第22話 国際デート7~日本語を話すケニア人~

オランダ人女性が帰国した後、僕は隣国ウガンダに1か月近く出張に出た。


ウガンダにはいつも泊まるホテルがあって、そこにその時も予約した。


ホテルに着くと、初めて見る女性スタッフが受付にいた。


僕の日本のパスポートを提示すると、そのスタッフは、


「こんにちは。ようこそ。」


驚いた僕は


「なんで日本語話せるの?」


「学校で日本語を少し学んでいたんです」


恥ずかしそうに笑顔で答えてくれた。


そう、ケニアの大学では日本語を教えるところがあるのだ。


まさか日本語で対応してくれるとは夢にも思っていなかった僕はうれしくてうれしくて仕方がなかった。


しかし、予約を受け付けた人がきちんとメモしていなかったようで、僕の予約がないことになっていた。


そこでその女性スタッフはマネージャーと相談すると、僕は最近できたばかりの「離れ」を案内された。


離れはホテルの敷地の端っこにあり、言われなければ気づかないような場所だった。


「最近できた」とはいうものの、Wifiはなく、温水シャワーは簡易熱湯機が機能していなかった。


まだ誰も宿泊している様子はなく、受付こそあれど、スタッフも常駐していない。


部屋は10部屋程度、狭い平屋の建物の中に敷き詰められていた。


家具はそろっていたため、寝ることはできたが、本館からも結構歩く距離だった。


他に泊まれる宿もなく、しかたなくそこに泊まることにしたのだが、僕の現地人の同僚はこの対応に激怒した。


「うちのボスをこんなところに宿泊させるのか!ひどいじゃないか」


「本当に申し訳ありません。」


彼女はまるで日本で訓練を受けたかのように、とても丁寧に対応した。


念の為書いておくと、彼女は日本語が話せたが流暢に話せたわけではないため、僕との会話の大半は英語だった。


僕は同僚をなだめて、自分の部屋で休むことにした。


同僚がホテルを去ると僕は誰もいない広い敷地内で1人になった。



しん…と静まり返り、妙な感覚だった。


夜気温が下がる前に水シャワーを浴びた。


ちょうどシャワーを浴び終えた時、こんこんとドアをたたく音が聞こえた。


急いで服を着てドアを開けると、先ほどのフロントの女性が悲しそうな表情をしながら立っていた。


誰もいない空間に彼女と二人きりの僕はなんだか緊張した。


「今回の対応はごめんなさい。お詫びに割引をしますので許していただけますか?」


かなり丁寧に謝られて僕は驚きつつ、まったく問題ないと伝えた。


すると彼女は安心したような表情になった。


「先ほどは同僚が悪かったね。彼も気が立っていたんだよ。」


「いえ、ちょっと怖かったですが、気持ちはわかります。また何かあれば遠慮なくいってください。」


僕は丁寧な対応に感動した。


東アフリカの人たちは教育を受けた人達は真面目な人が多い。


とはいえ、これほど丁寧に対応してくれる人はさほど多くない。


翌日、仕事を終えて本館のフロントを通ると、彼女がいた。


パッと目が合うと「おかえりなさい」と言ってくれた。


「そんな言葉もわかるの?」


「いえ、調べました。Good eveningはこんにちは。Good morningはおはよう・・・だっけ?」


「そうそう、上手!そんなに上手なんだから日本に行けばいいのに」


「行きたいわ。でも、遠すぎていけないよ」


「まあ、そうね~。でもせめて日本人の友達とか、あるいは日本企業で働くとかすればいいのに。もったいないよ。」


「正直、日本人に会うのもあなたが初めてです」


「うそ!そんなに発音きれいなのに?」


「ふふふ。上達したいからもっと日本語教えてね」


この女性の名前はカレン。


見た感じ年下だ。


背が僕より低く、とても華奢だった。


笑顔がかわいらしくて、愛嬌のある人だった。


聞くとわざわざ仕事を求めてケニアからウガンダに来ていたようだ。


僕は待遇なんかに興味を持って、色々質問したが、基本的にはウガンダ人とほとんど同じ給与だが、寮があるから普通のウガンダ人やケニアで働くよりも節約できて良いとのことだった。


ウガンダよりケニアの方が発展しているから仕事がありそうなのにというと、競争が激しすぎて仕事がないという。


なんとも難しい世の中だ。


僕はそれから彼女を見かけるたびに声をかけた。


仕事が終わると暇なため、カレンと受付で他の客に迷惑にならない程度に話した。


ある時、僕は思い切ってカレンを食事に誘ってみた。


すると仕事終わりに行きましょうと言われて、近くのレストランで食事をした。


最初のデートはあっけないものだった。


レストランといっても地方都市にある店は大体食堂のようなもので、質素で味気なかった。


会話もいたって普通の日常会話で終わった。


週末、彼女の仕事がない日はお昼を一緒に食べた。


アジア料理を食べたことがないと言うので、中国人の経営するスーパーで貧相な大根や白菜を購入し、中国の調味料を買ってみた。


彼女の寮でご飯を作ることになったのだが、薪を使ったストーブが野外にあるだけできちんとした料理場はなく、火力の弱い炭火で適当なスープとご飯くらいしか作れなかった。


それでもカレンは喜んでくれた。


カレンはウガンダに来て、友達がいないわけではないけど、仲良くしてる人はいないと話していた。


友人のいない僕はカレンと自然と仲良くなっていった。


お互いの仕事終わりには雑談をしたし、メッセージのやりとりも増えた。


カレンはお酒もあまり飲まなかったが、一緒にクラブに行きたいと言われたので、行くことにした。


郊外にあるらしく、バイタクでなければ行けない。


僕は場所が分からなかったため、ホテルで待ち合わせて2人でバイタクに乗っていくことにした。


バイタクは2台使わずに1台に2人で乗ることでいらない節約をした。


危ないからといって僕をドライバーとカレンで挟み撃ちをすると、カレンの小ぶりな胸が僕の背中にぎゅっと当たって僕は興奮しかけた。


二人乗りのバイクに3人で乗ると密着状態になる。


興奮するとドライバーのおっちゃんの背中に僕の硬いものが当たるので、極力意識を他に向けたのであった。


郊外の野外クラブに行くとかなりの数の人が集まっていた。


真っ暗なので迷子にならないよう、手をつないで座れる場所を探した。


ビールを注文して、乾杯をしたが、とにかく質の悪いスピーカーから騒音が聞こえるだけで、カレンの声は聞こえにくかった。


当然、僕たちの距離は物理的に近くなった。


僕は既にカレンに落とされていたのだと思う。


『ジェニファーとまだ連絡を取り合っているにもかかわらず、情けない男だな。何ならついこの間までオランダ人女性にメロメロだったじゃないか・・・。』


酔った勢いでネガティブな気持ちになっていた。


僕は理性を保とうと必死だった。


極力変なことは考えないで、友達としてカレンと時間を過ごそうと意識した。


そのおかげもあって、クラブでは何も起きなかった。


しばらくして僕たちは1台のバイタクに2人で乗って、僕のホテルへ戻った。


帰りの道中、カレンの胸の感触を感じながら、『もはやこれは拷問だな』なんて思ったものだ。


ホテルに着いて、バイタクを降りて僕の分の料金を支払った。


カレンは僕を見つめるだけで、そのままバイタクに乗る様子がなかった。


おっちゃんも「どうすんの?」という感じで少し待っていたのだが、カレンが僕に話しかけ始めたのを見て、去ってしまった。


このホテルの周りには何もない。


ホテルから町に出てバイタクに乗るには、徒歩で5分ほどの距離がある。


「おっちゃん行っちゃったけど、どうする?」


「うーん・・・。そうね・・・。」


なんだか誘ってほしい目で僕を見つめている気がした。


「時間も時間だし、僕の部屋で一緒に寝る?」


心臓がバクバクなりながら聞いてみた。


「同僚に見られたら大変だけどなあ・・・」


「あ、そっか。そうだよね。じゃあ、通りまで一緒に行こうか?」


「私に帰ってほしい・・?」


「いや、、、えー・・・っと、できれば一緒にいたいけど。難しければ仕方ないよ。」


「まあ、夜道だし、暗いし、誰にも見られないよね。大丈夫だよね。でも、心配だから少し駆け足でもいい?」


「もちろん」


こうして僕たちは僕の泊まっていた部屋に向かった。


改めて見ると、僕の泊まっている建物は離れた場所にひっそりとたっていることに気が付いた。


そもそも大きな本館と別館の隙間にある小道を通らないといけないのだから当然だ。


入り口と廊下に電気はあったものの、街灯は一切なかったため、スマホの光を使いながら歩いた。


建物に入ると、不気味なほど静かだった。


『誰もいない・・・。この広い敷地内に、僕はカレンと2人か・・・。』


緊張はますます高まっていた。


風で草木が揺れる音や虫の鳴き声を聞きながら、僕たちは服を脱いでベッドに入った。


なんとなく怖かったから僕たちは電気を消さなかった。


それでも薄暗いほどだった。


電気が一つで中途半端な明るさしかなかったのだ。


カレンの肌を優しく撫でてみた。


肌がやっぱりすべすべで、気持ちよかった。


黒人の肌はみんなすべすべなのだ。


カレンも他のアフリカ女性同様、受け身だったため、僕が攻める役に徹した。


カレンの中はキツかった。


カレンは「bigって日本語でなんて言うんだっけ?」と笑いながら聞いてきた。


「大きい」


「オオキイ」


ケラケラ笑いながら何度も言われた。


きつすぎて僕はあっという間にいってしまった。


何度か外に出してトイレットペーパーで拭いては挿入しなおした。


ようやく少し長めの挿入ができるようになると彼女の中が濡れ出した。


最後の一発を終えて自分のあそこを見ると2人の体液がねっとりと絡まっているのがエロかった。


彼女はセックスは久しぶりだったようで「緊張したー」と笑っていた。


まさか日本人とセックスをすることになるとは考えたこともなかったようで、その後は興奮したかのようにニコニコしながら話をしてくれた。


「できることならあなたを家族に紹介したいなあ」とまで言ってくれたのは嬉しかった。


冷たいシャワーを2人で浴びるとお互いを温めるように裸のままベッドの中に入った。


抱き合いながら蚊帳のかかったベッドの中で寝た。


朝起きるとカレンがにこやかに僕を見つめていた。


「おはようございます」


と笑いながらお互い挨拶を終えると、僕のあそこが朝勃ちで硬くなっていることをいじってきた。


「オオキイ」


ふふふとカレンが笑うので、僕はなんとなく恥ずかしくなった。


「やる?」


と聞くと、ゲラゲラと笑いながら、答えた。


「うん、いいよ。でも昨日みたいに早く終えないでね」


と笑いながら言われた。


「そうは言ってもきついんだもん!でも、頑張るよ!期待しないでね笑」


こんなやりとりをしながら朝から対戦した。


それ以降、カレンとはできる限り時間を見つけて2人で過ごすようにしていたが、周りの目を気にして一緒に寝たのはこの時くらいだった。


それでもなんとか僕の部屋まで来てくれてキスをしたりハグをすることはできた。


お忍びデートのようで妙にドキドキした。


僕の出張が終わりを迎えると、僕がケニアに戻って、カレンも帰国することがあればまた会おうと言って別れた。


しかし、この頃から新型コロナウイルスが世界的に脅威を振るい始めており、僕が再びウガンダに行くことはなかっただけでなく、僕は日本に帰らざるをえなくなった。

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