第5話 御萩組 💀1人

 2020年東京オリンピックの開催まで残り5年となったが、オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設費問題やオリンピックエンブレムの盗作疑惑など本来の競技とは関係ない部分で注目を集め、結果的に競技場とエンブレムの双方のデザインが白紙撤回されることとなった。

犯罪発生件数は戦後最少の109万9,048件(前年比9.3%減)で、種類別では殺人が933件(前年比11.5%減、戦後最少)、空き巣などの重要窃盗が10万8,562件(前年比9.9%減、戦後最少)、振り込め詐欺が1万2,729件(4年連続増、前年比13.1%増)などとなっている。


 2005年の1.26を底に回復傾向にあった合計特殊出生率が1.45まで上昇し、1995年以降で最も高い数値となる。この年以降再び下落傾向となり、また出生数もこの年の1,005,677人を最後に翌年以降100万人割れが続いている。


 『安』・・・人々がこれからの平安について考え、また社会や生活に対する不安の増大により安心を求めたことから一年を象徴する漢字として選ばれた。


 戦後70年を迎え、安倍晋三首相が新たな談話(安倍談話)を発表。また、安倍内閣による安全保障関連法の成立では人々が賛否に別れ、これからの国の平安について考えた。


 世界で頻発したテロ事件などによる社会不安の増大、さらに旭化成のマンション傾斜問題などによって暮らしに対する不安も大きくなり、とにかく明るい安村の「安心して下さい」のフレーズが流行るなど人々が安心を求めた。


 

 1月1日

 同日より全国的に大雪となり、京都市では3日早朝にかけ積雪量が観測史上3位タイとなる22cmに達し、1954年1月以来61年ぶりに20cm超の積雪を記録。


 鹿児島県のAMラジオ局・南日本放送(MBC)が92.8MHzでFM補完放送を開始。


 アレックスはカプセルホテルにやって来た。

 正月番組を見ながら自販機で買った缶ビールを飲んだ。

 広域地名としての日本橋は、東京都中央区北部の地域で、旧日本橋区全域を指す商業地・ビジネス街である。東京駅日本橋口から見て北東方面に位置しており、周辺の八重洲・京橋・大手町・丸の内などとともに東京の中心業務地区(CBD)を構成している。東京駅の北東部に位置しており、東京の都心に相当する。旧日本橋区西側を南北に貫く中央通り(地下には東京メトロ銀座線が走行している)沿いが日本橋エリアの中心である。


 江戸時代から武家屋敷が立ち並ぶ山手に対して、町人文化の中心地下町を代表する地域であった。東京は新宿や渋谷などの比較的歴史の浅い街が多い中で、日本橋は江戸時代初期からの歴史と伝統を持つ数少ない地域である。近代以降も重要な地であった日本橋には、日本銀行本店本館や三井本館、日本橋三越本店本館、髙島屋日本橋店本館といった重要文化財に指定されている建築物が数多く集積している。


 江戸時代には日本橋は五街道の起点として江戸における交通・物流の要所であった。その名残で現在でも道路標識における東京までの距離計算の起点は、日本国道路元標が設置されている日本橋(橋梁)となっている。現在の日本橋本町を含む一部地域は「江戸本町」と呼ばれており、江戸で最初に町割りが整備された奥州街道沿いの街である(現在の「本町通り」「大伝馬本町通り」が該当する)。日本橋本町は江戸時代から薬問屋が数多く軒を連ね、現在でも武田薬品工業、アステラス製薬、第一三共などの製薬会社の本社及び東京本社(グローバル本社)が多数所在する。


 江戸時代当時から金貨幣の鋳造所である金座や両替商など金融機関がこの地に集積し、金融・商業の中心地であった。1873年に日本最古の銀行である第一国立銀行(民間銀行、現在のみずほ銀行の源流企業)が渋沢栄一によって設立され、日本の銀行発祥の地である日本橋兜町や、日本の中央銀行である日本銀行本店等が所在する日本橋本石町や日本橋室町、奥州街道沿いの金融街として今でも複数の大手銀行の支店が置かれている日本橋大伝馬町や日本橋横山町など、日本橋地域全体が東京都心を代表する金融街として発展している。また日本橋兜町には日本の株式・証券市場の中心である東京証券取引所が所在しており、バブル景気の頃からは数は減少したものの証券会社が一定程度残存している(業界再編などで大手証券会社は大手町・丸の内への移転が増加した)。


 日本最古の百貨店である日本橋三越本店を含む老舗の商業施設も多く、日本橋地域北東部に位置し旧奥州街道沿いの街の東日本橋や日本橋横山町、日本橋馬喰町には日本最大の問屋街が形成されている。また、摂津国佃村からの移住者である森孫右衛門一族と、その住民達は関東大震災で倒壊して、その後京橋区(現在の中央区)築地に築地市場として移転するまでの間、当地に魚河岸を設置し、新興都市として発展しつつあった江戸の食品流通を支えてきた。


 老舗百貨店の三越(三井越後屋)は旧三井財閥(三井グループ)のルーツと言われており、戦前は三井本館に三井財閥の本拠地が置かれた。歴史的な経緯から三井不動産が当地に数多くのオフィスビル・複合商業ビルを有している。バブル崩壊以降、金融街である日本橋の活気は失われていたが2004年に東急百貨店日本橋店(白木屋)跡地にコレド日本橋を開業して以降、官・民・地域が連携して「日本橋再生計画」と呼ばれる大規模再開発を進めており、首都高速道路の地下化などを通して日本橋川沿いの水辺空間の賑わいの創出を目指している。


 東京駅八重洲口がある「八重洲一丁目」も日本橋地域である。八重洲一丁目はかつて「日本橋呉服橋」の町名で、旧東京市日本橋区に属していた。他の日本橋地域の町内と同様に郵便番号上三桁103を使用している。当然多くの行政施設の管轄や公立中学校の学区も日本橋に属している。


 腹が減ったので食堂に行きフランクフルトを食べた。近くの座敷に座っていた中年男性二人組が、「大掃除したか?」「大晦日にな」「俺は29日した」「29って縁起が悪いんだぞ。二重の苦しみって意味でな……」って会話をしていた。


 アメリカでは大晦日のことを「New Year's Eve」と呼ぶ。12月25日がクリスマスなのに対して、12月24日をクリスマス・イヴと呼ぶのと同じだ。 日本では大晦日の数日前から年末年始の冬休みとなる方も多いと思いますが、日本の法律では大晦日は祝日ではない。

 

 ちなみにアメリカも同じで大晦日は祝日ではないようだ。普段どおり仕事をする人も多い。 また、商業施設では時短営業となることも多いので年始に向けて最後の買い出しに出かけるという方もたくさんいる。このあたりは少し日本と似ているかもしれない。


 日本では年末に大掃除をする家庭や会社が多いと思う。新しい気持ちで新年を迎えるためだ。新年を迎える前に家や心を清めて、元旦に神様をお迎えするなど、日本の宗教的な理由もある。

 

 一方アメリカはというと、年末には大掃除はしない。アメリカに大掃除をする文化がないというわけではないのだが、しいて言うなら春に行う。 アメリカの家庭には暖炉があることが多い。その暖炉についてしまったすすをきれいにするという理由から春に行う家庭が多い。


 中年コンビは1人は内野聖陽に、もう1人は沢村一樹に似ていた。

 内野似が、「どこから来られたんですか?」と尋ねてきた。

「新宿です」

 江戸時代から来たなんて言ったらネジの外れた人と思われてしまう。

「昼に会ったら伝える」

 沢村似がケータイに向かって喋ってる。

「そちらさんは? どちらから?」

「長野ですよ」

 内野似が首を右に左に傾げた。

「どうしたんです?」

「首が痛くて」

「長野といえば白馬とか、スキー場が有名ですよね?」

「海外の人なのによくご存知ですね? 御出身は?」

「アメリカのカリフォルニアです」

「ドジャースの本拠地がロサンゼルスにありますよね?」

「ええ。ドジャースは19世紀から存在します」

 沢村似が電話を終え、内野似に言った。

「甘糟行くぞ」

「おう」

「どうかお元気で……」

 沢村似がアレックスに声をかけ、2人は食堂を出た。

 内野似の正体は甘糟智也あまかすともや御萩おはぎ組・若中わかなか。沢村似の正体は梶亘かじわたる、甘糟と同じ若中だ。若中とは組長から見て息子だ。

 

 アレックスは食堂を出るとサウナに入った。

 アメリカにいた頃はバーニャ(ロシアンサウナ)によく行った。バーニャに比べてサウナは物足りなさを感じた。バーニャは巨大なピザ窯の様なストーブが室内に設置されており、部屋全体がとてつもない熱気に覆われている。水風呂、休憩場所も完備。

 

 アレックスはサウナから出て、新宿の街を歩いていた。街中ではさまざまな屋台が立ち並び、人々が賑やかに行き交っていた。


 その時、目に飛び込んできたのは鯨肉を扱う屋台だった。アレックスはふと、アメリカにいた頃の友人たちとの思い出がよみがえった。


 一方、沢村似(梶)と甘糟は、薬屋の前で待ち合わせをしていた。甘糟が手にしているのは、猪のひと切れだった。身分を隠すため、今日は少し変装している。


 すると突然、死神が現れたかのような影が2人に迫ってきた。その影の正体は、若中の手下だった。


 梶が笑いながら言った。「お前たちもう少し訓練を積めばいい。今日は手加減しといてやろう」


 それに対し、若中の手下は静かに頷くと、立ち去った。


 2人は、身分を隠しながら静かに会話を交わした。「明日の取引は上手くいくだろうか」「大丈夫、準備はできている。信じていてくれ」


そして、夜の新宿が深まるにつれ、二人は街の喧噪に紛れて消えていった。

 

 1月3日 - 兵庫県豊岡市の城崎温泉で全焼8棟を含む19棟に延焼する火災発生、2人死亡、宿泊客ら約60人が避難。(城崎温泉火災)


 突然、アレックスの携帯が鳴り響いた。画面には『非通知』という文字が浮かび上がった。彼は不思議そうに画面を見つめたが、すぐにそのことを忘れ、新宿の夜の街を歩き続けた。電信柱のところで『アメミット』のカードを手に入れた。

 アメミット、アメミト(Ammit)、またはアンムト(Ammut)は、古代エジプトに伝わる幻獣の一種。その名は「死者を食らう(呑む)もの」を意味する。冥界アアルの転生の事前の裁判にて、秤にかけられた真理の象徴マアトの羽根(真実の羽根)よりも重かった死者の心臓 (Ib) を貪り喰らう。喰われた魂は転生できず、永遠の破滅を意味した。


 頭は鰐、鬣と上半身が獅子、下半身は河馬の合成獣に描かれるのが、当初(エジプト新王国時代)では通常だったが、のちには少し異なる作風がみられた。


 一方、梶と甘糟は、居合刀を持ちながら会話をしていた。甘糟が刀を構えると、梶は彼の内臓を見透かすような眼差しで彼を見つめた。


「私は信じられないことを見つけた。この街にはウィルスが蔓延っている」と甘糟が言った。


 梶は素足で地面を踏みしめながら、「それが何を意味するのか、わからないが、何かが起きる前に対策を講じねばならないな」と答えた。


 2人は深い話し合いを続けたが、その後、甘糟が急に地面に倒れ伏した。死因は何なのか、沢村似は静かに立ち尽くしていた。




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