32. さえちゃん

高校に入ると、定時制だからということもあるのかないのか

やや問題を抱えてそうな人間が多かった。


通っている高校は昼の部、夜の部、通信と3パターンの通学ができる高校だった。


夜の部は2クラス。


その中でも長く付き合うことになるなみちゃんとりかちゃんと仲良くなる。


なみちゃんは割とすぐに先輩の彼氏が出来て一緒にいる時間が減り、途中で妊娠してそのまま退学。しかし幸せに主婦をやっている。


りかはきちんと卒業するまで通った。


その中で昼の部に通っている子達と選択授業が被ることがある。(単位制なので多めに単位を取れば定時制でも3年卒業を目指せた。)


そこで仲良くなったのがさえちゃん。

取り立てて美人と言う訳では無いが丸顔に、一重なのにすごく大きくてパッチリした目。金髪。

ポップンが大好きな女の子。


家に帰りたくない、とかお母さんがヤバいから弟の学費の分まで稼がなきゃ。と言い援助交際で生計を立てていた。


同じとはいかなくも、不遇な家庭環境であるという共通点からか急速に仲良くなりずっと一緒にいた。


年齢制限も厳しくなかった当時はカラオケでオールなどもしていたし帰る頻度も3日に1度程度になっていた。


この頃はもうかおりは不登校気味でお母さんが自殺しないか見張るようにベッタリ一緒にいる。


その割に誰も掃除などをしないのでゴミ屋敷のような家。


昔から思っていたが私がどんなに殴られてもかおりは可愛がられているイメージだったが

この新居に来てからもかおりに与えられた部屋は6畳。私は3畳。

それなりに育ち、お母さんは弱っていてかおりは生意気。

帰るのが嫌だった。


3畳の部屋にロフトベットと小さなソファと机で過ごす日々だったし、適当な居酒屋で知り合ったスケベオヤジに奢らせて酔って帰ってくると昔のような活きのいいお母さんになる所も嫌だった。


昔のように酔って手をあげようとしてきたことがあったが体も私の方が大きく、力も強い。


震えながら両手を抑え、すごく穏便に「お母さん、やめて?」と何度も言って説き伏せた。


その一件以来酔って絡んでくることはなくなった。


ある日、久しぶりに帰って寝ていたら

さえちゃんから電話が来た。深夜の2時に。


「まいちゃん、助けて、お母さんに刺された」


死んじゃうのかと焦り散らかしたがかすり傷程度で済んでいた。直ぐに家に呼び入れ、自分の部屋で一緒に過ごした。狭いベッドで一緒に寝た。


そこかしばらく一緒に住んでいた。


といってもさえちゃんがお客を取っているあいだはそのままホテルに泊まったりすることもあったし、2人で遊びに行って帰らない日もあった。

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