30. 部活のマドンナ

部活時に起きた小騒動。


何人いたか覚えてないが50人以上いたであろう吹奏楽部。


その中でも特にかわいい女の子が2人居た。


その2人はとても仲が良くて、同じクラリネットに所属しずっと一緒にいた。


部活動の最中も、後片付け時も、帰りも、プライベートも。


吹奏楽部は女子の比率が高い。かわいいから許される、という文化では無い。


それでもやはり少しは優遇されていたような気もする。


色白がさなちゃん、色黒がゆうちゃん、としておく。


いわゆる学年のカースト上位でもあるため、皆嫌われたくないという気持ちはあったようだが


部活終わりの後片付けを皆が一生懸命に行っていても自分は真っ先に手鏡に釘付け、日陰に戻る。


誰かが「皆やってるよ?手伝って?」と言うも

「えー!だって日焼けしちゃうもん」と返すワガママっぷりであった。


そんな態度であるから、次第に周囲が陰口を言い出したり無視したりしはじまる。学校あるある。

ちなみにさなちゃんが特に酷く、ゆうちゃんは素直にやれと言われればやるのでさなちゃんだけが外されていく。


しばらく見ていたら無視が激しくなってきて不穏な空気を感じた。


割と部活も中の人間も好ましく思う私にはしんどい期間だった。


何とかならないかと私が行動に起こしたのは、さなちゃんにこっそり「皆は一緒にお片付けして貰えなかったことが嫌だったみたいだから、今後は一緒にやらないか?」と打診した。


さなちゃんはブチ切れた「みんなで私のこと悪く言ってたのね!!!許せない!」とギャン泣きし顧問に泣きついたらしい。


その夕方部員全員大集合、顧問の静かなる怒りをピリピリと感じる部室。誰も言葉を発さない張り詰めた空気。顧問の横でグズるさなちゃん。


顧問が「さながみんなから陰口言われたり避けられたりしてるらしい。心当たりのあるものは正直に言いなさい。なんでそんなことをした?」


少しの沈黙の後、1番文句を言っていた女子が手をあげ、「ちゃんとしてほしかったからですが、悪口を言ったり無視をしてしまったのは申し訳ない」などと言い泣き崩れる。そこから堰を切ったように泣きながら自供すること多数。


正直私はあほらしい気持ちで見ていた。

怒られたくなくて言ってるだけでは、、、なんて思いながら。


しばらく続いた後、顧問から「まいはなにか言うことないのか?さなから聞くといちばん悪いみたいだが?」


この発言にハテナが止まらなかったが

なにか誤解があるようなので説明をしてみた。

「さなちゃんの素行に対して直した方がいいと思いながらそれを言わずに陰で悪口だけ言ってても何の解決にもならないから、本人に改善を求めただけです。さなちゃんが一緒にお片付けしてくれれば元通り仲良くできると思いました。」


この説明で特に引き続き問われることも無く納得してもらえ、さなちゃんは誤解していたとむしろ謝ってくれ夏のダイエット入院の際にはお見舞いにまで来てくれるようになった。


この小騒動のときも、帰りがけに太鼓持ち部長が「あんたはそういうこと出来る子だと思ってた」だの「次の部長に推薦しようと思う」だの言ってきて


「きっっっしょ!」と思っていた。


ちなみに部長でありながら鬼ほど陰口叩いてたが本人は自供しなかったし周りも先輩で部長なのでチクるようなことは無かったが。


私を褒めに来たのもきっと新手の口止めだったんだろうと思う。

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