第二話『閑話の談笑』 破
喫茶店の店員が
「この一年、
「ええ、そうですね」
注文が届いていないのか、それとも何も頼んでいないのか、
(話を合わせてんじゃねえよ)
恋情故に気後れしているのと、それ以上に初対面の苦い経験が強く出ることを
一年前、相変わらず彼女が
そんな臆病者の
おそらく、年齢の割にかなりの金を持っている。
鍛えられた身体のラインにぴったり沿ったスーツも、所々に光沢を放つ装飾品も、そのような物品を
少なくとも、目の前の
漫画やアニメ、月並みの進路、
「だが、国際社会は
高校生を相手に政治の話を持ちかけるような人間は
だが、続く会話は再び
「我が国も例外ではない。あの日、
「ええ。まさかあんな
突然、一年前のテロリストに話が及んだとあって、
音で
「あの様な
一方で、
聴けばこの
しかも口振りからすると、
今、
そんな
「
「
「知っているだろう、
対する
「そのような事態を事前努力で防ぎ、壊れかけの秩序を土俵際で支え、日本の国益を守る。その
それを待っていたかのように、
陰から盗み聴く
「その生き方を、
その瞬間、
奈落の底へ向けて自由落下するような、現実感の無い浮遊感が放心状態を作り出していた。
視力はあるのに、目の前が何も見えない。
透明になってしまった心を、漆黒の闇が覆い尽くしてしまう。
(こいつ、ふざけんなよ!!
「
「未来、ですか……」
「そうだ、この国の未来だ。今の日本には諦めが満ちている。『もう衰退するのは確実なのだから、成熟した国として身の丈に合わせて
夢なら一人で勝手に見ろと、
「
丁度、食堂のテラスを秋の木漏れ日が照らすように。
少し分が悪くなった
「
(ほーう、
「
分かるのは、彼女が水を一口飲んだことだけだ。
「
と、その時、
それまでの厳しいが生真面目な様子とは打って変わった、腹黒さを強く浮かばせた笑みだった。
「
「何のつもりですか?」
「他の連中のように、この
「大概にするのはお前だよ」
「
「国よりもいきなり女子高生に掴みかかる自分の性根をどうにかしろよ」
一九〇センチ近くある鍛え抜かれた
(こいつ、強いぞ。多分、
しかし、だからこそ
この威圧が
「
「よく知ってるじゃないか。誰から聞いたんだよ。『
「どこから聴いていたか知らんが、
「何が?」
「
どういうことだ、と
迷彩服に目出し帽を被った二人の男が、軍刀を振り
来店客に対応する為、入り口付近で待機していた店員が腰を抜かしてしまっている。
「な、何ですか
「何だろうがお前達には関係無い! 我々は女と話をしに来た!!」
瞬間、
格好と武器から、一年前に学校を襲ったテロリストの集団だと推察するには充分だ。
「あいつら……!」
「
気が付くと、
「おい、
「やれやれ、向こう見ずな
「
「お断りするわ」
「お前らの如き国家転覆を企む
店内に悲鳴が
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