第4話 女性の視線が気になる話

男の股間の膨らみなんて誰も気にしない、誰も見ないと思われる方が多いかもしれない。


けれど僕はたしかに視線を度々感じるのである。


それも意外と女性の視線が多いのだ。


僕が電車に乗って吊り革に捕まりながら立つ。


目の前の座席には女性が座っている。


ふと、女性が僕の股間に視線をやることがある。


多分それは本当に偶然で、僕は背が低いから下を向いている女性の視線の先にたまたまあることが多いのだと思う。


そして僕がたまたま明るい色のズボンなんかを着ているとそれなりの確率で女性が僕の股間に視線を向けたまま、一瞬硬直するのだ。


大抵の場合は、そのまま僕の顔へと視線を移し、またまた僕の股間へと視線を戻す。


そんなことは年に一回くらいは起こる。


また、僕が歩いている時に自然と勃起してしまうことがたまにある。


スリムフィットタイプのズボンや明るい色のズボンを履いていなくても勃起をすると長い棒が股間から膝にけて伸びていることがはっきりと分かってしまう。


向かいから女性が歩いている時はかなり恥ずかしく、焦ってそれの位置をへそへ持っていくことで、目立ちにくくしようとするも、なかなかうまくいかない。


むしろ焦っていることで余計に変な疑惑を持たれるのが怖くなる。


兎にも角にも打つ手がなく困ることが時々あるのだが、そういう時は心なしかすれ違う女性達の中に僕の股間へ視線を顔ごと向ける人がたまにいるのだ。


じっと僕の股のある方向に視点を下ろしながらすれ違って行くのである。


なんで僕の股間を見ているのかわからなかって?


だってそれ以外何もないのに斜め下をわざわざ見ながら歩かないでしょ。


ちなみに、中にはそのまま僕の顔を見上げる人もいるので、間違いないと思う。


ふと目が合うと申し訳なさそうに女性は視線をずらすのである。


また、新たにズボンを買う時の裾直しをお願いした際、女性店員さんが対応してくれて恥ずかしい思いをしたことが何度かある。


裾直しで長さを確認するために女性店員さんがしゃがみ、


「これでいいですか?」


と聞くと同時に顔を上げた。


僕の顔を見ようとしたのだろうが、あげた顔の先にはちょうど僕の股間があり、膨らみやあそこの形がくっきりと見えてしまっていた。


すると明らかに店員さんは戸惑いをみせるといったことが何度かあった。


一度だけ、店員さんがなぜか僕の膨らんだ股間にスッと手を伸ばしたこともあった。


触れる直前に手が止まって、店員さんはハッとしたかのようにパッと手を引いたのだが、あれはなんだったのか、今でも疑問である。


このように、知らない女性の視線を感じることが時々あり、なかなか恥ずかしいし、申し訳なくもあって、困ってしまうのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る