中
「ひ、ひより……こ、これは一体どういう……?」
「〜♪」
俺は縛られた体のことを尋ねるが、ひよりは無視して鼻歌を歌いながら俺の服を脱がそうとしてくる。
「あ、腕縛ってるから脱げないね。ちょっと待っててね」
そう言うとひよりは近くの棚の引き出しを開けて、何かを探している。
「ちょっと待てって! だから何で俺を縛っているんだ!?」
「……ん? あぁーソレ? だってそうしないとまた逃げちゃうでしょ? それよりも……あった!」
ひよりの手に持たれていたのはカッターだった。
「この服もう切れなくなっちゃうけど……仕方ないよね」
カッターの刃を出し、笑顔でひよりが近づいてくる。
「な、なにを……!? うわっ!!」
「動かないでね? 体切れちゃうから」
ひよりは俺の服をカッターで切り裂いていく。そして俺は上半身を裸にされる。
「じゃあ次はこっちだね」
そう言ってひよりは俺のズボンに手を掛ける。
「えっ、ちょっ……まっ……!」
「も〜う、対抗したら……刺すよ?」
俺は対抗しようと体を揺らすが、ひよりにカッターの刃を胸に突きつけられる。カッターの刃のひんやりとした冷たい感触が体に伝わる。
「っ!……」
「そうそう、偉い偉い」
ひよりは子供にするかのようによしよしと俺の頭を撫でる。
なかなか屈辱的だが、今は大人しく受け入れる。
そして俺のズボンと下着が下ろされ、下半身が露わになる。
「あれ? 元気ないな〜、そんな怖がらなくてもいいのに」
ひよりは身につけていたバスタオルを取り、放り投げる。そしてその豊満な胸を押し付けるように覆い被さり、唇を重ねた。
「フフ、やっと元気になってきたね。……それじゃ、はじめよっか!」
その後俺はひよりに求められるままに、されるがままに体を重ねた。そしていつのまにか意識がなくなり、目が覚めると外は明るくなっていた。
「んっ……いつのまにか寝ていたのか?」
もちろん拘束は解かれておらず、一応毛布はかけてあったが全裸のままだった。
「あ、おはよう千尋くん! 昨晩はそ、その……激しかったね……」
目を覚ました俺に気づいたひよりは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
「な、あれはお前が……」
「そんな〜! それじゃ私が破廉恥な子みたいじゃん……でも千尋くんがその方がいいならいいけど!」
ひよりは昨日あれだけのことをしておいて全く普通に会話をしている。記憶を失う前の俺はこんなヤバい女と付き合っていたというのか!?
「ほ、本当に俺達付き合ってたんだよな?」
「そんな事当たり前じゃない。その……ごめんなさい、昨日はちょっとやりすぎたかなって反省してるの。だって千尋くんが入院してる間寂しかったんだから……!」
「入院してる間って……3日だけだろ?」
「3日もだよ! 私にとってはとても長かったんだから!」
「ひより……」
ひよりは涙目になりながら俺に訴えかける。俺を拘束したり襲ったりやってる事はかなりヤバいが俺のことを好きだと思ってくれてることだけはものすごく伝わってくる。
記憶を失う前の俺はどんなふうに彼女と付き合っていたのだろうか。
「あー、もうこんな時間! 仕事行かないと! ごめんね、ちょっとの間一人になっちゃうけど……ちゃんと留守番できたらご褒美あげるね!」
ひよりはそう言うと慌ただしく部屋を出ていった。
手足を縛られた状態で一人残されると、なぜか少し不安な気分になっていた。
これって腹減っても飯食えないし、トイレも行けないじゃないか。そう考えると途端に尿意が迫ってくる。
「くそ、ひよりはいつ帰ってくるかもわからないのに……うっ、やばいっ!」
流石に漏らすわけにはいかないと思い必死に耐える。が、部屋の時計を見るとまだ三分しか経っていなかった。
「まだ三分!? む、無理……だ……あっ!……」
恐ろしく遅い時の流れに絶望を感じた瞬間、俺の膀胱は限界を迎えたのだった。
♢♢♢
「ただいま〜! いい子にしてたかな……ってこの匂い……」
「……あっ、ひ、ひより!」
あれから何時間経っただろうか。ベッドの上で粗相してしまったせいで濡れ、裸なのもあって寒さと不快感、さらに空腹もあり俺は震えていた。
「あらら、そういえば昨日から一度もトイレ行ってなかったもんね……ごめんね、気づいてあげられなくて」
ひよりは申し訳なさそうに俺を見ながらタオルを取り出すと、洗面所に向かう。そしてタオルを濡らして戻ってきた。
「今拭いてあげるからね。お湯で濡らしてきたから大丈夫だよ」
ひよりは優しい手つきで俺の下腹部を拭き始める。暖かいタオルの感触が気持ちよくてつい声が出そうになる。
「んっ……」
「もーう。次からは漏らしちゃダメだからね」
「は、はい」
「……これでよし! じゃあこれからご飯作るね」
そういえば昨日から何も食べてなかったのでかなり空腹になっていた。
「なんと今日の献立は……千尋くんが好きだったハンバーグです!」
ひよりはビニール袋から挽肉を取り出し俺に見せつける。
「あ、あれ? そっか、覚えてないんだね……でも大丈夫。もう一回好きにさせるから!」
そう言ってひよりは台所へと向かっていった。
数十分後。
完成したハンバーグを一口サイズに切って俺に食べさせてくれる。
「はい、あーん。……味はどうかな?」
「うん……うまい」
空腹なのもあるが、普通に味が美味しい。
「よかった! まだまだあるからいっぱい食べてね!」
俺はあっというまにたいらげてしまった。そして腹が満たされると次は睡魔が襲ってきた。
「まだ寝ちゃダメだよ千尋くん。まだ今日の補充、してないんだから……」
ひよりはそう言うと、目の前まで顔を近づけてくる。そしてそのままキスをする。
「んぐっ!? ……ひより?」
「フフ、まだまだこれからだよ。明日の仕事頑張るためにも千尋くんを摂取しないと!」
そうして今日も俺はひよりと体を重ね合った。と言っても縛られているので俺はされるがままだったのだが……。
翌日も翌々日も同じような日々が過ぎて行った。相変わらず拘束はされているが、身の回りのことは全てひよりが世話してくれる。
自由はないが、食も睡眠も性欲も全てが満たされていた。
そしていつしか俺はこの生活を受け入れるようになってきていたのだった……。
★★★
おまけキャラ紹介
11月21日生まれ。20歳。AB型。身長158㎝。
好きなモノ【千尋、ホラー、スプラッター映画】
嫌いなモノ【貝類】
好きなクワガタ【アンタエウスオオクワガタ】
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