第27話 最後の(?)国際恋愛〜メキシコ人〜
日本に語学留学で来ていたカリーナとの出会いはやはりTinderだった。
カリーナは黒髪でカチューシャの似合う可愛らしい女性だった。
背はやや僕より高かった。
同い年のカリーナはある程度日本語ができたが、日本語で話すのが恥ずかしいということで僕らは英語で普段話していた。
日本のアニメが好きな彼女に対してアニメのネタを交えながら冗談を言い合っていく中で、仲良くなり、会うことになった。
オムライスが好きというのでオムライス専門店に食べに行った。
メッセージでの盛り上がりとは違い、直接会うとカリーナはあまり話す方ではなく、僕が質問をしてようやく色々と話してくれた。
あまり何を話したのかは覚えていないが、自己紹介以外は僕が彼女をいじっていたらしい。
そう言われればそうだった気もしなくもない。
英語も苦手と言っていたが、全然苦手な印象などなく、今まで会った非英語ネイティブの中では1番上手でコミュニケーション上の問題はなかった。
僕がオムライスのソースをお気に入りのズボンにこぼしてしまって落ち込んでいた時、カリーナは冷めた目で僕を見ていた。
僕は少しは心配してほしいと思ったと同時に次はないなと思っていたのだが、意外にもまた会うことになった。
メッセージのやりとりはやはりとても楽しかった。
だから直接会うよりメッセージでコミュニケーションをとっていた方が彼女への印象は僕は良かった。
2回目に会った時も話は僕が色々聞くことで弾んだ。
あまり会話を楽しそうにしていない気がしたため、次こそはないんだろうなと思っていたら、別れ際に
「あなたのこと、まだわからないけど、ちょっといいと思う。」
と言ってくれた。
僕はそれをポジティブに受け取って、次に会うことを期待した。
正直にいうと、当時僕は付き合いに発展しそうな日本人女性がいて、カリーナか日本人女性かで迷っていた。
ただ、海外経験のあるカリーナの方が将来的に長く付き合えるのではないかと思って日本人女性にお断りの連絡をした。
同時に、意を決してカリーナにうちで日本食を作ろうと提案した。
さすがにうちには来ないと思っていたものの、日本の家庭料理を作ってみたかったようで、オッケーの返事をもらった。
カリーナの語学学校が夕方に終わり、そこからうちまで電車で40分、すでに外は暗くなっていた。
少し疲れ気味のカリーナとご飯を作り、食べ終わると会話が途切れた。
何となくいい雰囲気になったまま
「ねえ、なにか話してよ」
と聞かれた。
僕はこれは告白してよという合図と思い、告白することにした。
「最近僕は可愛らしい人に出会ったんだけど、その人が僕をどう思っているのか知りたいんだ。その人はメキシコ人で、同い年、少し僕より背が高いんだけど、どうかな付き合ってくれると思う?カリーナっていう名前の子なの」
するとカリーナはゲラゲラと笑いながら、綺麗な笑顔と訛りのある日本語で
「はい」
と答えてくれた。
それがとても可愛かったのをよく覚えてる。
僕らはそのままハグとキスをした。
カリーナは僕がすぐにカリーナの胸を揉み出して
「手が速いな」
と内心笑っていたらしい。
その話をカリーナがしてくれた時、僕は胸フェチで胸は大きければ大きいほど好きだと伝えた。
カリーナの胸は特別大きいわけではなかったが、大半の日本人女性よりは大きかった。
カリーナはメキシコでは自分の胸は平均的だけどいいのかと聞いてきたため、僕は巨乳好きだが恋愛に胸は関係ないと伝えた。
その日、カリーナはうちに泊まることになった。
僕のベッドはシングルだったため、2人で寝るには窮屈だったものの、なんとか寝ることができた。
告白した一方で、僕は散々実ってこなかった国際恋愛を反省していた。
簡単に肉体関係をもってしまっていいのか、長く付き合う関係にしたいならもっと慎重に行くべきではないかとの迷いがあった。
そのためセックスの流れになったものの、中断することにした。
カリーナは『この人まさかの童貞?そんな人と付き合って大丈夫かな』とその夜真剣に悩んだらしい。
僕はその夜は中断したものの、朝になるとやはり性欲には勝てず、結局やることになった。
僕らはどちらも久しぶりにできた彼氏彼女だった。
だからこの関係が長く続くことを願っていた。
最初に躓いたのは付き合ってすぐの彼女の誕生日だった。
生理で予定が狂い、大喧嘩した。
その時は僕が悪かった。
大喧嘩して2人で泣いて仲直りした。
しかし、この日を皮切りに僕らは週に一度は大喧嘩をするようになった。
彼女は学校があったため、週に3-4日程度うちに来るだけだった。
うちに来ない日の僕のメッセージの少なさに怒られた。
カリーナがうちに来る度に何の相談もなく全ての支払いが僕になっていたことに不満を漏らすと彼女は激怒した。
たしかに彼女は収入がなかったとはいえ、当時の僕は転職して安月給になっていたため、貯金を切り崩しはじめて大変だったのだ。
僕が好きな音楽は彼女は嫌いで、音楽を流すと怒られた。
女友達と連絡をとりあっていると怒られた。
こんな感じで週に一度は大喧嘩をするようになったのだった。
喧嘩のきっかけはどうあれ、僕がカリーナに怒りたかった理由はいつも一つだった。
カリーナは僕に対する不満を抱えると、しばらく僕に冷たく接するようになった。
明らかに冷たいメッセージの返事、明らかに僕をコミュニケーションを避ける態度。
理由を聞いても教えてくれず、ある日突然怒りを爆発させて怒鳴り散らされた。
僕はそれがすごく嫌で、不満があるならその場で言って欲しいと何度も伝えたものの、変わることはなかった。
対して彼女の僕への主な不満は嫉妬心からくるものだったと思う。
僕が既婚の女友達とランチに小一時間出かけると不機嫌になっていたし、ジェシカへのメッセージを見られた時は激怒された。
SNSでアイドルや女優の水着写真をいいねしようものなら大変だった。
喧嘩をしない時はとても和やかだった。
一緒にメキシコ料理を作ったり、外食に出かけたり、少し遠出をしたり。
今の妻とは出来ない楽しみ方ができた。
身体の相性も良かった。
初めてのセックスはゴムあり正常位だったが、2回目の時に騎乗位をお願いしたらお互いハマった。
「まさか女の私がリードするなんて夢にも思わなかった」
と言っていたので騎乗位はカリーナにとって初めてだったのだろう。
以降、こちらからお願いするわけでもないのにやる時はカリーナリード、そして案の定というか、やっぱりゴム無しになった。
身体の相性の良さが下手に僕らの関係を長いものにしたと思ってる。
カリーナがうちに来ると僕らは必ずセックスをしたが、カリーナが寮にいる時にライン上で喧嘩をした後も必ずすぐに会ってセックスをした。
カリーナは僕のあそこを見る度に大笑いしていた。
「ねえ、何でこんなにでかいの!?ごめん、だって偏見だけど日本人のちんこは小さいと思っていたから正直期待してなかったの。なのに初めて見た時から今でも何度見ても、こんなに大きいの初めてで…。ほんと悪気はないんだけど…笑」
こんな調子でゲラゲラと笑っていた。
僕はカリーナが僕のあそこを見て笑う度、あまりいい気はしなかった。
何となくバカにした笑いに感じたからだ。
でも、カリーナは僕のあそこを気に入っていた。
「私、正直セックス嫌いだったんだよね。でもあなたのせいで好きになっちゃったんだから!」
少し困ったようなというか、恥ずかしそうな表情でこれを言われた時はとても嬉しかった。
この上ない褒め言葉だと思った。
僕はテクニックにあまり自信がなかったため、なおさら嬉しかったのだ、次の言葉を聞くまでは。
「あなたのちんこのせいでセックスのことを最近考えずにはいられないの。」
「あ、僕のちんこが好きなの…?」
と聞くと、カリーナは照れた表情で静かに頷いた。
たしかに、カリーナリードだから僕はほぼ何もしていなかった…。
「僕くんはもうすぐ海外赴任でしょ?あなたに会えない間どうしたらいいかわからないの。初めてディルド買うか迷ってるの」
「いいじゃん、買いなよ。性生活は大事だからね」
「そう…?いいの…?僕くんのペニスの型をとれるやつとかあるからそれとかもいいな」
「それ買えたらいいね」
残念ながら日本では買えなかったが、どうも帰国後に色々おもちゃを買ったらしい。
カリーナの語学学校が夏休みに入るとカリーナは本格的に僕のところへ引っ越してきた。
そして彼女が生理の日以外は毎日セックスをするようになった。
「日本人は結婚したらレスになるんでしょ?私と結婚したらそうはさせないから!最低でも週5はするんだから!」
そう息巻いていただけあり、多い時は朝昼晩、少なくとも夜は必ずセックスした。
毎日セックスすることになったおかげか喧嘩の頻度も週に一回から二〜三週間に一回へと減った。
一方でセックスを理由に喧嘩することも増えた。
僕はすぐいってしまうからカリーナはそれが不満だった。
僕が1人で楽しんでると思ったらしい。
僕は頑張ってコントロールしていただけあって悔しかった。
また、不満ならゴムをつければもう少し長くできると言ったのだが、カリーナは嫌がった。
僕はしばらく僕が先にイク度に謝る日が続いた。
なんとも居心地が悪かったが喧嘩を避けるためには仕方がなかった。
幸い毎日何度もやっていると僕のあそこは鈍感になった。
ある時からカリーナの方が先にいくようになったのは内心僕はほくそ笑んでいた。
「なんでいかないの?気持ち良くない?」とカリーナが心配するようになったのだ。
僕らの性生活が活発になると同時に喧嘩は減ったがなくなったわけではなかった。
お金のことをはじめ、喧嘩は絶えなかった。
喧嘩をしてセックスで仲直りする流れは変わらなかったものの、毎日何度もセックスをしていたせいか、仲直りセックスも過激さを増した。
カリーナリードは変わらず、ゴムなしも変わらなかった。
喧嘩をしなくともカリーナが僕に中出しを求めることは度々あった。
しかし、夏休み期間中の仲直りセックスは必ず中出しセックスになった。
「出るからどいて!」
僕が何度叫んでもカリーナは腰を振り続けた。
僕が先にいこうがいかまいが、カリーナは自分がいくまでやめなかった。
「ああ…!」と声をあらげながら、身体がびくびくっと動き、息を荒げながら少しの間を置いて、満足そうに僕の上から降りる。
僕の脳裏に焼かれるほど鮮明にそのシーンを覚えるようになった。
中出しへの不安の傍ら僕は当時カリーナがいってくれるのを見て嬉しかった。
何人とセックスをしてもキム以来、あそこまで満足そうにしてくれる女性はそれほど多くなかった。
やっぱりワンナイトな関係やカジュアルな関係よりもきちんと付き合っている人とやるセックスが1番だと確信したものだ。
しかし、これだけ中出しをしていたのだからカリーナも不安に思うときがあった。
「正直、妊娠したかと思った…。これからはゴムありにしよう」
血の気が引いた後の安堵する表情のままそういう彼女に押されて僕は早速XLのコンドームを買った。
しかし、それを使うことは結局なかった。
そのあともカリーナは僕の上に当たり前のようになにもつけずに乗って腰を動かした。
僕が海外赴任をする前日、僕らはまた大喧嘩した。
理由は僕がカリーナとの性生活のために購入したコンドームだった。
僕は使うことのなかった新品のコンドームをどうするか迷っていた。
カリーナはそのコンドームを見つけて何に使うのだ、自分との時は使わないのだから、他の人とやる気なんじゃないかと思ったらしい。
僕はその言葉に呆れて、もうこれで別れるかと言ったのだが、最後にセックスしたいと言うのでセックスをすることになった。
仲直りセックスかつ、お別れセックスでカリーナが満足いくまでやると、案の定というか、やはり別れたくないという結論になった。
僕らは遠距離になっても関係が続いた。
僕は遠距離の難しさを理解していたからオンラインデートを月一で企画した。
ピザをわざわざカリーナの寮へ届け、僕もピザを頼み、同じものを食べた。
オンラインでゲームをして、同じ時間を過ごした。
仕事が終わればすぐカリーナに電話し、土日は朝から晩までビデオコールで繋いでいた。
僕らは会話がなくなっても通信は切らなかった。
さらに今まで躊躇っていたオンラインセックスもやった。
お互い初めてだったが、悪くはなかったと思う。
僕の裸を見るとカリーナは餌を待っていた犬のごとく、ハアハアと息を乱した。
こうして半年近く、僕らは遠距離でもなんとか付き合うことができた。
その頃には僕は結婚を考えていた。
カリーナの実家に、カリーナに会いに行く計画も立てた。
カリーナへのプロポーズも色々案を立てた。
でもやはり喧嘩をしてしまった。
カリーナは遠距離になってからSNS上でのストーキング行為が激しくなっていた。
僕が女友達の投稿にいいねをしたこと、AV女優のインフルエンサーをフォローしていたこと、Tinderのプロフィールを削除していなかったこと、事細かくスクリーンショットをとっていて、ある日それらが全ていっぺんに送られてきた。
たしかに僕もカリーナの嫌がることをやめていなかった。
でも僕にとっては女友達はやっぱり友達だし、インフルエンサーで誰もがフォローしている人をフォローしちゃダメな理由はわからなかった。
Tinderのプロフィールには彼女がいることも書いていたし、仕事以外ではずっとカリーナとオンラインでいたから地元に友達ができなかったからアカウントを作り直しただけで、誰ともデートをしていなかった。
僕の言い分はもちろん通じなかった。
彼女としてはどれも浮気に値する行為だった。
僕らは互いに我慢できずに別れることにした。
ひょっとしたら、セックスができていたら、まだ一緒にいたかもしれない。
でもこれでいいのだ、セックスだけが僕らを繋ぐものだった。
それは間違いなくお互いにとって害悪で健全な関係ではなかった。
僕は本気で泣いた。
何度もやり直してきたのに、結果を先延ばしできただけだったことに後悔した。
それでも、居心地が良かった。
カリーナの笑顔は大好きだったし、付き合い始めた頃のように冗談を言い合える関係がいつまでも続くことをどれだけ願ったことか。
一緒に旅行もして、色々楽しかった。
少なくとも今の妻とは一緒に楽しめることは何もない。
僕は遊びすぎたのだろうか。
はっきり物言いする日本人以外の人とは本来相性が悪いのだろうか。
妻は外国人だが、今でも時々この関係性に悩む。
外国人と付き合うことの問題。
言葉の壁という限界、はっきりいう物言い、体の関係、色々難しいところはあった。
日本人女性だったらどうだったか、比較対象が少ないので正直よくわからない。
でもやっぱり簡単ではないし、幸せかもよくわからないと思う時がある。
少なくとも僕の思い描いた生活ではない。
僕の国際恋愛への夢は叶ったけど、これが僕の求めていた幸せか、正直わからないのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます