15. 当時の治安

小学校に通う日々、帰りに公園に寄るのが日課になる。


3日に1回は知らないおじさんに声をかけられる。

「飴ちゃんあげるからついておいで」

「お菓子買ってあげるからついておいで」


お母さんにキツく、知らない人についていったらいけないと言い聞かせられていたのでついて行くことは無かった。


ある日、「猫の赤ちゃんがいるから見に来て」とおじさんに声をかけられる。

家にはマルチーズ一匹、猫3匹、インコ1羽

動物大好きな私は猫の赤ちゃんへの好奇心に負けた。


手を繋ぎ公園の裏側のマンションへ連れていかれる。

そのマンションの前の道路は通学路で交通量も一通りも多い。その時も歩いている人、自転車の人、車、じゃんじゃん通っていた。


マンションに到着しエレベーターまえの小さい扉を開けるおじさん。暗くてよく見えないが、扉の中は何かの配線があるだけのように見える。


「もっとこっちに来て」と腕を痛いくらいに引っ張られた。この時に恐怖を感じ、咄嗟に腕を振り払いマンションの外へ出た。


相も変わらず交通量は多い。外へ出た瞬間にまた腕を掴まれる。怖くて声が出ない。カスカスの助けて。


声は出ていないが嫌がる私の様子を周囲が訝しげに見守るようになる。


その目線に気づいたおじさんは通りがかった自転車を突き飛ばし、その自転車を奪って逃げた。


私は泣きながら家に帰った。お母さんに説明が出来なかった。その後あのおじさんがどうなったのかはわからない。


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