老舗和菓子屋のクリスマス

「パパ、確認なんだけど」


「なんだい」


「これはクリスマスツリーではない?」


「クリ…スマ…なんだって?これはうちの店の年末用の飾り付けだぞ」


「いやどう見ても立派なクリスマスツリーなのだけど?もみの木にオーナメントが飾り付けられてキラキラしてるし」


「これはあれだ…でかい盆栽に菓子を飾り付けるという新しい販売手法だ。目立つように光らせてな」


「あくまで和のイメージだと言い張るわけね。見た目の和菓子感ゼロなんだけど…。あのオーナメントボールのようにたくさんついてる球は?」


「えーっと、あれはりんご飴だ。イザナミとイザナギが食べて結ばれたという禁断の飴で…」


「それアダムとイブが禁断の果実を食べた時のエピソード!クリスマスツリーにつけるオーナメントボールの由来!よく知ってたな!?じゃああのジンジャークッキーのように見える人型のお菓子は?」


「あれはあれだ、あー生姜せんべいだ。えー江戸時代に何代目かの将軍が感染症予防に生姜が効くことを知って作らせた…」


「それヘンリー8世の逸話!ジンジャークッキーのはじまりの話!クリスマス関連の話に詳しすぎて逆に驚くんですけど?!」


「お前もなかなかくわし…ゴホンゴホン。クリスマなんちゃらなんてしらん!」


「もう!わたしがお願いしたから用意したって素直に言えばいいのに!パパの頑固者!でもうれしいありがとっ!」

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