ちょっと一息~オランダ人との出会い~

スペイン旅行の話の前に、先に既にふれたオランダ人女性との出会いを記す。


彼女は博士課程の研究者で、僕の赴任地に研究のため1か月ほど滞在していた。


駐在員のグループから聞いたらしく、ある時僕のもとに彼女からのメッセージが届いた。


「誰だこれ?」なんて言いながらもメッセージを見ると、僕の出張時に車に乗せてほしいとのことだった。


あちこち移動する必要がある研究のようだったが、肝心の足がなかったようだ。


知らない人からの変な頼みではあったが、了承した。


するとメッセージの送り主は、金髪で細身のオランダ人女性だった。


年齢はわからないが、多分少し年下。


オランダ人といえば、背が高い印象だったが、その女性は僕より少し高い程度だった。


それでもジェシカよりかは少し高かっただろうか。


ちょっとコミュニケーションが下手な印象の女性で、最初は車に乗せてほしいという理由をあまり説明せず、僕の事業の話を聞きたいから乗せてほしいというお願いだった。


僕の事業に関心があるのかと思いきや、まったく興味のあるそぶりを見せず不思議に思っていたところ、足がなくて研究が進まないと聞かされたのだった。


また、彼女は宿を探すのにも苦労していた。


そこで僕が彼女の宿探しも手伝うことになった。


地方にはなかなか宿泊施設がない。


あってもシャワーなしか水シャワー付きで汚いマットレスが敷かれた質の悪い宿だ。


だから僕は自分のネットワークを駆使して彼女の宿の確保も手伝った。


結局1か月近く、彼女は僕と一緒にいた。


仕事こそそれぞれ別々にやっていたが、僕の移動スケジュールに沿って彼女も移動し、時には僕が彼女のスケジュールにわざわざ合わせてあげた。


そんなものだから自然と仲良くなって、2人で食事に行くこともしばしばあった。


彼女は帰国前に「私、人と話すの下手でしょ?だから彼氏なんかできたことないんだよね」と聞いてもいないことをよくわからないタイミングで打ち明けられた。


美人でかわいかったから僕は気にはなっていたが、結局何もないまま終わってしまった。


彼女の帰りには一緒にバスを待ってあげて、最後は力強くハグをして別れた。


ジェシカといい、この子といい、欧米の人はみんな外向的かと思いきや、そうではなかった。


こんなにも波長が合う人がいるのかと僕は感動した。


ますます、もっといろんな人と出会ってみたいと思うようになったのである。

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