第13話 あまり何も言われなかった時の話

僕が4人の女性とデートをしていた時期、3番目に出会った女性とは肉体関係にまで発展した。


彼女とは結婚を考えている人同士のマッチングアプリで出会った。


34歳、茶髪でショートヘア。身長は僕と同じくらい。目は丸くて大きくて、かわいらしい女性だった。


姐さんと言う言葉が似合う人で、強気な口調で明るくふるまう人だった。


なんでこの人がアプリを使っているのか不思議なくらいだったが、ここには書けない複雑な事情を抱えていた。


僕はその人柄に惹かれて、事情はどうでもよかった。


僕らは何度かデートをした後でホテルに入った。


この人は数少ないほとんど何も僕のサイズのことを言わなかった人で、今でも僕の中では好感度が高い。


少しおしゃれなホテルで2人で湯船につかったり、マッサージが得意と言ってマッサージもしてくれた。


僕がくすぐったがりなことを知って、よくくすぐられたりもした。


初めて挿入する時、僕が騎乗位が好きだと言うと何も抵抗なく受け入れてくれた。


その時僕が持参したXLのゴムをベッドの上に置いていたが、彼女は気づかず、最初は備え付けのものを装着しようとしてくれた。


しかし、それが全然入らなかった。


僕が自分のゴムがあることを言うと、


「あ、大きいからか・・・」


とぼそっと言った。


それだけだった。それだけ言って、彼女はその後3か月間の肉体関係の中で一度も何も僕のあそこの大きさに言及しなかった。


僕は寝た女性の大半に笑われたり、大きいと繰り返し、何度も言われてきた。


だから彼女が何も言わないことが不思議で、それとなく聞いてみたことがある。


すると彼女は「私も胸の大きさで色々言われたからかな」とだけ話した。


彼女は本人曰くGカップあった。


Jカップ以上が好きな僕にとっては物足りなくもあったが、たしかに彼女の胸は大きかった。


だからというわけではないが、僕は女性の胸の大きさはあまり言及しない。既に紹介した年齢=彼氏なしの元カノのまっ平な胸についても何も言わなかったし。僕が散々言われ続けてきて、言われるのが嫌だから、僕も言わないようにしていた。


もしかしたら、それも彼女にとっては良かったのかもしれない。


彼女のことは僕はかなり気に入っていたし、普通に付き合いたいと思ったが、彼女も僕に手作りのチョコをバレンタインの日にわざわざ僕の最寄り駅にまで来てプレゼントしてくれた。


多分僕らは両想いだった。


しかし、僕は既に海外赴任がおおむね決まっていて、彼女は遠距離は嫌、海外についていくのはもっと嫌だった。


僕らはこのことを出会って3回目くらいのデートで話し合っていた。


でもいつ赴任するかわからなかったため、なんとなく一緒にいた。


でも、それ以上の関係には発展しなかった。できなかった。


いざ赴任のめどが立ちはじめると、僕は彼女に相談した。


彼女は最後まで明るくふるまっていたが、結局音信不通になった。


その後、ほどなくして僕は別の女性と付き合うことになった。


でも、あのまま、あの人と付き合っていたら初めての長期で付き合う日本人女性になっていたのかな、と思ったりもする。


それだけ個人的には悔しい別れだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る