第4話 悪役令嬢は対策を講じる
「さて、と」
声に出して立ち上がると、私は昨日に引き続き考えをまとめるためにノートを取り出した。
あの驚きの目覚めから一日。
いつもと違う私を心配したのか、朝からメアリの目が光っていて行動に移しにくくてしょうがない。
一人で読書をしたいと何とか説き伏せ、メアリを部屋から追い出した私はさっそく対策を考え始めた。
なにせ時間がないから行動は急ぐに越したことないのだ。
3ヶ月でやれることといえば何だろう…。
断罪の回避を目標にするとしても、もしゲームの強制力が働いたらどうなるかわからない。
となると、断罪されても生きていける方法を見つけておくことが一番重要だろうか。
あとは現状を把握しておくためにも情報は大事だ。
学園に入学してしまうと外の情報は入りづらくなるし、悪意を持って噂をばら撒かれたら対処できない。
「となれば…」
私はノートに書き出した攻略対象者の一覧を眺める。
その中の一人、情報ギルドの長であるデュランの名前を指でピンッと弾いた。
自ら攻略対象者に近づくことはリスクでもあり、同時にリスク回避でもあるだろう。
状況次第でどちらに転ぶかわからないためだ。
「攻略対象者だから懐柔するポイントはわかっているけど…」
呟いて、私はノートの別のページを開く。
そこにはデュランの攻略内容が記されていた。
攻略対象者にどんな事情があるのかを知っているのはチートのようなものじゃない?
情報を利用するかしないかは悩ましい。
個人的にその知識は使いたくなかった。
なぜなら、もしそれで好意を得たとして、その気持ちが本当のものだと私自身が信じられないかもしれないから。
巧みに誘導された気持ちに真実はあるのか。
そんな疑いを持ちたくないからこそ、人間関係を構築するならちゃんとコミュニケーションをとって気持ちを得たいと思う。
ただし、今回に限っては時間が無い。
綺麗ごとばかり言ってられないわね。
そう心を決めると、私は出かける用意をするためにメアリを呼んだ。
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