第4話 旧人類の生き残り?

 この子供達は私達ベータと呼ばれる現人類とは異なるかもしれない。


 まず男の子。

 見た目は私と同じベータの色素が薄い系統で、髪も白っぽく、瞳も薄い青。


 しかし骨格が普通のベータの男の子よりしっかりしている。背も通常より高そうだ。


(後で遺伝子検査をさせてもらおう。これはひょっとするかもだ。ホモ・サピエンス=アルファの生き残りかも)


 マーキュリーは期待を込めてそう考えた。

 

 次に女の子。

 明らかに我々よりも色素が濃い。

 しかも背中を見るとリズのようなF1に近い肩甲骨の骨格を持っている。


(ベータ1とF1のミックス? でも色素が濃いし、こちらもアルファの血を継いでいるかも)


「こんにちは。私はマーキュリー、こちらはリズ。大陸から来ました」


 マーキュリーは子供達に声をかけてみた。通じるか?


「……こんにちは」

 男の子が話す。言語は同じ、通じる様だ。

 

「お名前は?」

 

 マーキュリーが訊いた。

 男の子が自分の名前を話そうとすると、女の子が制止する。


「言っちゃだめよ」


 マーキュリーは精一杯の笑顔を作る

 その笑顔を女の子に向ける。

 少し引きつっている。


「あら、あの私達は怪しい者では無いのよ」


「あなたの目、怪しい」


 女の子は隙を見せない。

 そして後ろ手に何かのスイッチを押した。

 防犯装置の様だ。


 マーキュリーは「目が怪しい」と言われ、少しむかついた。

(女の子ってこうなんだよ。きつめ)


 マーキュリーがリズの方を向いてやれやれとした表情を見せたその時だった。


 上空の遥か遠くから、監視のための飛行体がすごいスピードで近づいてきた。


 無人で卵型をしている。

 女の子の防犯装置が呼んだらしい。

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