白湯のお屋敷の敷地の外は森になっていた。お屋敷の内側もほとんどが外側から続いているように森に包まれている。白湯のお屋敷はあらゆるところに緑があり、自然があった。

 白湯のお屋敷には車がたくさんある。運転は紅お嬢様の趣味だった。でも白湯のお屋敷の敷地の外まで車で出ることはない。紅お嬢様は白湯のお屋敷の敷地内にある白い土色の道の上でのみ車を運転している。翠も一度助手席に乗せてもらったことがある。そのときの紅お嬢様の愛車は真っ赤な(乗りづらくて、狭くて、へんてこな形をした)スポーツカーだった。紅お嬢様の運転は上手だったけどとても荒くて、まるで遊園地のアトラクションのようだと泣きそうになりながら翠は思った。

 紅お嬢様の部屋は自室と趣味の部屋があり、趣味の部屋の中には真っ白なパソコンがあった。翠はあんまり機械に詳しくないので、よくわからないのだけど、大きな画面が三つも並んでいてすごく驚いた。紅お嬢様におやつを運んだときには、紅お嬢様はとても速い速度でキーボードを叩いていた。紅お嬢様は翠に全然気がついてくれなかった。

 ようやく気がついてもらえたと思ったら「そこに置いておいて。あとで食べるから」と言われてまた紅お嬢様はヘッドフォンをしてパソコンの画面に夢中になってしまった。

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