第2話「僕と姉ちゃんの日常」

「レイちゃんもケンちゃんも仲良しね。母さん、また一仕事してくるわ。ごめんね、今日はお夕飯頼める?」

「いいよ、ママ。私、頑張っちゃうね」



「僕も姉ちゃん手伝うから、母さんあまり、根詰めないでよ?」

「ありがとう、ふたりとも優しいのね。締め切り過ぎたらちゃんと家事するから、ほんとごめんね!」

 そうすまなそうに手を合わせると、母さんは仕事部屋に戻った。


「この猫っかぶり」

「うるさい、黙れ。母さんの為だ」

「ほら、健斗、手伝ってくれるんだろ?今日はチャーハンと卵スープだ」



「おう、母さんの為だ、仕方ないな。付き合ってやるよ」

 本当に腐れ縁だ。晴明が女になっても、それは変わらないらしい。

 しかし、ひとたび怪異絡みの案件が起きれば、僕達は最強のバディとして復活する。

 家の中にふらふらと、浮遊霊が迷い込んで来た。


『うらめし……』

「「成仏しろ!」」

『ひええ~』


 僕達の息ピッタリのその気迫と、強大な霊力で呪術を使わずとも、浮遊霊は一瞬にして成仏した。


 除霊も朝飯前のごとく、難なくこなして、姉ちゃんはキッチンへ向かおうとした時、足元に転がっているドデカいスライムクッションに足を取られ、バランスを崩した。


「ひゃっ!?」

「あっ、ぶねっ!」

 とっさに、僕の体は動いて姉ちゃんを抱きとめた。

 僕は姉ちゃんを見つめながら言う。


「危ないな、きちんと片付けろって言っただろ?」

「うるさいっ、感謝などせんからな!」

 小憎らしい言葉とは裏腹に僕の腕の中で、身をよじって赤面する麗良。



 僕は、うずうずして、そのまま麗良のもち肌、おでこにキスをした。

「可愛いな、お前」

 僕が悪戯っぽくにやりと笑うと、頬を染めながら麗良は、フンとそっぽを向いて小声で「お前じゃない!姉ちゃんと呼べ、でも……ありがと」とつぶやいた。


 こんな所が最高に可愛いんだよな!

 僕と姉の普段の生活はこんなところだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る