第6話 アルファ(ホモ・サピエンス)の末裔

 マーキュリーは二人の子供と監視飛行体に丁寧に自分達の事を詳しく説明した。

 自分達は大陸からこの島に人種の調査のためにやってきたこと、大陸はベータとF1の2種類の人種から成り立っているが、この島はどうやら少し人種が違う事。


 すると監視飛行体と二人の子供はマーキュリー達を居住区に案内した。


 森を抜けしばらく歩くと、マーキュリー達が住んでいるところでは見たことも無いような建造物がいくつも見えてきた。

 白く大きく、独創的な形をしており、都市みたいだ。

<すでにマーキュリー達自身が31世紀の未来の人間であるが>


 男の子が建造物を指さしリズに話している。

「あれがライトハウス(灯台)だよ。森のどこからでも見えるんだ」


 男の子が指指した一番手前の白い建物は三階建てくらいの円形の建物で、そこからタワーが空にそびえたっている。上の方には日中にも関わらず強いが優しい光が四方を照らしている。

 ライトハウスというからにはおそらくは灯台の様な役割をしているのだろう。

 確かにこの高さと光があれば、カルデラ内の相当遠いところからでもそれを視認することができるだろう。


 ライトハウスに近づくと3階部分のテラスのようなところに一人の人間が立っている。それに気が付いた女の子が男の子に言った。


「ノアがいるよ」


 男の子が答えた。

「ほんとだ。怒られるかも」


 マーキュリーとリズはそのノアと呼ばれる人を見上げた。

 さらに近づくと徐々にその姿がはっきりしてきた。

 その男性と思われる人は仁王立ちで、こちらを見下ろしている。


 服装は近未来的で(すでに31世紀未であるが!)、マーキュリーは心臓の鼓動が早くなるのを感じた。(ついに、アルファの末裔とご対面か!)


「お前達、名前は?」

 ノアが毅然とした顔つきで訊いてきた。しかしマーキュリーは全くひるまず、きっぱりと言い返した。


「自分から名乗るのが礼儀でしょ、偉そうに」

 リズがクスリと笑う。(博士らしいわ)


 すると、ノアの表情が緩んだ。

「そうだな、私はノアという者だ。君達の名前も教えてもらえないか?」


「どうしよっかな?」

 ふざけが過ぎるマーキュリーにリズがチクリと言う。

「博士っ、そのくらいで」


「はいはい、私はドクターマーキュリー、こちらはF1のエリザベス、リズって呼んでるわ。初めまして、偉そうなノアさん」

「ほう、君はドクターかい。そうは見えないが…… F1も久しぶりに見たな」

「くっ、言うわね。もう少し友好的に話ができるかしら、ノアさん?」

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