第3話「現代のバディ呪術師」

 母さんが寝静まった丑三つうしみつどきに、僕達の仕事は始まる。

「オン・キリキリ…ウン・ハッタ!」


 僕が横一線に刀印を切ると、光線が発生し、ヒルのような怪異かいい達が祓われて消滅して行く。

 しかし、逃れたひときわデカい鬼の怪異が反対側で怪異をはらっていた姉ちゃんを襲う。


「オイ!姉ちゃん、そっち行ったぞ!」

「フン、お前は、相変わらず何とも詰めの甘い。滅ッッ!」

 麗良が印を組み、無数の光の刃を出現させ、それらが怪異を一斉に攻撃し、消滅させる。



 ❖


「お疲れっ、今日はこんなとこだろ?」

「……ふああ~、早く帰って寝るぞ。家に母さん、一人で心配だしな」

 姉ちゃんは、大あくびをして相変わらずの性格だ、僕達は仕事を終えて帰宅した。


『クックック、晴明に道満、生まれ変わっておったか。しかし、あんな童子の姿では遅るるに足らぬわ』

 

 なんだか、おかしい。最近、怪異が増えだしたような気がする。

 それでも、僕と姉ちゃんは、いつも通りの日常だと思っていた。

 でも、僕達の知り得ない所で、何かが起ころうとしていたんだ。

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