうなので考えないようにした。バイトもできずお金も渡されていないのにどこからわいたと思うのか。
わかっていて言っているのか。と。
その後も止まる前に私が光熱費を払っていたのにお母さんはもう何も聞いてこなかった。
かおりにお小遣いを渡してあげられるのも嬉しかった。でも私と同じ思いはさせまいと思っていた。
援助交際を初めて間もなく、一通のメールが届く。
「君、髪も黒くて化粧っ気もなくてすごく真面目そうなのになんでこんなことしているの?僕が助けてあげようか?」
そんな事言いながらも体目当てだろうと思っていたが何もしなくていいと言うので会ってみることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます