第12話 先輩と寝た話
少し話は未来へ飛ぶ。
僕が海外赴任を終えて帰国すると同時に僕は当時の職場を退職した。
退職後、仲良くしてくださっていた先輩にデートに誘われた。
その先輩は当時40代。僕は歳上好きとはいえ、当時まだ29歳だった僕にとって40代の壁は大きかった。
20代前半で30代の人と付き合っていたのだから、年齢差だけを考えると無理のない範囲ではあったが、数字とは恐ろしいものだ。
その先輩は僕が入社した時からペアで案件を担当していた。
席も隣同士で仲は良かったと思う。
年齢を感じさせないほどのスタイルの持ち主で、細身でありながら胸とお尻は出ていた。
目も大きくてかわいいとも美人ともとれる。
同世代の男性社員からは憧れの人として見られがちだった。
明るくて普段は優しい反面、気が強くて時折上司相手でも衝突していた。
実はこの人には大学生受験を控えた子供がいた。
詳しくは知らないものの、噂では入社すぐに当時付き合っていた歳下男性との間で妊娠、それを相手に告げると逃げられてしまったようだ。
以来、彼氏がいたこともあるらしいが、10年近く男の影が見えない人…だった。
僕はそんな先輩と入社から3年近くずっとペアで仕事をしてきた。
1年が過ぎた頃だっただろうか、先輩の視線を感じるようになったのは。
ある時から会議で反対側の席に座る先輩とよく目が合うようになり、僕の前に先輩が座るとわざわざ後ろを振り向いてちらちらと僕の方を見るようになった。
時折目が合っては、ニコッと笑顔を見せてくれたり、パッと目を逸らされることもあった。
ちょうどその頃からだった、僕の股間にも先輩の視線が向かうようになっていた。
先輩は実家暮らし。
電車で2時間以上かけて出勤していた。
そのためいつも朝早かった。
僕が席に着く時にはすでに働いていて、僕がおはようございますと挨拶をするといつも手を止めて僕の方に体を向けて、挨拶してくれた。
その時、時折僕の股間に視線が行っているような気がした。
多い時は、僕がトイレなどで離席して戻ってきた時にもわざわざ僕の方を見て、何を言うでもなく、股間に視線をやっていた。
なんとなく変な気分だった。
見られているとわかってはいたが、濃い色のスーツで分かりにくいはずで、それでも目立っているのか、たまたま視線がそこに行くのかいまいちわからなかった。
ある時、僕はガイドラインの入ったファイルを太ももにおいて、モニターの資料と照らし合わせていた。
どうにもわからないことがあって先輩に聞くと先輩が椅子を僕の横に動かして、僕の脚に置いてあったファイルをのぞいた。
「ちょっと失礼しますね」と一言言って、ガイドラインの下端を掴んでページを1枚1枚めくった。
先輩がページをめくるたび、先輩の手が僕のもっこりとした股間の小山に当たった。
僕は反応してしまいそうになって冷や汗をかいた。
結局先輩は僕が開いていたページにまた戻して僕に何か説明をしてくれた。
教えてもらった内容は覚えてないものの、先輩の手が僕の股間に当たっていたことははっきりと覚えているし、多分先輩も触れたことに気づいていたと思う。
また、僕が男の先輩と雑談していた時に、男の先輩が僕に「下ネタになって申し訳ないんだけど…」と話し始めると、横にいた先輩がなぜか話にくらいついてきた。
僕らは驚きつつ、男の先輩は性欲の低下について真剣に話し始めた。
なんとなく、この時僕は先輩、ひょっとして欲求不満…?とか思った。
先輩の行動は少しずつ、倫理に反しない程度に過激化していった気もする。
僕の海外赴任が決まったころから、先輩は僕に度々「デートしませんか?」と声をかけるようになった。
デートと言っても、会社近くのカフェで仕事の悩みや愚痴を聞いたり共有する程度だったが、先輩がこうして誰かと2人きりで外出している姿は見たことがなかったし、わざわざ「デート」と頻繁に誘ってくることは不思議だった。
こうして何度かカフェでお茶をしたことがあるので、僕が職場を辞めてデートに誘われた時も同じような「デート」をするのだと思っていた。
するとお酒を飲まない、飲み会には行かない先輩が、「飲みに行きたい」と言うので僕は驚いた。
「先輩飲むんですか?知らなかったです」
「飲まないですけど、僕くんが飲むなら飲みたいです」
僕は飲まないのだが…と思いつつ、コロナ禍でもあり、あまり開かれた所に行くのもまずいと思い、当時まだ許される雰囲気にあった個室居酒屋を予約した。
少し僕は身構えていたのだが、その時はやはりただの仕事の話だった。僕の赴任中の話が多かった。
長らくペアでやってきたから、その空白を埋める良い時間を過ごせた。
満足して帰ろうとすると、先輩はまた誘ってもいいですかと聞いてきた。
僕は特に考えず、もちろんですと答えた。
するとあまり時間をおかずにまたデートのお誘いが来た。
友達にでもなりたいのかな、なんて思いながら僕は了承して個室居酒屋を予約した。
この時は前の態度と少し違った。なんとなくお化粧に力が入っている気がしたし、珍しく少し緊張した様子だった。
先輩の実家は遠かったため、早めに会計しようとしたところ、
「この後、どうしますか?」
と上目遣いで聞かれた。
僕は特に行きたい場所もないがどこか行きたければ付き合うということを伝えた。
「どこか2人きりになれる所、探します?」
視線を横にしながら恥ずかしそうに聞いてくるものだから、僕はこの意味を瞬時に理解した。
同時に僕の中に緊張が走った。
なんとなく、先輩はそういう気持ちがあるのだろうなと感じてはいたが、その日は深く考えずにいたため、心の準備をしていなかったのだ。
僕は最初適当に誤魔化そうとしたものの、先輩は譲らなかった。
今日は子供は親に任せてるし、大きいから問題ない、
親には遅くなる、もしかしたら友達の家に泊まるかもと伝えてある、
僕くんがよければ私は2人きりになりたい、
あれこれと先輩は準備していたようだった。
僕は退路を断たれた気持ちであったと同時に、先輩の大人の魅力にもひかれつつあった。
真っ赤なぷりっとした先輩の唇は正直魅力的だった。
胸もあるし、美人。
僕は欲望に負けた。
ホテルに行く前にコンドームを買いたいと伝え、僕らはドンキに向かった。
僕がXLとデカデカと書かれたコンドームを手に取ると先輩は少し驚いた後、こう言った。
「やっぱり僕くんの大きいんだ…。いや、普段からあそこがもっこりしてたからそうかなと思ってたんだけど、まさか本当だったとは…。」
…やはりあの視線は勘違いではなかったようだ。
僕らは近くのホテルに入って服を脱いだ。
先輩の身体は案の定すごかった。エロいという言葉がこれほど似合う人はいなかった。
「ブラのサイズを聞いてもいいですか?」
「ふふふ、一応これでもHカップあるんですよ」
思ったよりも大きかった。
先輩はやっぱり男なら攻めたいよね、と言って僕がリードすることになったが、2回戦目は先輩リードでお願いした。
「若いからエネルギー有り余ってるでしょ?」と少し僕をからかいながら、何度も満足するまで求めてきた。
また、挿入を終える度に先輩は
「やばい、大きすぎる」と時折にやけ、時折手で自分の顔を隠しながら、つぶやいていた。
僕は途中でやめますかと提案したが、結局やめなかった。
口でも抜いてもらったが、抜いてもらった後は疲れたと言って少しつらそうだった。
なんだかんだ、その日は結局朝まで一緒に過ごしてしまった。
先輩の唇にあそこが包まれた時はとても良かったが、正直先輩はさほど上手くなかった。
「僕くんは、こんなおばさんとではやっぱりだめかな?付き合えないかな?」
朝一番、思わぬ告白だった。
「正直、子供のいる人との未来は見えないです。僕もいつか子供ほしいですし…。」
先輩は少し沈黙した後、そうだよねと予想していたかのようにつぶやいた。
「でも、でも…こうして時々デートすることは大丈夫?真剣な交際じゃなくても今後どうなるか様子見とかでもいいんだけど、、、」
「それは、まあ…。先輩がそれでいいなら…。」
こうして僕らは、僕にメキシコ人の彼女ができるまで度々会った。先輩はほどなくして僕の家に泊まるようにもなって、時々2日連続でやることもあった。
正直、あまり身体の相性がいいとは言えなかったが先輩に求められる限り応え続けた。
僕といる時、先輩は教えてくれた。
子供ができてからほとんどずっと彼氏がいなくて、恋愛できずにいたと。
元々年下好きで、最初僕を見た時から好みで気になっていたということ。
ある日の出張の際、ホテル内を私服で2人で歩いていた時、僕のあそこがズボンの上からくっきりと見えたことがあり、それ以来僕と寝る妄想が頭から離れられなくなったということ。
そして何より、長い間、仕事と子育てに集中していて、最近は親の介護もあって、人肌が恋しくなっていたこと。
僕はそれらを聞いてしまってから、なんだか言い訳をしてこの人と寝ることを避けようとした自分がいっときでもいたことが申し訳なくも感じた。
性欲は大抵の場合、誰にでもある。
人である限り切り離せない。
真剣交際は無理でも、少しでもこの人の心を温めることができないかと思うようになった。
僕らは身体だけの関係ではなく、時折買い物に出かけたり、映画を観に行ったりもした。
カップルではないものの、それに近い関係を築いた。
だからこそ、メキシコ人の彼女ができそうな時、僕は先輩に相談した。
好きというほどではないけど、もしかしたら付き合うかもしれない。そしたらこの関係は続けられないと思う、と。
すると先輩は明るい表情で、僕の恋愛の成功を祈ってくれた。
メキシコ人に告白して、付き合うことになったと報告して以来、僕らは連絡をとるのをやめた。
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