銃をとれ

sir.ルンバ

銃をとりなさい

 

 そのスチールデスクの上には銃が置かれていた。

 それは、拳銃ではなくアサルトライフルに近い形をしていた。

 体育館のように天井が高いその部屋で、窓から差し込んだ西日を浴びる銃身は光の粒子を吸い込んで鈍く輝いている。


 デスクに歩み寄り、その直線的な金属で構成された黒い塊を観察する。

 右手を伸ばして、グリップを握る。金属であるが故の重さが前腕にかかる。

 左手で銃身を掴みながら持ち上げ、両手で保持する。 

 右足を引いて半身になり、目線を上げる。

 下がっていた銃口を引き上げながら、ストックを肩に押し当てる。

 首をすくめ、頬を冷えた銃身に押し当て、スコープをのぞき込む。

 首筋の強張りを感じる。

 トリガーに指をかける。

 息を吐き、吸い込まずにその瞬間を待つ。

 脳内に静寂の糸がぴんと張る。

 遠くに潮騒の響きが聞こえる。

 心臓の音が空白をノックする。

 トリガーを絞る。

 絞り切ったら


 ——銃声が鳴る


 

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銃をとれ sir.ルンバ @suwa072306

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