第11話 国際デート~珍デート メキシコ人~
ここでいったん時系列を未来に飛ばします。
一休みを兼ねて、国際珍デートを一つご紹介します。
イギリス留学を終えた僕は、就職までの期間を使って、北アメリカを旅した。
メキシコではBadooというマッチングアプリの方がTinderよりもマッチしたため、Badooを主に活用していた。
さすがラテンの国、メキシコの街を歩くといちゃつくカップルだらけで目のやり場に困った。
公園に行くといたるところで、美男美女がキスをしていた。
そんな情熱的な空気に押されて、僕はメキシコ人女性とのデートを夢見た。
なにより、PitbullのMVで出てきた美女もラテン美女。
心が踊らないわけがなかった。
しかし、Tinderでのマッチング率はヨーロッパ並みに悪かった。
しかたなく、badooというアプリをネットで見つけて始めてみた。
すると驚くほどマッチしたのだが、スペイン語がが中途半端な僕はデートまで漕ぎ着けるのが難しかった。
とはいえ、何人か英語ができる女の子もいた。
そのうち何人かとチャットをするようになった。
最初に会うことになったのは、クリスティーナ、同い年の女性だ。
プロフィール写真なし、自己紹介文なしで地雷臭が漂っていた。
チャットをした感じは至って普通だったため、その日のうちに会う約束をした。
ただ、念のため警戒はしていた。
金だけ取られるか、なんらかの詐欺に遭うか、下手したらギャングの関係者か…。
財布の中身はほとんど宿に置いて、少しダサめな格好で会うことにした。
約束時間が近くなると突然クリスティーナが友達を連れてきていいかと聞いてきたので、僕は了承した。
これも何かの布石かなとか考えながらドキドキしながら待ち合わせ場所に到着した。
クリスティーナは時間通りに来た。
身長は170cmくらい、体重三桁はいっているだろうか、、、
服装こそなんとなくオシャレにしていたものの、正直全く好みではなかった。
まあ、最初だし、なんならまだメキシコ着いたばかりだし、友達になれればいいかくらいに思ったその矢先…
『あれ?なんでお母さんがいるんだ?お友達は?』
とクリスティーナの後ろにいたお母さまに驚かされた。
『いや、まさかお友達って…』
と思っていると、クリスティーナが友達ですと、どこからどう見てもお母さんなのに友達ですと……。
『いや!!お母さんでしょ!!』
心の中で叫びつつ、開いた口が塞がらずにいた。
きっと過保護なんだと思い、とりあえずコミュニケーションをとろうとするも、クリスティーナ、まさかの英語できない。。。
チャットは全て翻訳していたらしい。
もう何も言わずに帰るかとも思ったが、わざわざこのために夕食を食べずに待っていたので帰るに帰りにくかった。
仕方なくネットを駆使してコミュニケーションをとることに。
するとクリスティーナとお母さんは地元のタコス屋さんに連れて行ってくれた。
現地の人にしかわからないような店で、雰囲気も地元の古いタコス屋さんといった感じでなかなか良かった。
3人でコミュニケーションをとっているうちに、これなら大丈夫とでも思ったのだろう、お母さんが途中で帰宅した。
僕とクリスティーナはそのまま別の店に入ってメキシコの有名ビール、コロナを飲んだ。
親切なことにクリスティーナはタコスもビールもご馳走してくれた。
気になるところはあったものの、根は優しい人なんだと思った。
集合時間が遅かったこともあり、あまり遅くなりすぎると夜道が心配であったため、そろそろ帰ると伝えた。
するとクリスティーナは、
「その前にクラブ行かない?近くにあるの!」
と誘ってきた。
クラブ=ヤる
ではないが、少なくともここは情熱の国メキシコ。
身体が密着する激しいサルサなんかを踊るのだろう。
つまりはヤるのではないか。
と、僕の思考はすぐさま整理した。
「ごめん、僕踊れないから興味ない」
と伝えるも、クリスティーナは食い下がらなかった。
「見るだけ!!見るだけでも行こう!踊らなくていいから」
と目を輝かせながらいうものだから、とりあえずクラブの目の前まで行くことに。
クラブは驚くほどすぐそばにあった。
まさかここに来るためにタコス屋さんやその近くの酒場に連れてこられたのだろうかと不安になった。
しかも、いかんせん地下につづく階段と派手な看板以外何も見えないためクラブの雰囲気もわからず、行く気にはならなかった。
僕は帰るというとホテルの近くまで送ってくれた。
部屋に入ると早速クリスティーナから大量のメッセージが届いた。
お礼とお詫びのメッセージだった。
「今日はありがとう。実は友達と言ってたあの人は私のお母さんなの。嘘ついてごめんなさい。」
「うん、知ってた。なんで嘘ついたの?」
「お母さんが来ると言うと会ってくれないと思って。あと、英語ができない何できるふりしてごめんなさい。」
「まあ、言葉は仕方ないよね。」
「もしよければ明日クラブ行かない?あなたとならお母さんも安心してくれるし、私行ってみたい。」
「ごめん、無理。明日から別の街に行く」
そうして僕は寝た。
次の日もクリスティーのから大量のメッセージが届いた。
基本的には無視していたのだが、あまりに無視したせいか、ついにクリスティーナは本音を言ってきた。
「ごめんなさい、あなたにもう一つ嘘をついていたの。クラブに行きたいと言ったけど、本当はあなたとセックスがしたかったの。クラブが嫌ならセックスだけでもどう?」
僕は、彼女の態度からなんとなくわかっていた。
だけど、見た目も中身も全く好みではない。
僕は丁寧に断って、ブロックした。
考えてみたら、メキシコではそこら中でキスをするカップルを見かける。
パートナーのいない人にとってはなんとなく生きづらいのだろうか。
そう考えると少し同情するところもあるかもしれない。
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