第47話 ジーンの悪巧み

 ―― 夜、ジーンの研究室


 ジーンに案内されてアルファが研究室ラボにやってきた。夜は通路に人がいなくて少し不気味だ。研究室の中は静かで、装置のうなり音だけが静かに響いている。アルファが司令官らしくもない物言いをする。


「少し薄気味悪いな」

「そう? 私は静かで好きなんだけど。夜は毎晩ここで研究しているの」


「それで? 技術的な話をしたいって言っていたけど、一体どんな話だ?」

「まずは、あなたのシールド能力についてよ。ベータにも少しはあるけれどあなたは桁外れ。スキャンと採血させてくれない?」


「何だよそれ、俺の検査か?」

「その結果、アルファ種全体にそのシールド能力を付けてあげられるかもよ。たぶん遺伝子のちょっとした違いだけだと思うから」


「シールド能力持ったからってなんだと言うんだ」

「まあ、そうね戦いでしか役に立たない能力だものね。あ、でもベータと結婚生活をするなら役立つかもよ」


 ジーンはそう言いながらスプレーのようなものを取り出し手でもてあそんだ。


「結婚生活への応用なんて、論外だ」

「そうね。正直言うとあなたの検査はどうでもいいけどね。でも血はいただくわよ。私ドラキュラの末裔だから」


「何だと?」

 ジーンはそのスプレーを押して、何かのガスをアルファにかけた。

「何をする……」


「もちろん冗談よ。血はもらうけど、それよりも重要な遺伝子をいただくわ……」


 そんな言葉を聞いた瞬間、アルファの意識がくずれた。あたりが幻覚のように見えてきた。体の自由も全く効かなくなった。(麻酔か……)


『ここに寝て』


 ジーンに手をとってもらい。ベッドに寝かされる。ジーンによってアルファの服が脱がされる。次にジーン自身が自分の服を脱ぎ始める。


(何をしているんだ?)


 朦朧としながらも、目はまだ開いている。

 目の前にオーロラみたいな色彩が流れる。時折、そのなかにジーンの顔が現れる。 妙な音楽が流れる。いやおそらく幻聴だろう。


 そして何も見えなくなり、その内、深い快感がアルファの体をめぐった。そのまま意識が遠のいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る