10. 大阪の黒いごみ袋

もはや何故か?理由など忘れたしどうでもいいが、


かおりと2人ですごくお母さんに怒られて

2人とも1人づつ黒いゴミ袋に入れられて


家の前の公園に捨てられた。


最初こそ泣いていたものの、黒いゴミ袋の中にずっといる訳にはいかない。

破って出てみて公園であることに気づく。


母に怒られた恐怖や捨てられた悲しみを目の前の遊具が一瞬忘れさせる。


あれほど願った公園に来れたのだから。


かおりとふたりで遊んでいたら程なくして様子を見に来たお母さんに見つかり殴られた上に連れて帰られた。


数日後、木編みのアヒルの置物にカゴがついた小物入れを落として壊してしまう。


いつも折檻を受ける時には(死ぬかもしれない)と思っている。その日はおばあちゃんに掃除機でしこたま殴られて頭から出血していた。


酷く殴られた後、幼少ながら色んなことがどうでも良くなる。


怒られても殴られても反抗などしない。

できない。もっと殴られるとしか考えない。


部屋の隅でぼーっとしていたらおばあちゃんが私の頭に赤チンを塗りに来た。


度々折檻の後赤チンを塗られることがあったが、染みて痛いので嫌いだった。


もう死ぬかもしれないと思ったらどうでも良くなって初めての反抗をした。「おばあちゃん、きらい」と言ってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る