第11話 許されざる行為 (一部の方 非推奨)

 ※本エピソードには残虐行為の描写がありますので読みたくない方は飛ばしてください。


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 それから三十分後、事件は起こった。警官が忠告した通り、不良集団がベータの彼女達を見つけたのだ。5、6人の若い男が三人を取り囲んだ。


「噂の白髪はくはつベータちゃん達じゃないの?」

「こんな夜遅くに子供だけで外にいちゃだめでしょ」


 ある男が仲間に言った。


「知ってるか? こいつら触るのが難しくて、誰もいたずらできたこと無いんだってさ」

「お、挑戦するか」

「いや、小学生は犯罪でしょ」


「でも見ろよ、結構可愛い顔してるぜ。少し遊んでやろうぜ」

 男らは固まって座って震えている三人に手を出し始めた。

「ヤメテ」

「お、喋れるんだ」


 男が一人の少女を引っ張り出した。少女はまだ継続して念力を使い続ける力が無い。


「イヤ」


 バチッと音がして男の手が弾かれ転んだ。


「くそっ、こいつ何だ」


 他の男が笑った。


「ほら、やられてっぞ」


 男がムキになって少女の顔を一度引っぱたいた。少女は口の中を少し切ったようで血が出てきた。男は今度は手を振り払われないように少女の服をしっかり両手で掴んで振り回し始めた。今度は少女はあまり抵抗ができず、引きずり回され始めた。ひざやひじに擦り傷ができている。


 他の女の子二人が顔を見合わせた。


(助けなきゃ、やっちゃおう)


 二人の少女が一緒に手を繋いで、暴力を振るうその男に念力をかけた。

 男は十メートルほど吹き飛んで木にたたきつけられた。気絶している。


「うわ、すご……」


 他の男達はそれを見て唖然とし、動揺して引き下がった。


 二人の少女は傷ついたもう一人を両脇でささえ、歩いて去って行った。


 ◇ ◇ ◇


 この事件は二十五年後の悲劇につながる最初の予兆だった。

 彼女達ベータは徐々に社会から隔離され、管理されるようになった。

 いらぬ衝突を避けるというのが表向きの理由だったが、実質的には体の良い軟禁状態であった。


 最初は好意的に補助してくれた医師や研究者も、対応が変わってきた。

 何せ彼女らの方が遥かに賢く、医師や研究者の間違いやミスを簡単に見抜き、指摘するからだ。


 ベータ変異を持つ彼女達は特定の施設に閉じ込められるようになってきた。


 一部の過激な連中は言った。


「ベータどもは魔女だ、野放しにするな」


 そう叫ぶ非道な連中は時間とともに増えていった。

 中世ヨーローッパの魔女狩りの様な雰囲気が漂ってきた。

 彼らの煽動により多くの住民も批判的な考えに洗脳されていったのだ。


「あの子達、ちょっと普通じゃないからね」


 この事件から5年ほど遡った2030年に一人のベータの少女が産まれていた。ジーンと名付けられた。この事件の時、彼女は5歳。幼いながらにこの事件のことを記憶に刻んだ。 

 やがてジーンはこの時代のキーパーソンとなっていく。

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