第6話 ルパン4世

 1月4日 - NHK大河ドラマ『花燃ゆ』放送開始( - 12月13日。


 新宿にあるビジネスホテルの202号室で凜はドラマを見ていた。井上真央は演技がうまいと思った。


 1月5日

 JR北海道根室本線池田駅 - 豊頃駅間を走行中のスーパーおおぞら5号が、乗客の男性の喫煙により浦幌駅で93分間臨時停止、男性は喫煙を注意した車掌と口論になり備え付けのテーブルを壊したため、北海道釧路方面池田警察署が器物損壊の疑いで逮捕。


 日本マクドナルド、青森県三沢市で販売された「チキンマックナゲット」にビニール片のような異物が混入していたことを公表、問題のナゲットと同じタイの工場で同じ日につくったナゲットの販売を取りやめ。


 突然の甘糟の死に、梶は深く考え込んだ。時空シール、ウィルス、そして甘糟の死。これらが何かつながりがあるのかもしれないと感じた。


 その時、アレックスの携帯が再び鳴り響いた。画面にはルパン4世の顔が浮かび上がった。梶は不思議そうな表情を浮かべながらも、なにか秘密めいたものを感じた。


 その夜、梶は上野の公園で伊東甲子太郎いとうかしたろうという男と出会った。彼は謎めいた言葉を投げかけ、海鳴りという呪文を唱えながら龍のような影が現れた。


 その影は梶に向かって襲いかかるが、彼は能面をかぶっていた。梶と龍との壮絶な戦いが上野の夜空に煌めいていた。


 梶は伊東甲子太郎に問いかけた。「何者だお前は?」、「私は過去と未来を行き来する者。君の運命はこの時空シールにかかっている」と答えた。


 この出会いが、新たな運命の始まりであることを知ることなく、梶は再び己の旅路に振り返りながら、東京の夜を歩いていった。

 

 翌朝、梶は上野にある図書館で『新選組図鑑』という辞典を読んでいた。


 📗天保5年12月3日(1835年1月1日)、常陸志筑藩士(郷目付)鈴木専右衛門忠明の長男として生まれる。初名は大蔵。父・忠明が家老とのいさかいによって隠居した後、大蔵が家督を相続したものの、のちに忠明の借財が明らかになったことから家名断絶となり、一家は領外へ追放される。


 大蔵は水戸へ遊学し、水戸藩士・金子健四郎に剣術(神道無念流剣術)を学び、また、水戸学を学んで勤王思想に傾倒する。追放後の父・忠明は高浜村東大橋(現・石岡市高浜)で村塾(俊塾)を主宰し、帰郷した大蔵も教授に当たった。のちに江戸深川中川町の北辰一刀流剣術伊東道場に入門するが、道場主の伊東誠一郎に力量を認められて婿養子となり、伊東大蔵と称した。元治元年8月当時水戸藩戸田銀次郎の家来であり、妻の名前は「みつ」といい、「えい」という娘がいたことが記録されている。住み込みの門人として内海二郎、金澤鎗次郎らの名前が残っている。


 元治元年(1864年)10月、同門の藤堂平助の仲介で新選組に加盟。同年11月、弟の鈴木三樹三郎、盟友の篠原泰之進や加納鷲雄、服部武雄、門人の内海二郎や中西昇らと共に上洛。この時から、上洛の年(甲子)にちなんで伊東甲子太郎と称する。参謀兼文学師範に任じられる。容姿端麗で巧みな弁舌から、伊東に対する人望は高かったと伝わる。しかし、伊東と新選組は攘夷という点では結ばれていたが、新選組は佐幕派で、勤王(倒幕)を説こうとする方針をめぐり密かに矛盾が生じていた。


 西国遊説を終えて、慶応3年3月20日(1867年4月24日)、薩摩藩の動向探索と御陵警備任務の拝命を名目に新選組を離脱し、篠原や鈴木など同志14名とともに御陵衛士を結成する。東山高台寺の月真院を本拠地としたため、高台寺党とも呼ばれた。しかし、新選組内で失脚しつつあった武田観柳斎らの御陵衛士加盟の要望は拒絶している。このころから、伊東摂津と称する。

 

 近江屋事件から3日後の慶応3年11月18日(1867年12月13日)、伊東は近藤に呼ばれ妾宅にて接待を受ける。酔わされた伊東は、帰途にあった油小路の本光寺門前にて待ち伏せしていた新選組隊士の大石鍬次郎らによって暗殺された(油小路事件)。享年34。


 伊東は「奸賊ばら」と叫んで絶命したと伝わる。酒に酔わせたうえでの暗殺を企んだのは、北辰一刀流の道場主であった伊東の剣技を警戒したためと思われる。伊東の遺体は路上に放置され、御陵衛士を誘い出す囮として使われた。あとで収容に来た御陵衛士たちは待ち伏せていた新選組と戦闘となり、これにより藤堂平助らが戦死している。


 墓所は、京都市東山区の戒光寺。慶応4年(1868年)3月13日、御陵衛士により京都市下京区の光縁寺から改葬された。


 江戸幕府、徳川第14代将軍・徳川家茂夫人の和宮は革命から逃れ、2015年の新潟県のスキーリゾート苗場に身を寄せていた。

 東京から近い上、湯沢地区のなかでも一番の標高差があることで人気が高いとされる。豪雪地帯の湯沢地区のスキー場の中でも一番内陸側にあり、標高が高いため良質の乾いた雪が降る。


 当時の西武グループの総帥だった堤義明が自ら音頭を取り、筍山(標高1,789.7m)を買い取って一大リゾート地を建設する構想を企画し、1961年に苗場国際スキー場という名称でオープンした。日本最大級のリゾートホテルである苗場プリンスホテルがスキー場内に立地している。


 苗場の名前がついているが、苗場山山麓に存在しているわけではなく、清津川を挟んで苗場山と向き合う筍山の山麓にあり、苗場プリンスホテルを中心にゲレンデが構成されている。初心者から上級者向けまでバラエティーに富んだゲレンデが存在し、スキースクールも行われている。


 スキー用品のレンタルや宅配便で送るサービスもあるため、手ぶら来場することも可能である。またプリンスホテルやゲレンデ(浅貝含む)のスキーチケット売り場、プロショップ、コンビニエンスストア、おサイフケータイを使用したiDなどでチケット等が購入可能となっており、財布を持たずにスキーができるような工夫も施されている。


 松任谷由実が毎年、30年以上にわたってライブを続けている他、1999年からはフジロック・フェスティバルの会場ともなっている。


 2002年には、近隣のかぐらスキー場(旧 かぐら・みつまた・田代スキー場)との間に、当時世界最長のゴンドラ(区間全長は5,481m:現在は日本最長)である「苗場・田代ゴンドラ」(ドラゴンドラ)が設置された。これにより苗場から田代・かぐら・みつまたの各スキー場にアクセスすることが可能になっており、全てのスキー場を総称して「Mt.Naeba」とも呼ばれる。ゴンドラはスキーのオフシーズン中は観光用として利用されている。


 2006年シーズンに雪崩が発生し、客8人と従業員1人が負傷した。2011年シーズンにも雪崩が発生している。


 和宮は内部に三日月マークが浮かび上がるという時空シールを所有していたが、クーデター組織からは時空シールの返還を求められていた。

 その時空シールを狙ってルパン4世が和宮に接近する。ルパン4世は手下に和宮の愛犬、狆をさらわせ、それを追跡したための怪我を装って和宮の同情と信頼を得た。やがて和宮はルパン4世に恋愛感情をも持つようになる。


 一方、ルパン4世逮捕に執念を燃やすインターポールの山村警部はルパン4世出現を予想し、愛妻、麗美を伴って苗場を訪れた。しかし、実は麗美はルパン4世の愛人で、山村の捜査方針はルパン4世に筒抜けであった。そこにルパン4世の従兄弟で、新宿で奔走していたアレックスも現れる。従兄弟がルパン4世である事も、麗美が従兄弟の愛人である事も知ってるアレックスは麗美に夢中になる。白銀のリゾートを舞台に恋と時空シールの争奪戦が繰り広げられる。騒動のさなか、山村はペンション『BLIZZARD《ブリザード》』のオーナー、久我くががルパン4世であると確信する。


 アレックスとルパン4世の命運の対決は、苗場スキー場の裏にある秘密のカジノで繰り広げられた。裏カジノは呪いにかけられたような様相を呈していたが、それでも多くのギャンブラーが集まっていた。

 アレックスたちはルーレットで遊んでいた。

 ルーレットは、回転する円盤に球を投げ入れ、落ちる場所を当てるカジノゲーム。ルーレットはカジノの女王とも呼ばれ、多くのカジノで提供されている。19世紀初めにフランスで現在の形が完成し、「小さな輪」を意味するフランス語がゲームの名前となった。


 17世紀のイタリアにはオカ (Hoca) と呼ばれる原型のゲームが存在し、E-Oやブール、そしてルーレットに変化していった。レイアウト(賭け金を置くテーブル)の形は1655年にパスカルが考えたとされている。


 古典的なルーレットは0と00が存在し、現在のアメリカンスタイルと同じ38区分のものだった。1841年にドイツでカジノを経営していたフランス人・ブラン兄弟の考案で37区分に変更され、ヨーロッパで人気を博した。

 

 ホイール(回転盤)は均等に区切られたボールの落ちるポケットがあり、数字が記されている。ポケットには赤か黒かの色がついており、0(00、000)は緑色である。ホイールの種類はヨーロピアンスタイルとアメリカンスタイルの2種類が主流であり、その他にはメキシカンスタイル(39区分)、フレンチスタイル(ヨーロピアンスタイルと同じ37区分だがテーブルレイアウトが異なる)などがある。ホイールの種類によって数字の並びやオッズが異なる。


 ヨーロピアンスタイル 37区分(1から36、0)

 アメリカンスタイル 38区分(1から36、0、00)

 メキシカンスタイル 39区分(1から36、0、00、000)

 

 アメリカンスタイルに関しては、数字の配列が異なるホイールも地域によって見ることが可能である。


 今回のゲームはヨーロピアンスタイルだ。

 ゲームの手順は以下の通りだ。


 ディーラーがベルを1回鳴らし、ベット(賭け)の開始をプレイヤーに知らせる。

 プレイヤーはめいめいベットを行う。

 ディーラーが上部のノブをひねってホイールを回転させ、回転方向と逆にボールを投げ入れる。

 プレイヤーは追加でベットを行う。あるいはベットの変更を行う。

 一定時間が経過しボールが回転している間にベットの終了をディーラーが宣言する。英語の場合はノー・モア・ベットと告げ、ベルを2回鳴らすあるいはテーブルを撫でるような仕種を行う。

ボールがポケットに落ちた場所をディーラーが宣言する(例:「Red 9」)。

 ディーラーが外れたチップを回収し、的中したベットに対して配当を行う。

 チップには通常のチップでなくルーレット専用のプレイヤーごとに色分けされたチップを利用する。ベットを行う際は自分でテーブルの上にチップを置くか、ディーラーに宣言してチップを渡す。不明瞭なベットや締め切り後のベットはファウルとして没収される。


 ハウスによって細かい部分は異なっている。ベットのタイミングは球が投げ入れられる前でも後でも良い場合が多いが、アジア地域などの一部のカジノでは投げ入れられる前にしか賭けられない場合がある。このルールは客側に大きく不利であるため、ディーラーではなく機械がボールを投げ入れる機械式のホイールを使用することがある。


 多くのカジノでは出た数字の履歴を表示するボードが用意されているので、必要であれば参照することも可能である。


 アレックスは一人で椅子に座り、ルパン4世が隣に現れると、冷静な表情で立ち上がった。2人は目を合わせ、言葉は交わさなかったが、闘魂がそれぞれの瞳に宿っていた。


 アレックスは戦略を練った。

 ルーレットの期待値はカジノ側が有利に設定されているが、賭ける金額を操作することでその分散を変化させることは可能である。マーチンゲール、ダランベールなどのベッティングシステムが存在し、有料で販売されているベッティングシステムもある。手法によっては賭け金が膨らみ、損失が大きくなる危険性がある。


 ディーラーがボールを任意の場所に入れられるかどうかについて議論されることがある。小説等架空作品では演出のためにディーラーが出目を操れる、回転盤に電子機械的な出目を操る仕組みがあるなどの設定がなされることがあるが、現在の一般的なカジノの条件では不可能とされている。ディーラーが任意の場所に入れにくくする対策は、運用としてはボールを転がすときに回転盤を見てはいけないというものがある。ハードウェアとしては回転盤のバンクの部分の突起物にボールが当たり挙動が予測できないほど不安定になる。仮にディーラーが意図的に出目を狙えるとした場合、ルーレットはプレイヤーとの間で心的な読み合いを行うゲームとなる。一方でそのようなディーラーは客と共謀して簡単に不正ができる為、カジノが雇わない、そのような回転盤は採用しないだろうと考えられている。特定の出目を外すようなコントロールは実現性があり、実際にそのようなディーラーが存在していたという。


 次の瞬間、スノーモービルが裏カジノに突然現れ、騒然とした雰囲気に包まれた。1人は麗美、もう1人は凜だった。

 アレックスは凜の、ルパン4世は麗美のスノーモービルに乗り込んでカジノを飛び出し、夜の闇に姿を消した。


 2人のバトルは裏カジノから苗場スキー場の斜面へと続き、ルーレットの回転が運命を左右した。激しい攻防が繰り広げられる中、アレックスの勝利への執念と、ルパン4世の巧妙な策略が入り混じり、熱い戦いが続いた。


 最終的に、アレックスがルパン4世を打ち倒し、その闘魂を確認すると、彼は静かに微笑みながら、勝利の瞬間を受け入れた。そして、夜の静寂が二人を包み込んだ。

 


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