第二章 ようこそ!ブレイブ・アカデミーへ! 2

 

 汗が頬を渡る。


また奴と闘わなくてはならないと思うと鼓動が無意識に高鳴る。


「って、何か喋ったらどうだよ〜勇者〜」


 木に囲われた部屋に王を連想させる椅子。後ろの窓のせいか、王たらしめる貫禄すら感じる


少し大きめの机には紙や資料が山積みに置かれ、魔王の両横には以前とは比べものにならない程手強そうな魔族の男と女が目を瞑り堂々と立っている。


部屋には様々な紙や植物、絵、ゴミなどが飾ってあったり、置いてあったりする。


どれも今まで見た事のない物ばかり、意識を逸らす道具として魅惑的な物が数個。


(なんだこの部屋は……新手の【時空支配じくうしはい】か?いやあり得ない。


自身の有利になる空間を創り出し、相手を確実に屠る。


魔法の最高到達地点、それが時空支配


 人間が産まれてから死ぬまで努力しても到達出来ない魔法の極地。


時空支配じくうしはい】これは強大な魔力をもち、尚且つ完全なセンスと才能が入り混じり、初めて到達できる領域だ。


そして、人類で時空支配を使用出来るものは居ない。


そう、勇者である俺でさえ時空支配を使えないのだ。


例え不老不死でも、勇者でも。


【時空支配】は使えない。


だから僕は魔王に勝てなかった。

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