27. おじいちゃん

少し過去に戻るが、私が小5、かおりが小3の頃。


いつも通りお母さんが仕事に行くためにお化粧をしていた。


誰かから電話がかかってきて話していた。


終わったので「お客さん?」と聞いた。


お母さんは「おじいちゃんよ。あんたたちの。」と答えた。


幼少の頃父と祖父は死んだと聞かされていたので

「死んだっていってたやん!?」と驚く。


「そんなこと言ったかね?あんたたちに会いたいってよ。」


正直ここまで会いもしていないおじいちゃんに特に興味はなかったがそこは水商売の娘。


「お金持ち?」と聞くと「まぁもってんじゃない?」と返答されじゃあ会おうとの事にした。


数日後、難波で待ち合わせる。


待ち合わせ場所の某チェーン居酒屋の前に

スーツを着た【おじいちゃん】が立っていた。

最初は分からなかったがお母さんがあれよ。と言うので認識する。


おぅ!とあげた右手には小指がなかった。

来ているスーツもサラリーマンのものでは無い。

家にある【仁義】という漫画で見た事のあるヤクザそのもののアロハシャツに金のネックレスの知らないおじさんも隣にいた。


席に案内され、掘りごたつ席に通された瞬間にトイレ行くとかおりと2人でトイレに入る。


「あれ!!小指!みた?」「絶対ヤクザやんな!」などとひとしきり興奮し、席に戻る。


アロハの付き人も一緒にいるし、「遠慮せんと好きなもん食べぇ」と言われても緊張であまり注文出来ない。わたしは食べ物は生ハムメロンだけ頼んだ。


ボチボチと飲み物や食べ物が運ばれてくる中、生ハムメロンがなかなか来なかった。


ぼそっと「生ハムメロン遅いな、、、」と呟いた。


お付のアロハがテーブルをバアアァン!!と叩き「生ハムメロンまだか!!ゴルァァ!!」と叫んだ。


びっくりしたが、次に笑いを堪えるのに必死だった。

笑ったら殺されちゃうかもって思って沈めた。


そのあと食べた生ハムメロンはもう味しなかった。


食事の後は少し街中をウロウロして解散だったが


ウロウロしているあいだ、お付のアロハが時々人混みの中でハンドサインを出すと

少し遠くの人混みからハンドサインが出てきていた。


あの時はクレヨンしんちゃんのかすかべ防衛隊を思い出していた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る